Adhurs 2010年 150分
主演 NTR(ナンダムリ・タラーカラーマラオ) & ナヤンターラ & シェーラ
監督/脚本 V・V・ヴィナーヤク
"目標を、設定せよ"
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その夜、ブラフマン(=バラモン)のカストゥリが産んだ赤ん坊は、その日のうちに息を引き取ってしまった。
3回目の出産もまた悲劇に終わってしまった事を嘆く義母は、看護師の提案から同じ病棟で眠る見ず知らずの母親が産んだ双子のうち、その1人を密かに貰い受けてカストゥリの子供として育てる事を決断する…この事実を知っているのは、義母と看護師の2人のみ…。
その後、カストゥリの子供はブリンダヴァナム・ナラシンハチャリル(愛称チャーリー)と名付けられて寺院の中で、双子のもう一方はナラシンハと名付けられてハイデラバードのスラム街で育って行く。
下町のラソール・ギャングを一掃して彼らが強奪したみかじめ料をせしめるナラシンハは、貧困に苦しむ母インディラに広々とした家をプレゼントするが、その家に突然飛び込んできた少女ナンドゥと一悶着起こして、いつの間にか彼女のエスコート役を押し付けられてしまう。
一方のチャーリーは、僧侶としての師匠である叔父バッタチャルヤー(通称バットゥ)の生臭坊主ぶりに振り回されて彼の結婚の世話を約束させられて、バットゥが惚れ込んでいる美女チャンドゥ(本名チャンドラカーラー)のエスコートを頼まれていた。
偶然かはたまた運命か、チャンドゥがプロデュースしたバーに集まる一堂は、一卵性双生児であるチャーリーとナラシンハをそれぞれに見間違え混同して行く。その中でチャンドゥは、自分に近寄ろうとしてきた男たちを鉄拳制裁するチャーリー(と錯覚されたナラシンハ)に恋心を抱き、その帰路にチャーリー(こちらは本人)とのデートを楽しむように。しかし、その頃ナラシンハはナラシンハで、新たなギャングの追跡を開始していたのだった…。
また別のところでは…。ギャングたちを率いる男ダンラージが、双子の実の父親である亡きチャンドラシェーカル少佐の家族の行方を探っていた。親戚一同から追放されたインディラと、彼女が産んだはずの子供の行方を……!!
挿入歌 Shambho Shiva Shambho (シヴァ神万歳)
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タイトルは、テルグ語(*1)で「素晴らしい」「驚異的」の意?
テルグ語映画界の名匠V・V・ヴィナーヤク監督の、10本目となる監督作。
公開後、ヒンディー語(*2)吹替版「Judwaa No.1.」も公開。その人気から、2023年に正式に再公開もされていたそうな。
相変わらずの、主演Jr. NTRの得意技をこれでもかと盛り込んだ大道芸的なアピール全開で紡がれる、爆走家族再生劇マサーラー映画。
Jr. NTRが1人2役を演じる運命の双子が、それぞれの家庭環境に振り回されつつ恋愛に仕事に家族に見せる色々な表情の変化具合も見どころであるし、喧嘩っ早い下町っ子のナラシンハと調子の良いチャーリーの性格の違いが、話が進むとだんだんとその差をなくして純粋にNTRそのものになっていくのも、マサーラー展開的には楽しい。
冒頭の病院から、貧しい母親が双子を産んだのを「あの人1人では2人も育てられないでしょうから、1人を我々がもらっても罪にはならないですよ」とか言い出す看護師も驚き。出産を終えた母親と、孫の誕生を心待ちにしている義母に悲しんで欲しくないという精一杯の慰めの言葉だったとしても、その発想がさあ…。
その一方で、明らかにバラモンではない子供を引き取った義母が、家族に嘘を突き通しながら「鶏肉が食べたい」と言い出す子供に冷や汗をかかされる、カーストの違いをコメディや家族劇の泣かせどころに使ってくる語り口も、インドならではだなあ…と思ってしまう発想ってやつで、カーストがある社会を前提で紡がれる物語の、その声高に言わないでもカーストの境界が見えてくる演出、その境界を無視するか乗り越えようとする人の姿を描く演出は、外国人にはなかなか描けない独自の感情表現を生み出してくれますわ(*3)。
チャーリー側のヒロイン チャンドゥには名優ナヤンターラーが"可愛いだけのモデル美女"を徹底的に演じてるのも珍し、とか思ってしまうけども、バラモン僧侶であるチャーリーを尻に敷きがちなその性格描写の芯の強さは、ただのヒロイン像からナヤンターラーに合わせて変えられたキャラ造形だったり…しないかなどうかな?(いらん深読み)
一方で、ナラシンハ側のヒロイン ナンドゥを演じるのは、90年代後半〜00年代に活躍した女優シェーラ(・カウル)。
1989年(または1990年)タミル・ナードゥ州都マドラス(現チェンナイ)生まれで、1995年のタミル語(*4)映画「Ayudha Poojai(アユダ・プージャの日に)」あたりから子役として映画出演していた人。
2006年のテルグ語映画「Seethakoka Chiluka(蝶)」で主演デビューし、翌07年の「Veerasamy」でタミル語映画に、08年の「Mayabazar」でマラヤーラム語(*5)映画に、09年の「Prem Kahani」でカンナダ語(*6)映画にもそれぞれ主役級デビューを果たしている。その後も、各南インド映画界で活躍していたものの、18年のカンナダ語映画「Hyper(ハイパー)」を最後に映画から遠ざかり、2020年の結婚で一旦女優業を引退しているよう。
ダブルヒロインの見せ場が限定的なので、ヒロインよりも目立つのは相変わらずの主人公2人を演じるJr. NTRであり、その軽快な長台詞を受けて立つボケ&ボケのコメディを演じるコメディアンの面々。その中でも頭1つ抜けた存在感を見せるバットゥ役のブラフマナンダムも映画の顔になってますけど、個人的には普段コメディ演技ばかり見せてくれるナーイク警部演じるサヤージ・シンデーの強面演技の方が印象的。腹に一物あるままに名推理と脅し文句で畳み掛ける有能警部を演じて、映画中盤〜後半にどんでん返しを演出して物語を次々にひっくり返す起爆剤的存在感が恐ろしや。サヤージさん主演での推理映画とか見てみたいわあ。
映画前半の冗長でありつつスピーディーなラブ&コメディで話を整えつつ、その前提を次々壊していく中盤以降の展開の自由さも相変わらずのインド映画の魅力として全開。双子の勘違いコメディから始まるギャングアクション的な映画が、いつの間にか警察・軍部の腐敗摘出みたいなサスペンス劇に変化していく自然な段取りの鮮やかさよ。贅沢をいえば、双子ネタの勘違いコメディを最後まで引っ張ったためにやや台詞回しが変に固くなったかなあ…とか感じるところではありますが、兎にも角にも、全ての状況と段取りを説明せずにはいられない、Jr.NTRのリズミカルな台詞回しが全編で気持ちいい調子を作っている映画でございますわ。
挿入歌 Assalaam Valekhum (アッサラーム・ヴァレカム [君を見ていると鼓動が高鳴るよ])
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受賞歴
2011 CineMAA Awards コメディ演技賞(ブラフマナンダム)
「Adhurs」を一言で斬る!
・「この歌が出てくる映画を知ってますか?」「はい。Mayabazaar(幻影饗宴劇)ですよね」と、その辺のビジネスマンも即答できるくらい有名&人気なんだねえ…
2025.7.25.
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