インド映画夜話

Anji (Diler) 2004年 148分
主演 チランジーヴィ & ナムラタ・シロドゥカール
監督 コーディ・ラーマクリシュナ
"秘宝アートマリンガム。それはシヴァに守られた宇宙の精髄!"





*…これはスペイン語のCM?
同じ会社の「マジンガーZ」のCMも見つけたけど、ぜんぜんマジンガーじゃなかった…(韓国のらしい)



 時は1932年。
 ヴェーレンドラ・バティアは、シヴァ派導師とともに森中の遺跡で、伝説の秘宝アートマリンガムを発見する!
 これこそ、はるか昔にシヴァ神によって作られた、女神ガンガー(地上全ての水と知識を司るガンジス河の女神)を地球降下させる宝石。
 その力は不老不死と、自由自在の超能力と、宇宙エネルギーでもあるガンガーの聖水を与えると言う…。
 しかし、秘宝を守る巨大コブラと生きたヴァジュラ(金剛杵)の攻撃で導師たちは殺され、アートマリンガムは深い谷底へと消え、バティア自身も右腕を切断されてしまう…。

 それから72年。
 インドの片田舎ウラヴァコンダの人気者アンジは、ある日、暴漢に襲われるNRI(在外インド人)の少女スワプナを助ける。
 彼女は、アートマリンガムを研究していたグプタ教授の指示で、彼の調査日記を届けにやって来たのだと言う。
 しかし、その日記を奪い去ろうとする一団が現れ、アンジはスワプナと共に、育ての親のグルジーの元へ急ぐ。しかし、そこに待っていたのは森中に放置された教授の遺体だった…。

 スワプナは、以前に教授の研究内容を根掘り葉掘り聞いてきた大会社社長のパディアが、アートマリンガムを狙っていることに気づく。
 神の秘宝を、勝手な人間の手に渡してはならないと、グルジーはアンジにシヴァ寺院へ急ぐように言うが、途中、バティアの配下の攻撃を受けて崖下へ落とされてしまう!

 シヴァの巨像の前に人々が集まりだし、シヴァへの讃歌が始まる頃、星空の中に大量の流れ星が現れる。アカサ・ガンガー(女神ガンガーの聖水)が、72年周期で再び地球に到来し始めたのだ!
 密林の中の重傷のアンジは、その時、なにかに導かれるように巨木に守られた光る石を見つける…。


挿入歌 Chiku Bku Pori (あぁ、お嬢さん)

*黒サリーの姉ちゃんは、ゲスト出演のラムヤー・クリシュナ。他に2人ほどヒロイン然としたアイテムガール(ミュージカルシーン専門のダンサー女優)が出てきますが、全員このあとは一切登場しませんw


 元はテルグ語(南インド アーンドラ・プラデーシュ州の公用語)映画「Anji」(意味は、主人公の名前)。
 テルグのメガスター チランジーヴィー主演で、テルグの神様映画の巨匠コーディ・ラーマクリシュナ監督によるSFXアクション。
 ヒンディー語に吹き替えられた時のタイトルが「Diler」。私が見たのはこっち。意味は…Dil(心)+erですかい?(テキトーに言ってるので信じないよーに)

 もうなんと言うかですね、ことダンスに関してはトリウッド(=テルグ語娯楽映画。テルグ+ハリウッドの造語。ベンガリー映画もトリウッドと呼ばれるそうだけど…)が一番だと思うわけよ。うん。
 若手の旗手N.T.R.ラオ Jr.もそうだけど、チラン兄貴(この頃御年49才!)の抜群のキレのある動きと、無茶な体重移動を要求する振付けだけでも一見の価値あり。芸の極みでんがな!
 最近は、ボリウッドを上回る年間製作本数を叩きだすテルグ映画は、ひょっとしたらこれからのインド映画の旗手に……なる?

 お話自体は、色々ツッコミ所もあるわけだけど、チラン兄貴の気は優しくて力持ち&頭もよくって洒落っ気も抜群…というなんでもござれなヒーロー像にお腹イッパーイ。兄貴、オレはどこまでもついていくよー。

 7年かけて作られたと言うCG群もそれなりにきっちり見せてくれる…けど、7年でこれ? …って気もしないではない。
 ただ、ラストの蛇寺院と、そこからつながる宇宙の彼方のリンガ(シヴァ神のシンボル)の異空間は完成度が高く、結跏趺坐して現れるシヴァもカッコいい!(*1)。

 アクションは、前半はおとなしめで「南の映画も変わったんかねぇ…」なんて思ってたら、育ての親を殺されたあたりからアンジの壮絶な復讐劇がこれでもか! と入ってきて、悪役もドンドン悪に徹して、その他大勢が次々と死ぬわ吹っ飛ぶわボコられるわ…さすがでございます。
 善悪がハッキリしているのも、この手の映画のお約束ですな。その上、出て来る神様&神様の使いが、とにかく人間に容赦ない。ジャングルの中の古代の神々が、人間を試すために仕掛けた様々なデストラップ…って点は「インディ・ジョーンズ」っぽさ全開!!


挿入歌 Manava Manava

*ゲスト出演は、リーマ・セーン。



受賞歴
2005 National Film Awards 特殊効果賞

2010.11.1.

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*1 ただ、目を開けて怒りまくった表情されるとは予想外…。なんとなく、眉1つ動かさずに人間をぶっ殺すのかと思ってたもんで