インド映画夜話

Bachna Ae Haseeno 2008年 153分
主演 ランビール・カプール & ミニーシャ・ランバ & ビパーシャ・バス & ディーピカ・パドゥコーン
監督 シッダールト・アーナンド
"世界中の美女たちよ、口だけ男にゃご用心!"







 1996年。
 学生のラージ・シャルマーは、ナンパ目的で友達とスイス旅行に来ていた。同じ列車に乗っていた、恋愛映画のような出会いを夢見る少女マーヒーを見つけてさっそくエスコート。
 映画のような展開にときめくマーヒーだったが、空港での別れ際、ラージが友達に「あんな女、チョロいゼ」と自慢しているのを聞いてしまい、涙ながらに去って行く…。

 時は流れて、2002年。
 マイクロソフトに就職してムンバイに来たラージ。
 隣室に住む、映画スターを夢見るラーディカーと仲良くなって、ついには同棲するまでに。
 しかし、彼女の方から結婚話が出ると、それは話が違うと、シドニーへの転勤を理由に、結婚式をドタキャンして彼女と別れてしまう!

 そして、2007年。
 シドニー支社のチームリーダーになっていたラージは、ある日、タクシードライバーで学費を稼ぎながらビジネス学校に通うガーヤトリーと知り合う。
 自立した女性を目指すガーヤトリーとの交流から、彼女を本気で愛するようになったラージだったが、ガーヤトリーは「安定のためだけの結婚はしない」と彼のプロポーズを断るのだった!!

 初めて失恋の痛みを知ったラージは、ようやく自分が無責任に振ったマーヒーやラーディカーを深く傷つけていた事に気づく。
 長い無断欠勤で会社をクビになったラージは、2人への贖罪のためにインドへ戻る事を決意。しかし、ラージの残した傷は予想外に大きく、それぞれの女性たちの人生を大きく変えて行っていた…。


挿入歌 Lucky Boy (運のいいオトコ[はどこ?])

*ロンドンから日本まで探したけど、私に釣り合うオトコはいなかったワ!
 シュレーヤーと言う芸名でトップスターになっていたラーディカーを追ってイタリアの彼女の別荘に来たラージ。
 当然、彼女はラージを許そうとはせず「仕事がないから泣きついてきたのね」と彼を自分専属のマネージャーとしてこき使い,ここぞとばかりに無理難題をふっかける!



 タイトルの意味は「気をつけろ、美女たちよ」。主役ランビールの父リシ・カプール主演映画のミュージカルナンバーからとってきたタイトルだそうな。

 ランビールとディーピカと言う、2人の超大型新人を向かえてのラブコメ大作。
 しょっぱなからスイスロケ(ボリウッドでは定番も定番の海外ロケ地)で始まり、オーストラリア、イタリアとそれぞれのヒロインにあわせて海外ロケされてたり、あいかわらず派手派手なミュージカルシーンが楽しい。
 ミニーシャ演じるマーヒーの話は、ギネス級ロングランを更新し続けている傑作恋愛映画「Dilwale Dulhania Le Jayenge」を知ってると、より楽しめる…みたいだけど、未見。くぅ(この映画の監督は、本作の原案・製作を担当してるアディティヤ・チョープラ!)。

 ランビールとディーピカは、もう新人とは思えない堂々とした風格だけれども、ディーピカの扱いが予想より小さかったからなのか、多少演技が怪しかったように見える…のは気のせい?
 このお二人は、本作をきっかけにラブい仲になったそうで、それなりに楽しそうに演じているのがいとをかし(その後、盛大に関係がぶっ壊れたらしいけど)。

 お話は、前半はラージのかるーい恋愛遍歴を描くドタバタラブコメ(「DDLJ」などのパロディ満載!)。後半は、一転してそれぞれの恋愛のその後の人間関係を描く事に焦点が当たられていく。

 ランビールは、写真で見るかぎりはそんなカッコいいとも思ってなかったけど、OPダンスでシビれさせてくれちゃった! さすが芸能一家の御曹司。ただのボンじゃなかったのねー!
 ま、3人のヒロインを描くってことで、最初のマーヒーはともかく、他の2人はわりとトントン拍子に展開してしまうんで、ラージの出世具合も含めて「そんなうまく事が運ぶか〜?」とかツッコミたくはなるけど、3本立てを凝縮してる感じはお得感倍増。総集編映画だと思えばいいのだよ。うん。

 本編とはあんま関係ないけど、それぞれの登場人物の家族構成の対比も結構オモロかったりする。
 シーク教徒のマーヒーの家族は父親がいかめしく威厳たっぷりの父権家庭(…にみえるけど、誰に対しても優しいおとんと言うオチつき)。
 対してラーディカーの家は母親が強くて彼女と一緒になって話をトントン前進させていくのが微笑ましい。しかも、大スターになったあとのラーディカーは、部下に自分を「マァム」と呼ばせて絶対服従させ、母親第一主義のイタリアに住んでいるのだ!
 主人公ラージとガーヤトリーは、どちらもすでに親がいない状態になってると言う所は、やっぱり"神の定めた運命"と言うヤツなんかしらん?

 それにしても、1996年に○○才設定のラージって……あれ? ワタスと同い年? あぁ…今、はてしない亀裂が見える…。
 ボリウッドのボンドガール ビパーシャ・バスもカッコいいやらお美しいやら。3人のヒロインの中では一番キャリアのある人だからか、存在感は1番でございますわ。
 で、やっぱり大スターはみんな、スタッフをあんな感じにこき使ってるんでしょか?


挿入歌 Jogi Mahi (ジョギとマーヒーと)

*ラージとの一件の後、婚約者のジョギンダル(通称ジョギ)とお見合い結婚して幸せな家庭を営んでいたマーヒー。
 …しかし、ラージの残した傷は深く、一見良き妻良き母を演じるマーヒーは、実は対人恐怖症になって、ジョギンダルに対してまったく心を閉ざしてしまっていた。
 ジョギンダルのマーヒーに対する一途な思いは、彼女には全く届かないまま…。


受賞歴
2009 Star Screen Award 作詞賞(Khuda Jaane)・男性プレイバックシンガー賞(Khuda Jaane)・女性プレイバックシンガー賞(Khudha Jaane)

2011.2.18.


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