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Basanta Bilap 1973年 117分
主演 ソウミトラ・チャタルジー & アパルナ・セーン
監督/撮影 ディーネン・グプタ
"お前らが忘れたって、あのボショント・ビラップの連中のやった事を俺は忘れない!!"
西ベンガル州メーディニープル(別名ミドナープル)郊外では、あるアパートの住民とすぐそばの女子寮の住民とによる男女の熾烈な対立が続いていた。
祭礼時にはお互いにイベントを妨害しあい、朝の出勤時にはリキシャー待ちの行列の中で罵り合う。ついには男性側住民のリーダー シャーム(・シュンダル・ゴーシュ)が、女子寮ボショント・ビラップのリーダー ラーダ(本名アヌラーダー・シンハ)に難癖つけられて公衆の面前で罵倒されたために「絶対にあいつらに復讐してやる」と誓い、夜中に中傷ビラを撒きにシャームと仲間たちが女子寮に乗り込んでいく騒ぎに。
そんな騒動の中、シャームの同居人であるグプトやラルー(本名ラリット)、シドゥ(本名シッデェーシュワーラー・ボンダーパディヤーイ)は、それぞれに女子寮の住民である税理士ニータ(本名ナブニター)、小学校教師パロ(本名パールバティ)、アローとぎこちなくその関係を深めていくようになるが、男女ともに自分たちのリーダーの顔色が怖くてその事を表沙汰にできないでいた…。
挿入歌 Ami Miss Calcutta (私はミス・カルカッタ [1976年度代表なの])
*老人を騙って偽のお見合いを仕組もうとするシャームに、思い通りにはいかないぞと受けて立って茶番を演じるラーダたちの図。それぞれの地方自慢的な要素(衣裳・音楽・振り付けなども込みで)も盛り盛り。
映画公開が1973年って時期にこの歌詞なのもミソですネ!
タイトルは、劇中の舞台となる女子寮の名前。その名義は「春の嘆き」? …と機械翻訳では出てくるのですが、「恋の病」とか「恋愛に走る若者お断り」的な意味でございましょか? そのネーミングにどんな意味が乗っかってるのかしらん?
男女対立の続くご近所アパートでの4組の男女が織り成すドタバタ物語を描く、ベンガル語(*1)映画。
ベンガルの地方都市を舞台に(*2)、そこで繰り広げられる独身男性グループと独身女性グループの丁々発止を話芸コメディで見せていく一本。
大体のシーンが、それぞれの登場人物の言い合いで構成されているため、ベンガル語の知識が必須な感じで、そこが分からない身としては色々情報を取りこぼしてしまってるように見えてくるのが悔しい感じだけど、若き日のアパルナ・セーンがこんなドタバタ喜劇にも出てたことがあるのねえ、って所では楽しんで見れてしまう映画でもある。「おお! アパルナ・セーンが映画で踊ってるじゃん!」って驚きも…まあ、踊ってても不思議はないけどさ。うん。
劇中の男女対立は、明らかに幼稚な男性側住民のシャレにならない悪戯なせいで、女性側は被害者として告発しても通ると思うけど、それへの報復行為もまた過激。おそらく住民全員が自立した独身女性として社会に対抗せんとするボショント・ビラップの女性たちの強さも、それはそれで美しきかな。
劇中の集合住宅は、男性キャラ側の住んでる所は親や夫婦で同居してる住民もいるから普通のアパートっぽいのに対して、ボショント・ビラップの方は住民全員が独身女性でルームシェアしながら暮らしてる…みたいだけど、社員寮ってわけでもないのかなあ。アパルナ・セーン演じる女性側リーダー ラーダを始め税務署職員が多くを占めてる描写があるけど、小学校教師パロも住んでるから独身女性専用のアパートとしてみんなが集まってきた感じ…?
まあ、そんなこと言ったら、男性側登場人物が何してる人たちなのかシャーム以外は描写がないんだけども(*3)。
監督と撮影監督を務めたディーネン・グプタは、1932年英領インドのベンガル州カルカッタ(現西ベンガル州都コルカタ)生まれ。
1955年の「Kankabatir Ghat」あたりから、カメラマンとしてベンガル語映画界に参入。サタジット・レイの「大地のうた(Pather Panchal)」「大河のうた(Aparajito)」にも撮影アシスタントして参加しつつ、57年の「Antariksha」から撮影監督として活躍。69年の「Natun Pata」で監督デビューし、本作は6作目の監督作となる。
妻の女優カージャル・グプタ(生誕名ションディヤー・チョットパディヤーイー / *4)との間に生まれた娘ソナーリー・グプタも、70年代に数本の映画に出演する女優として活躍している。
プライドを傷つけられた、として復讐に走るシャームを尻目に、女子寮の住民とそれぞれに恋仲になっていく同居人達の調子の良さもトボけた笑いを誘うけども、三者三様のロマンス展開が思い切りシンクロして進展していくテンポの良さも映画的に楽しい。その恋愛の進み具合のご都合主義的な点なんかは、お互いに憎しみ合うシャームとラーダとの対比になってる感じなのも効果的。
ま、ラストのリーダー達の落とし所あたりは、「結局そういうお話かい!」みたいな強引なオチな気もしないではないけれど…。
挿入歌 Ek Charetei Thanda (1発のキツい平手打ちが [彼のレッスンになりました])
「BB」を一言で斬る!
・ベンガル人がくしゃみをする時は「ハッチ!!」か「ハッチョ!!」になる。覚えました。
2025.12.19.
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