インド映画夜話

ドタバタ・ツインズ (Chaalbaaz) 1989年 109分(元は155分)
主演 シュリーデーヴィー & サニー・デオール & ラジニカーント
監督/脚本 パンクージ・パラーシャル
"時に臆病な内気娘。時に奔放な下町娘。そんな彼女はトリックスター!"




挿入歌 Na Jane Kahan Se Aai Hai (どこから、彼女は来たのだろう)

*…弦楽器って、土砂降りの雨の中でも音出るの?


 アンジュとマンジュは、お屋敷に産まれた双子の女の子。
 しかし赤ん坊の時にマンジュが誘拐され、行方を探しまわる両親に代わって屋敷の管理を任されたトリブバン(双子の叔父)が、一計を案じて兄を交通事故死させると、遺産手続きのためだけにアンジュを養育しながら虐待し隷属させ続けていた!!

 一方、精神病の母親(マンジュを誘拐したメイド?)を看病しつつ下町でダンサーとして育っていたマンジュは、チンピラ相手にスラム街でたくましーく生きていた。今日も、友達のタクシードライバー ジャグと一緒に、払いの悪い店の男たちを蹴るわ殴るわボコボコに。

 そんなある日。アンジュに、近所に住む御曹司スーラジとの見合い話がやってきた! 彼はアンジュを、前に飲み屋でくだを巻いていたマンジュだと思い込んでしまっていたのだ…。
 トリブバンの妻アンバは、すぐにお見合いが破談になるように仕向け、自分の弟バトクナスを彼女の結婚相手として呼び寄せる。有頂天のバトクナスの襲撃を、飼犬モティの攻撃でなんとか避けることが出来たアンジュだったが…しかしその夜、彼女は寝室でモティの死体を発見する!!

 ついに耐えきれず家を飛び出したアンジュだったが、下町でチンピラにからまれてさあ大変。偶然騒ぎを聞きつけたスーラジと、マンジュ&ジャグとでチンピラを追い払ったものの、ケンカ中にスーラジが怪我を負ってしまった!
 マンジュがスーラジを病院に運ぼうと止めた車には、アンジュを追ってきたトリブバン夫婦が乗っていて、夫婦はアンジュと間違えてマンジュとスーラジを連れ帰ってしまう。
 アンジュはアンジュで、ジャグのタクシーに隠れていたために、なんだかんだとついて回るアンジュをマンジュだと思い込んだジャグが、彼女の世話を焼くように。

 本人も知らない所で入れ替わったアンジュとマンジュは、激変した環境に戸惑いつつ順応していくが、いきなり性格の変わった彼女たちに周りは大混乱…。





 原題の意味は「トリックスター」。
 主演は、映画一族出身のサニー・デオールとボリウッドの女王シュリーデーヴィー。さらにタミルのスーパースター ラジニカーントがジャグ役でヒンディー映画に出演!!(*1)
 本作は、1972年のヘーマー・マーリニー主演映画「Seeta Aur Geeta」のリメイク(情報頂きありがとうございます!)でもある。

 CSで放送された日本語字幕版「ドタバタ・ツインズ」は、ミュージカルシーンが根こそぎカットされているため(OPと、アンジュが家のパーティーで踊りだすシーンだけはあったけど)かなりあっさりした地味〜でB級感タップリな印象。
 対照的なヒロインを1人2役で演じるシュリーデーヴィーの魅力はフルスロットルながら、スーラジとマンジュが突然くっついてたり、アンジュがあっさりとスラムの生活にとけ込んでたり、マンジュの母親が一瞬の登場でなんだかわかんなかったりと、展開に無理矢理感が強い(まぁ、ムリクリ感は元からかもしれんけど…)。
 番組紹介で「ラジニカーント出演の歌って踊っての楽しい作品」とか書いてあるわりには、ラジニは歌っても踊ってもくれなかったのが詐欺(=Chaalbaaz)っぽいぞ!

 お話そのものは、ツッコもうと思えばいくらでもツッコめるノリ重視の展開だけども、双子ものの定番の「入れ替わってみたらさあ大変!」のドタバタのテンポはハッチャけててグー。
 前半は、アンジュを虐待するトリブバン(演じるは名優アヌパム・ケール!)の嗜虐趣味がこれでもかと出てきて、ほとんどホラー映画の域。鞭で殴るは、階段から蹴落とすわ、精神剤注射で情緒不安定にさせるわ、ペットの犬があっさり殺されるわ……ウリィィィィィィ!!!!!!!

 双子が入れ替わってからは、うってかわってドリフ的なドタバタ劇になっていって、シュリーデーヴィーとラジニ(+アヌパムも?)の掛け合いが絶妙。色々と無茶なネタ振りも含めてコント的なシーンの連続が楽しい。マンジュ役の時の、小気味よいシュリーデーヴィーのアクションも見所? とても同じ時期に「Chandni」で主演してる人と思えんわぁ(89年には、他にも3本+カメオ1本に出演してるそうな)。


挿入歌 Tera Beemar Mera Dil

受賞歴
1990 Filmfare Awards 主演女優賞・振付賞

2011.7.14.


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*1 最近まで、ラジニ主演のタミル映画だと思い込んでた…のはナイショ。