そんなヴィディユト・ジャームワール全推し映画の監督を務めたのは、1955年西ベンガル州生まれのディリップ・ゴーシュ。
FTII(インド映画&TV研究所)の大学院監督&脚本コースを修了し、学生時代からカルト的人気を得ていたにも関わらず商業映画界には行かず、広告界へ入って自身の映像プロダクション"エクィノックス""Zフィルムズ"などを立ち上げながら、ドキュメンタリーやCMを製作する道を選択。インド広告界における、現地語採用、ローカライゼーションを推進した人物として広く知られている他、世界的にも他に類を見ない「子役業界」をテーマにしたドキュメンタリー「Aadhi Haqeeqat, Aadha Fasana / 英題 Children of the Silver Screen(銀幕の子供たち / 1990年公開作)」でナショナル・フィルムアワード特別賞他多数の国際映画賞を獲得している。
本作で、娯楽映画監督デビューして大きく注目されたのち、再び広告映像製作で活躍しているよう。
本作ヒロイン シムリットを演じたのは、1986年西ベンガル州都カルカッタ(現コルカタ)生まれのプージャー・チョープラー。
男児を欲しがった父親に孤児院に連れていかれそうになったことから、母親ニーラ・チョープラーが姉シュブラと共に家から連れ出し、ボンベイ(現ムンバイ)で母と姉の3人家族で育ったと言う。
2009年フェミナ・ミス・インディア・イースト他で優勝してスーパーモデルとして活躍。同年のミス・ワールドにインド代表として出場中、足首を捻挫して3週間の絶対安静と診断されながら、それでも大会出場を続けて16人のファイナリストにまで残り続けた。大会では、彼女の慈善活動が賞賛され「目的を持った美」賞を獲得。その賞金を、貧困層の女児支援NGO活動に寄付している。
モデル業での活躍から、2008年のヒンディー語映画「Fashion(ファッション)」でファッションモデル役で特別出演。その後、2011年のタミル語(*2)映画「Ponnar Shankar(ポーナルとシャンカル兄弟)」から本格的に女優デビュー。翌2012年のヒンディー語映画「Heroine(ヒロイン)」の特別出演、英語ドキュメンタリー映画「The World Before Her(ザ・ワールド・ビフォア・ハー)」の出演を挟んで、2013年の本作で主演デビュー。その後も、断続的ながらヒンディー語映画界で活躍中。2018年には、アクシャイ・クマールと共に子供支援活動「ハッピー・ハート・インディア」キャンペーンを立ち上げるなど、複数の慈善活動を主導。2020年の「Poison 2(プリズン2)」からはWeb配信シリーズにも出演していっている。
本作悪役AK-74を演じたジャイディープ・アーラワットは、1978年(1980年とも)ハリヤーナー州ロータク県カルカラ生まれ。
地元の大学で英語の修士号を取得後、FTIIで演技を習得。ラージクマール・ラーオなどの同級生になる。元々は軍人志望だったそうだけど面接で落選が続き、劇団に参加していた経験から俳優の道に転向したとか。
特に映画界へのコネがない中、苦労して仕事を探して短編映画出演を挟んでヒンディー語映画「Khatta Meetha(酸いも甘いも)」にノンクレジット出演して長編映画デビュー。2012年の出演作「血の抗争(Gangs of Wasseypur)」前後篇の大ヒットで知名度を広げ、主にヒンディー語映画界で活躍中。本作で、複数の映画賞から悪役賞ノミネートされ、本作と同年公開作「Vishwaroop(世界の形)」の同時製作タミル語版「Vishwaroopam(世界の形)」でタミル語映画デビューもしている。
2012年の「Upnishad Ganga」からはTVシリーズにも出演。2023年のWeb配信主演作「Jaane Jaan(愛する人)」でフィルムフェアOTT批評家選出ネット・オリジナル映画主演男優賞を獲得した他、以降の出演作でも映画賞・TV賞を贈られている。