インド映画夜話

家族の四季 愛すれど遠く離れて(Kabhi Khushi Kabhie Gham...) 2001年 211分
主演 シャー・ルク・カーン & カージョル & リティック・ローシャン
監督/製作/脚本 カラン・ジョーハル
"どんなに離ればなれになっても一家は共に、時に喜び時に悲しみ…"







 "人生で何かを勝ち取りたいのなら、心の声を聞け。
 もし声が聞こえないなら、両親の顔を思い浮かべろ。
 そうすれば、迷いは消えさり、
 勝利の栄光は、お前のものだ…"

 デリー郊外の広大な邸宅に住む大財閥ライチャンド家。そこの次男ローハンが久しぶりに大学から帰ってきた。この時、偶然ローハンは祖母たちから、行方不明の兄ラーフルが実は養子だった事を知らされる…。

 その昔、子供のいないライチャンド夫婦は、捨て子の男の子を引き取ってラーフルと名付け、後に産まれたローハンとともに本当の兄弟として育てていた。特に妻のナンディニは、ラーフルを溺愛していたのだった。

 それから十数年、家長の父ヤーシュヴァルダンの誕生日を祝うために、留学先のロンドンから帰ってきた陽気な兄ラーフルは、偶然下町に住むお調子者のお嬢様アンジェリと出会い、彼女の姉の結婚式のゴタゴタの中で、相思相愛の仲になって行く。
 奇しくも、弟ローハンの乳母とアンジェリの家は親しい仲だったし、ローハンとアンジェリの妹プージャは同じ学校に通うクラスメイトだった。

 しかし、厳格な父は家名を汚す事は許さないとして、以前からの婚約者ナイナとの結婚を強要する。母ナンディニの説得もむなしく父子は対立。ついにラーフルは勘当を言い渡され、2人は泣く泣く駆け落ち同然にどこかへ出奔してしまう…。

 全てを知らされたローハンは、家族が再びそろって幸せな日々を送ることができるよう、ロンドン留学を名目に、イギリスへ行ったと言う兄を捜しに行く事を決意するが…。


挿入歌 Say Shava Shava (シャバ・シャバ)



 原題の意味は「時に喜び、時に悲しみ…」。通称「K3G」。2004年に東京国際映画祭で上映された時には、原題の翻訳タイトル「時に喜び、時に悲しみ」が使われていたそうな。
 日本語版DVDを探すときは「家族の四季」で検索せよ!

 もう、なんちゅーか大物スターをかき集めた巨人軍的な映画。
 主役は90年代以降の大スター シャー・ルク・カーンとカージョル(*1)。
 そこに80年代ボリウッドのキング&クイーンでもあるアミターブとジャヤのバッチャン夫婦(劇中でもライチャンド夫婦役で出演!)。
 さらに後半の主役には00年代の大型新人リティック・ローシャンとカリーナ・カプール出演という、6人の大物スターが結集。
 加えて、前半のセカンドヒロインにラーニー・ムケルジー(*2)の他、チョコチョコ脇で有名人が顔を出してたりする(*3)。

 製作はボリウッドの巨人軍ヤシュラジュ・フィルムズだし、監督を務めるのは「Kuch Kuch Hota Hai」で一躍ボリウッドの顔となったヒットメーカー カラン・ジョーハル。
 そして映画のテーマは、ボリウッドが得意中の得意とする「家族愛」「祖国愛」。これで売れなきゃウソでしょ、ってな布陣である。

 この映画を最初に見たのは、前に渋谷でやってた解説付き上映会(*4)。
 初見では、なんかエラいクラシカルな映画だなぁ…まるで60年代じゃん、なんて思っていた(*5)。

 ところが、家でじっくりもう一回見てみたら面白いのなんの。ボリウッド独特の文法で展開される様々な見所シーンに、思いっきり笑い・泣き・踊って・楽しんでしまった。さすが、お祭りとしての機能を最大限発揮するボリウッド。その文法を理解すれば、こんなに面白い映画はないのにねぇ。映画の楽しみ方も、1つではないのだよ。みつを。

 我がおかんは、これが理解できないらしく毎回横から「演技がわざとらしくてイヤ。特に女優が媚びすぎ」と難癖つけてくるでゴザル。もう、勝手にサッドムービー三昧してて下さい(ま、私も同じように、おかんの見てる韓流ドラマを横から見て、茶々入れてるんだけど)。


挿入歌 Suraj Hua Maddham (太陽は中天に)

*2人の思いが通じ合った瞬間、舞台はなんの脈絡もなくエジプトへ…
 このぶっ飛び具合がステキ!
 歌は前半は好きなんだけど、後半になると演歌調になってしまうのがウーン…。



受賞歴
2002 Filmfare Awards 主演女優賞・助演女優賞(ジャヤ)・台詞賞・美術監督賞・シーン・オブ・ジ・イヤー賞
2002 Zee Cine Awards 女性プレイバックシンガー賞・男性プレイバックシンガー賞(Suraj Hua Maddham)・特別パフォーマンス賞(カージョル)
2002 IIFAインド国際映画協会賞 男性プレイバックシンガー賞(Suraj Hua Maddham)・助演女優賞(ジャヤー)
2002 Star Screen Award 主演女優賞・No.1カップル賞
2002 Bollywood Movie Award 作品賞・主演女優賞・助演男優賞(リティック・ローシャン)

2010.2.15.

戻る

*1 この2人は、90年代末期に世界的大ヒットを飛ばした「Kuch Kuch Hota Hai」の主役コンビでもある。
*2 この人はカージョルの実の従姉妹…仲は悪いそうだけど。
*3 さらに、ラーフルの幼年時代をシャールクの実の息子が演じてたりする。
*4 本編上映と並行して
「このシーンは○○って映画のパクリで…」
「ここはラニが主演した○○って映画の1シーンをネタにしてて…」
「これがリティックの聖なる親指で…」
 …と色んな意味深なネタを解説してくれたイベント。
*5 リティックなんて、シャーク団に入ってウエストサイドで踊ってそうな…。