Karthik Calling Karthik 2010年 135分
主演 ファルハーン・アクタル(製作も兼任) & ディーピカー・パドゥコーン他
監督/脚本/台詞/原案/製作補 ヴィジャイ・ラルワーニー
"完璧な仕事、完璧な彼女、完璧な生活。全ては完璧ー"
"ー秘密を抱えて、いられるのなら"
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子供の頃の悪夢にうなされるカールティク・ナーラーヤンは、今日もいつもと変わらぬ朝を迎えた。
内向的な彼は、いつも大家からアパートの修理費用を無心されるわ、勤め先の建設会社の書類仕事全般を押し付けられるわ、それでいて顧客契約も持ってこいと命令されるわで心の休まる時もない。唯一、同じ職場にいる美女ショナーリー・ムケルジーの姿を追う事が楽しみながら、入社から4年間、彼女との接点は一切ないまま。
カールティクは、幼い頃兄からの虐待を受けていたが、両親はそれを信じてくれなかった。ある日、兄に古井戸に落とされそうになった彼は必死に逃げ出したのだが、代わりに兄が井戸に転落してしまい、そのまま命を落としてしまった。その日以降、カールティクは兄の死の原因は自分にあると攻め続けている…。
ある日、些細な誤解から社長の失敗を自分のせいにされたカールティクは、社員全員の前で罵倒されて解雇を言い渡される。ショックから数日間部屋に引きこもった彼は、睡眠剤の大量摂取で自殺を図ろうとするが、薬を口に入れようとした瞬間に電話が鳴り始める…
『誕生日おめでとう、カールティク』
「…誰ですか?」
『カールティクだよ。君も同じカールティクだろ? たった今睡眠剤を飲んで自殺を図ろうとしていたね。もう死ぬ必要はない。私が来たからには、全てが変わるよ。君の人生を改善させてあげよう…』
「あなたは誰だ? なんの冗談なんですか!?」
『いいから信じろ。私は君のために言っている。君の銀行口座も知ってるし、君が子供の頃につけた顔の傷の由来も説明できる。自分の人生を変えたいと思わないか? 私を信じろカールティク…』
その日から、午前5時になるとカールティクからの電話がかかってくるが、電話局にはこの電話の通話記録は一切残っていない……
挿入歌 Hey Ya! (ねえ、あのさ!)
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人生に絶望して引きこもる主人公の元に、主人公と同じ名前、同じ声を持つ男からの電話がかかってくるサイコスリラー・ヒンディー語(*1)映画。
部屋に設置された新商品の固定電話を通して、別の自分が語りかけ、その自分が自分になりすまして知り合いにまで情報操作してくる恐怖を描いて行くと言う、都会人の孤独と恐怖を表現する1本……とまとめてみると、2007年公開作「No Smoking(ノー・スモーキング)」、2008年の「Aamir(アーミルの1日)」、2013年公開作「テーブル21番(Table No. 21)」あたりの路線の映画に近いか。
ムンバイの会社内や集合住宅内などの密閉空間を主な舞台として、無関心とあたりの強い会話しかない都会人たちにかこまれて精神を摩耗して行く主人公が、悪魔の囁きのような電話の男の指導によって地位も恋人も手に入れる…という前半の展開から「これは、インドのなろう系と違うか?」とか思わないでもなかったけれど、こういう寓話的プロットが後半に「全てを手に入れたはずの男を襲う固定電話の恐怖」として牙を向くのも寓意的。最大限跳ね上がったオチへの期待値ハードルに答えてくれるオチだったかどうかは、人による気もしますが、まあ「おおぅ…!」と衝撃を与えてくれる映画でありましたわ。
監督を務めたヴィジャイ・ラルワーニーについては、あんま情報が出てこないけど、もともとコピーライターとして広告界に入って来て、広告会社のクリエイティブ・ディレクターで活躍している人のよう。映像製作の仕事を受け持つ中で映画界から声がかかり、本作で長編娯楽映画監督デビュー。大きな評判を勝ち取るも、以降は広告界に戻っているようで、映画&TV界では2019年のTVシリーズ「The Final Call」の脚本を担当したのみになってるよう(2026年現在)。
同じくコピーライターから映画界に入った主演ファルハーン・アクタル(*2)が呼び寄せた、広告ディレクターによる新規映画企画とかだったら大成功な衝撃作で、この路線で色々作ってもらいたい感じもするけれど、「マダム・イン・ニューヨーク(English Vinglish)」のガウリー・シンデー監督、「ニュークラスメイト(Nil Battey Sannata)」のアシュウィニー・アイアール・ティワーリー監督などの広告界出身映画監督の活躍にも影響が出ているのかどうなのか。
デジタル端末全盛時代において、固定電話と言う「それでも各家庭、各会社、各店舗に1つは置いてあるありふれた家電」から来る得体のしれない相手からの悪魔の囁き、どこまで逃げようとしても固定電話がそばにある限り、その得体のしれない恐怖から逃れられないと言う束縛感は、電話なしの生活を強行しようとした後半の主人公をどこまでも追い続けて行く効果絶大のギミック。
大切な人には隠し事はしたくない、と言う主人公の善性がやがて周りを巻き込んだ悪意そのものへとつながって行くスピード感も圧巻。電話という、日常に強制的に侵入する外部情報が、同じ声の相手であるが故に本人確認とかの防御策もなく多くの人々の生活を壊して行く様も、皮肉的に面白い構造。そうなんですよ。電話なんて言う生活を勝手に乱す機器ばかり使う奴なんて、信用してたまるもんかー!(←感化されやすい人)
プロモ映像 Karthik Calling Karthik (カールティク・コーリング・カールティク)
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「KCK」を一言で斬る!
・日本製の電話と言いつつ、パッケージに思い切りハングルが書いてありますがなー!(*3)
2026.2.6.
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