インド映画夜話

クリッシュ (Krrish 3) 2013年 152分
主演 リティック・ローシャン & プリヤンカ・チョープラー & カングナー・ラーナーウト
監督/製作/脚本/原案 ラケーシュ・ローシャン
"クリシュは思想よ。…私たちがいなくても、新たなクリシュはきっと現れる"




*とりあえず、キャッチコピーとロゴデザイン決めたの誰やねん。


 ムンバイにて、インド政府研究所所属の天才科学者ローヒト・メヘラーは太陽エネルギーを集約して生命エネルギーに変える技術を開発。しかし、今はまだそれをコントロールするフィルターの開発なしには、実用化できない技術だった…。
 一方、ローヒトと同居する息子のクリシュナは、父が宇宙人から受け継いだ特殊能力を継承して仮面のヒーロー クリシュとしてインドでも活躍していた。その秘密を知っているのは、父と、TVレポーターの妻プリヤーのみ。

 ある日、ナミビアで新種ウイルスによる致死性伝染病が発生!!
 そのワクチン開発を急ぐ世界中の科学者に先立ち、カール製薬と言う会社がいち早くワクチンを開発。だが、その裏で暗躍する謎のミュータントたちが…。


プロモ映像 Krrish Krrish (クリシュ・クリシュ)



 2003年のSFファンタジー映画「Koi... Mil Gaya(なにかが…やってきた)」、その続編となる2006年のSFヒーロー映画「クリシュ(Krrish)」に続く、待望のシリーズ第3弾!
 主演のリティック・ローシャン、監督のラケーシュ・ローシャン(リティックの父親)、音楽のラジェーシュ・ローシャン(ラケーシュの弟)も続投と言うローシャン家映画。「Krrish 2」はどうした、って話はとりあえず無視しよう。だってシリーズ3作目なんだもん。うん。
 日本では、本国トレイラーが出た頃にネット上で一瞬騒がれた後、2014年にDVD発売前に短期間上映された。

 前作が前作なので、あんま期待しないで見に行ったら、結構盛り沢山の上にいちおー物語とテーマとエンタメが程よく混じった良作になっててビックリ。
 前作が、「ターザン」とか「スーパーマン」のノリだったのに対し、本作は明らかに「Xメン」を意識してるよなぁ…とか思ったら、劇中に登場するミュータントたちの造形はやっぱり「Xメン」にインスパイアされたものなんだそうで。とは言え、いわゆるアメコミヒーロー的なアクションだけには納まらない親子劇・恋愛・テロと暴力の否定…と言う様々な要素が入って来るのがさすがインド。このボリュームで2時間半で話がまとまってるのが逆にビックリですがな。

 まあしかし、前作から7年も経っちゃうと、ただでさえそのカッコ良さ演出やセクシーさ演出に古くささが目立っていた前作を引っ張ってしまうヴィジュアルが、現代最先端映像効果とのミスマッチを浮き彫りにしてしまいますな。その辺のミスマッチ具合を逆に利用した映画構成や伏線の数々は「そう来たか!」って楽しかったけども。
 にしてもリティックも、家族がからむと役を選ばないよなあ…と思ってたけど、カヤ役のカングナーも役を選ばないよねぇ…。その無機質性がとてもよく似合ってはいたけどさ。ラスボス演じるヴィヴェークは「さすがは悪役顔!」ってくらい似合ってたのがスンバラし。車椅子生活の超能力者が悪役と言う所も「Xメン」への対抗心かね?

 主役クリシュナ(=クリシュ)とその父親ローヒトの1人2役を演じるのは、シリーズ3作通して続投のトップスター リティック・ローシャン。
 1974年ムンバイにて役者兼監督のラケーシュ・ローシャンの元に生まれ、子役から映画界に入って父親の元で助監督を務めた後、2000年の「Kaho Naa... Pyaar Hai(言って…愛してると)」で主演デビューして新人賞を総なめ。瞬く間にトップスターに上り詰め数々の映画賞を獲得していく事に。03年の「Koi... Mil Gaya」から、それまで画面上で隠していた"幸運の指(右手親指の奇形)"を解禁。「あんな親指がほしい」とファンから騒がれるほどの人気勝ち取り、その影響力はネガティブ記事がでっち上げたリティック発言(*1)でネパールで暴動が起こったほど。日本公開作もしくは上映作でも、IFFJで上映された本作の前作品にあたる「クリシュ(Krrish)」を始め、「人生は一度きり(Zindagi Na Milegi Dobara)」「火の道(Agneepath)」「カイト(Kites)」「恋する輪廻(Om Shanti Om)」「チャンスをつかめ(Luck by Chance)」などでその活躍を見る事が出来る。

 ヒロイン プリヤー役には前作から続投のプリヤンカ・チョープラー。
 1982年ビハール州(*2)ジャムシェードプルに生まれ、インド軍付属医のパンジャーブ系の両親と共に北インド中を転々とし、一時はアメリカで暮らす少女時代を過ごしたとか(*3)。2000年度ミス・ワールド(インド人としては5人目!)に選ばれた事をきっかけに映画界に入り、2002年のタミル語映画「Thamizhan(タミル人)」で映画デビュー。翌03年に「Andaaz(独自スタイル)」でヒンディー語映画デビューして新人賞を獲得し一躍トップスターに。クールビューティー系女優として年に3〜6本前後も映画出演する人気を勝ち取っていた中、07年の「Salaam-e-Ishq(ようこそ、愛よ!)」でコメディエンヌとしての芸風を開花。08年には、ファッションモデル界の赤裸々な濡れ場シーンやドラッグシーンも演じきった「Fashion(ファッション)」が大絶賛され、09年の「What's Your Raashee?(君の星座は)」では1人12役と言う快挙を達成。その美貌と共に、確かな演技力とトップスターとしてのオーラを遺憾なく発揮する女優として大活躍中。12年には「バルフィ!(Barfi!)」で障害児役を、14年には「Mary Kom(メアリー・コム)」で今までにないほど筋肉質なアスリート的な身体を作り上げて主演を演じ業界を驚かせていた。
 日本公開作または上映作でも「バルフィ!」「ドン:過去を消された男(Don)」「闇の帝王ドン(Don 2)」「恋する輪廻(Om Shanti Om)」「君と僕の物語(Teri Meri Kahaani)」「ラ・ワン(Ra.One)」などに出演。

 悪役カールが巻き起こすウイルステロは、今見るとかなりシャレにならない緊迫感を与えてくれるわけで、それに対して1人のスーパーヒーローではどうにも対処できないこと、人間一人一人の善意と無私の勇気と団結こそがテロを食い止める鍵であると言い切った前半の話だけでも(*4)手に汗握るボリュームながら、そこからさらに、人工生命体であるマーンヴァルスが愛に目覚める(=人間になる?)エピソードを挟みつつ、ローヒトをめぐる哀しくも美しい親子劇に展開する所がスンバラし。
 親子2代の物語も本作で一応の決着がついた感じではあるのが感無量な感じだけど、これで完結なのか次回作予定があるのかどうなのか。


挿入歌 Raghupati Raghav (ラグ王家の主 [ラーマ王子を迎えたもう])

*歌詞に「オラ アミーゴ!」とスペイン語が入るのは、スペインロケの大ヒット映画にリティックが主演してたから…とかじゃないよね、きっと!




受賞歴
2013 BIG Star Entertainment Awards 娯楽映画監督賞・娯楽映画アクション俳優賞(リティック)
2014 Apsara Film Producers Guild Awards 殿堂栄誉賞・特殊効果賞(レッドチリースVFX)
2014 IIFAインド国際映画批評家協会賞 アクション賞(シェイム・カウシャル&程小棟[チン・シウトン])・視覚効果賞(ケイタン・ヤーダヴ&ハレーシュ・ヒンゴラーニー&レッドチリースVFX)
2014 Screen Weekly Awards 特殊効果賞(レッドチリースVFX)
2014 Zee Cine Awards パワークラブ(ボックス・オフィス)特別賞・特殊効果賞(レッドチリースVFX)




「クリッシュ」を一言で斬る!
・お母さん(プリティ・ジンダー)の写真は飾ってあるのに、おばあちゃん(レーカー)の写真がメヘラー家にないのは何故だぁぁぁw

2014.11.28.

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*1 あとでリティックが発言自体を全否定してました。
*2 2000年の独立で現在はジャールカンド州所属。
*3 渡米中は、インド人と言うことでいじめにあっていたとかなんとか。
*4 それはヒーロー否定ではないか!