インド映画夜話

Love In Tokyo 1966年 170分
主演 ジョイ・ムケルジー & アーシャー・パーレーク & メフモード
監督/製作 プラモッド・チャクラボルティ
"サヨナラ〜! 高度成長ひた走る、東京ラブストーリー!!"




挿入歌 Japan - LOVE IN TOKYO



 その日、アショクは気乗りしない見合い結婚から逃げるため、式の途中で親友のマへーシュにバイクで乗りつけさせ「一大事だ!」と式場を後にしてしまった。

 しかしその頃、アショクの家には本当の一大事が舞い込んでいた!
 かつてアショクの兄は、家に無断で日本人女性ニヨシと結婚して勘当されていたのだが、突然その2人の訃報が告げられたのだ!
 母ガヤトリーデヴィは悲しみに暮れながらも、ニヨシの遺書に従い2人の残した子供を引き取る事を決意。アショクに、日本からその子を連れ帰ってきてほしいと頼むのだった。
 喜び勇んで東京にやって来たアショクだったが、兄の息子チクーは「僕は日本人だから、インドなんか行かない」と言い張り、彼の目を盗んで逃げ出してしまう。

 同じ頃、東京のインド・コミュニティで育ったインド人舞踏家のアーシャーは、育ての親の叔父が、彼女の遺産を狙うプランとの結婚話を共謀しているのを聞きつけてしまい、家出を敢行。プランから賞金つきの捜索願を出されていた。
 同じように叔父から逃げ出してきたチクーとアーシャーは、偶然に出会って意気投合。一緒に、それぞれの叔父を追い払おうと同盟を結ぶのだった。

 追跡から逃れるため男装したアーシャーは、サダルジーと名乗って「この子の保護を頼まれた」とアショクからチクーをかくまう。
 さらにチクーの叔母に変装してアショクを翻弄するアーシャーだったが、アショクはそんな彼女に一目惚れ。彼の恋愛相談にのるサダルジーを演じるアーシャー自身も次第にアショクに惹かれていくように…。

 そんな中、東京に行ってしまった恋人シーラを追って来たマへーシュは、結婚に反対する彼女の父親に見つかって、東京中を逃げ回ってアショクとバッタリ。
 さらに、プランがついにアーシャーを見つけるわ、東京にやって来た母親がアーシャーを追い払うわで…。


挿入歌 Sayonara Sayonara

*…この歌の大ヒットで、いまだにインドでは日本人と見ると「サヨナラ〜」とか「ジキジキ」とか言ってくるんだそうな(後者は、この映画とはなんも関係ないけど)。


 東京オリンピック直後の日本で撮影された、(日本人から見れば)伝説のインド映画!
 映画としては、「007は2度死ぬ」とか「ラストサムライ」のような偽ジャパンなネタ映画扱いされかねないかもだけれど、60年代の東京その他の風景がフルカラーで撮影されていると言うだけでも、貴重な映画(*1)。

 出演者は当時のトップスターたち…だそうだけど、膨大な出演作を眺めて「へぇ〜人気者だったんだね〜」と感心するしかない、60年代ボリスターに疎い私。主役のジョイ・ムケルジーは、ラーニー・ムケルジーの親戚筋らしいけど。

 お話はコテコテのラブコメで、途中途中でギャグ担当のマへーシュあたりから「007」的なパロディが出て来るなぁ…と思っていたら、ラストは急にそっち系のアクション映画になって行った(*2)。
 物語の舞台は東京だけなんだけど、河口湖(?)やら広島やらの景色なんかも出てくる(*3)。

 インド映画のお約束の1つに「神の前で結婚の誓いを立てた夫婦は、なにがあろうと夫婦のままであり続ける」と言うものがある。
 本作でも、物語以前のアショクの兄の結婚・冒頭のアショクの見合い結婚式・変装したマヘーシュがシーラと行なった結婚式・プランとアーシャーの結婚儀式…と色々なシチュエーションの結婚式が出て来るけれども、まさにこの法則の通りにラブストーリーは進行していく。
 途中で邪魔が入って神への誓いが果たされないままのカップルは、元のさやに戻りそうであっても結局は破局し、たとえ家族の承諾がなくとも神への誓いがなされたカップルは、どんな困難があっても正当な夫婦として最終的に結ばれる。愛の達成は、まずなによりも神への誓いなんです……かねぇ。

 メフモード扮するマへーシュのインターナショナル・ゲイシャの変装には笑ったけど(日本語/英語/ヒンディー語/グジャラート語/マラーティー語を操る万能芸者!)、サリー/地味なシク教徒風/チャイナ風ワンピ/白ワンピ/着物…とコロコロ変わるアーシャーのファッションの多彩さはお美しい。チャイナを着て「私はチクーの叔母」とか言ってた時は、なんとなく「慕情」のジェニファー・ジョーンズを彷彿とさせ…る?(*4)。

 どーでもいいけど、チクーの母親ニヨシさん一家の方は、アショクたちになんか言ってこないんですかねぇ? なんか名前が「ティファニーで朝食を」に出てたエセ日本人キャラのMr. ユニヨシみたいだわん。

 名前と言えば、初見では、最初にアショクがチクーを紹介されたシーンで「彼がチクーさんです」「オゥ、チクサ(ン)。ナイス ネーム!」とか言ってたので、てっきり「チクー="千草"」だと思ってしまったけど、そんな事はなかったみたいで…(*5)。

 ま、なにはともあれ、サヨナラサヨナラ、サヨナラ♪


挿入歌 Koi Matwaala Aaya Mere Dwaare (見知らぬ人が、扉の前にやって来た)

*古典舞踊の達人アーシャー・パーレークの晴れ舞台!
在日インド人の舞踏家のために、こんだけの舞台を用意するのは……NHK?


2011.4.16.

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*1 当時、道路は外車ばっかり走ってんのね…。
*2 もっとも、本作は1967年の「007は二度死ぬ」よりも前の作品だったりする。
*3 東京の神社巡り…と言う設定で厳島や原爆資料館に来てたり。
*4 日本人には見えない。まったく。
*5 この子も日本人には見えない。まったく。