インド映画夜話

ゴールド・プレイヤーズ (Players) 2012年 164分
主演 アビシェーク・バッチャン & ソーナム・カプール & ビバーシャ・バス
監督 アッバス=ムスタン
"プレイヤーたちよ、金塊が待ってるぜ"




 世界的な大盗賊チャーリー・マスカレーナスは、ロシアで殺された親友ラージのゴアでの葬儀中に、彼の妻シャイラーから1冊の本を託された。
 その本に隠されたDVDの中で、生前のラージはロシアからルーマニアに返還される大金塊の強奪計画を明かす…「これを見ている時は、俺が失敗した時だチャーリー。俺のマネをするな。金塊を狙うなら、一級のプレイヤーを集めたチームで挑め…」

 ラージの助言に従って、服役中の師匠ヴィクター・ブラガンザに協力を要請するチャーリーだったが、彼は「仕事は引退した」として参加を拒否。代わりに、最強のプロフェッショナルをチャーリーに引き合わせる…多言語を操る爆弾魔ビライ・バシール、俳優志望のメイクアップアーティスト サニー・メヘラー、天才的マジシャン ロニー・グレワール、そしてチャーリーの妻でもある女怪盗リヤー・ターパル。さらに正体不明の世界的ハッカー スパイダーの居場所を、ヴィクターの娘ネーナの協力で見つけ出してチームに引き入れる一行は、計画始動のためペテルスブルクへ乗り込んでいく。
 しかしその裏で、彼の知らない別の計画もまた始動していた…。


挿入歌 Ho Gayi Tun (思い切り酔っぱらえば)


 ミニクーパーの容赦ないカーチェイスシーンが話題となった2003年のハリウッド映画「ミニミニ大作戦(The Italian Job) 」(*1)の、正式なヒンディー語(*2)映画リメイク作登場!!
 ボリウッド初の北極圏ロケを敢行した映画でもあるそう。インドのほか、クウェート、カナダ、アイルランド、オランダ、ロシアでも公開。
 日本では、2017年よりNetflixにて「ゴールド・プレイヤーズ」のタイトルで配信されていた。

 予告編解禁から、そのハリウッドスタイルなアクション大作っぷりを見せつけてきて嫌が応にも期待を膨らませられる映画であったけれど、蓋を開けてみると…うーん、まあね、って感じの映画。実際、インド本国では制作予算の大規模さに比して興行成績が伸び悩んだため、本作のような大規模海外ロケ&マルチスター映画路線が一旦縮小してしまったとかなんとか。
 これを見てると、なんとなく同じ路線の2014年公開作「ハッピーニューイヤー(Happy New Year)」が、いかに同じ轍を踏まずに話を盛り上げることに注意してるのかがわかる、ようなそうでもないような(*3)。

 話の構成は、大きく分けて3つ。
 最初はアムステルダムを舞台にした主人公紹介とゴアでのチーム結成。
 映画前半はロシアを舞台に、チームの金塊強奪計画をスピーディーにパワフルに「オーシャンズ11(Ocean's Eleven)」や「スパイ大作戦(Mission:Impossible)」みたいなノリで描いていく。この辺までは、ハリウッド的な部分とボリウッド的な部分を併せ持つ豪快なアクションサスペンスって感じでとても楽しいんだけど、ミニクーパーは登場しないし、リメイク元の話とそんなにシンクロしないので「やっぱ、大きく脚色したリメイク作なのかな」とか思ってたら、インターミッション直前から元映画の冒頭部分の展開が始まって「これまでのは、本筋に入るための準備段階だったのかー!」と驚いた次第。
 後半は、ニュージーランドを舞台に、元映画のエッセンスを辿りつつ前半で蒔いた伏線を回収していく復讐劇へと流れていくものの、前半の派手さが若干なりを潜めてしまい消化不良気味。ニュージーランドロケでは、色々と撮影許可申請が通りにくくて苦労したという噂が画面に透けて見えるような感じ(*4)。

 監督のアッバス=ムスタンは、グジャラート語(*5)映画出身のアッバス・アリーバーイ・ブルマーワーラーとムスタン・アリーバーイ・ブルマーワーラーの兄弟デュオ監督。
 グジャラート州スーラトに生まれ、映画界を志して映画雑誌編集をしていた叔父の助言を参考にしつつ、78年のヒンディー語映画「Ganga Ki Saugandh」の助監督に参加して映画界入り。その後、ゴーヴィンドバーイ・パテール監督の元で助監督をしている中、監督がグジャラート語映画企画を断ったことをきっかけに、その企画の監督に就任して85年の「Sajan Tara Sambharna」で監督デビューを果たす。
 グジャラート語映画界でヒット作を作り上げていく中、ヒンディー語映画にも進出して映画プロダクション"ブルマーワーラー・パートナーズ"を設立。その業績から、アジア映画&テレビ協会から国際映画&テレビクラブ・ライフ・メンバーシップを授与されている。

 ハリウッド映画のインスパイアものを得意とするアッバス=ムスタンによる、「ミニミニ大作戦」の正式リメイクとして、アビシェーク他アクの強い役者で占められる主要登場人物たちのキャラ立ち具合も楽しいけど、ハリウッド版もその辺負けてないからなあ…。
 一番の見せ場であるミニクーパー(*6)の大暴走アクションが、わりと付け足しになってしまってるのが痛い。映画としては、そっちよりも騙し騙されのサスペンスアクションの方に重点が置かれ、信用できない登場人物たちや、二転三転する強奪計画の裏の裏が徐々に明らかになるテンポの良さに最大の魅力を見せつけてきている。
 メインを張る役者たちの中で、ひときわ魅力全開なのは峰不二子か! ってオーラ山盛りのビバーシャと、楽しそうに小物演技を見せつけるニール・ニティン・ムケーシュの2人。この2人のかっこよさ、妖艶さを楽しむだけでも見る価値はあるけれど、映画後半になればなるほどやっつけ具合が強くなるのが、惜しい一本ではある。
 最後の、崖の中腹でのマフィアたちとの対面シーンは、オリジナル英国版を彷彿(?)とさせて嬉しいサービスでもあり、大金塊の隠し場所なんか完全に「ルパン三世だー!」ってシンクロ具合が楽しい楽しい映画ではありまっせ!!

ED Jhoom Jhoom Ta Hoon Main ([君への陶酔、それは夢のよう。それは簡単には行かない] それはオレを狂ったように踊らせる)


受賞歴
2013 Filmfail Awards 最悪リメイク・オブ・ジ・イヤー賞
2013 The Ghanta Awards 最悪助演女優賞(ソーナム・カプール)


「ゴールド・プレイヤーズ」を一言で斬る!
・後半登場の、インド愛好が過ぎてインド人と結婚したニュージー人の妙なインドマニアっぷり、他人事ジャナイワーww

2020.7.3.

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*1 元々のオリジナルは、1969年の同名イギリス映画、こっちの方がより過激なカーチェイス映画になってる!
*2 インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語。
*3 両作とも、アビシェーク出演のマルチスター映画だっぜ!
*4 道路陥没とか、そこそこ派手なことはやってくれますけど。
*5 またはグジャラーティー。西インド グジャラート州と連邦直轄領ダマン・ティーウ及びナガル・ハヴェーリーの公用語。
*6 元映画が青・白・赤というユニオンジャックカラーのミニだったのに対して、本作は青・黄・赤ってのは、ユニオンジャックをヒンドゥー色で染めてるノリ? …な訳ないかw