Premam 2015年 156分
主演 ニーヴィン・パウリィ & マドンナ・セバスチャン & サイ・パーラヴィ(振付も兼任) & アヌパマ・パラメースワラン
監督/脚本/原案/作詞/編集/CGタイポグラフィ/色彩調整/スタント/出演 アルフォンス・プトゥーレン
"貴方への愛が、美しい雨を降らす。ああ、その美しさは…"
挿入歌 Aluva Puzhayude (アルヴァ川の岸辺に [誰もいなかったから、ゆっくり滑りながら12月のそよ風を探しに来たんだ])
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1984年。ジョージ・ディヴィッドは、デイヴィッドとリサの間に生まれた。
1999年。ジョージはSSLC(*1)1級に合格。
そして、迎えた西暦2000年…。
「2000年8月10日。愛するメリーへ」…最近のジョージは、村1番の美少女と名高いメリー・ジョージに首ったけ。なにかにつけ彼女への賛辞を口にして、登下校中のメリーの後ろについて行く。しかし、ついに告白を決意したその時、メリーから自分と同じ名前の婚約者がいる事を知らされたジョージは、未練たらたら、初恋が終わった事を認めないわけにはいかなかった…。
時は過ぎて、2005年。
ジョージは幼馴染シャンブ、コヤと共にエルナークラム県アルヴァにあるユニオン・クリスチャン・カレッジ(*2)にいた。
暴力事件を起こしたり後輩いびりに精を出したりとやさぐれる彼の前に、新任のタミル人工学講師マラーがやって来る。一瞬で彼女に一目惚れしたジョージは、不器用ながらマラーの気を引くために色々と話しかけて仲良くなって行くが、その頃、同じくマラーを好きになったと言う大学講師ヴィマルから「恋愛相談に乗ってくれ」と言われてしまう。協力するふりをして牽制するジョージは、学内イベントを通してマラーとの距離を縮めて行くものの、ある日の講義中「マラー先生が教職を辞めた」と言う知らせが突然舞い込んで来て……
挿入歌 Scene Contra ([あの子もこの子もいらない。誰もいらない。恋なんていらない。とにかく] このシーンは恋愛パートじゃない)
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タイトルは、マラヤーラム語(*3)で「愛」。
公開されるや、ケーララ州のみならずタミル・ナードゥ州でもロングランヒットして、その当時のマラヤーラム語映画誌上最高興行成績を樹立。ザ・ヒンドゥー紙の選ぶ「ここ10年間の最高マラヤーラム語映画25選」、フィルム・コンパニオン誌選出の「ここ10年間の最高演技100選」に選出されている。
後の2016年には、同名テルグ語(*4)リメイク作「Premam」も公開(*5)。
ケーララ州の地方都市で成長して行く主人公の3つの恋路を追う、美しく軽快な青春讃歌ロマンス劇。
高校時代、大学時代、社会人の頃と変遷して行く彼の人生と、その折に訪れる恋の有様を描くと言う意味で、2004年のタミル語(*6)映画「Autograph(オートグラフ)」との共通性を指摘する向きもあり、そのリメイク作だと言う声もあるよう。
とは言え、「Autograph」が結婚式招待状を配る主人公の回想シーンを本編とする青春時代へのノスタルジー映画であるのに対し、似た構造ではある本作は少年期〜青年期へと成長して行く主人公の恋愛遍歴をそのまま時系列順に展開させるユーモア青春劇。「Autograph」からの影響はあるかもだけど、全く同じ路線というわけではない。語り口の軽妙さ、恋愛劇について回るユーモアあふれる距離感、それを彩る撮影、台詞の応酬、パステルトーンで統一された色調、なんといってもデビューしたばかりの音楽監督ラジェーシュ・ムルゲーサンの旋律の美しさとキャッチーさが、恋に走り恋に破れ続ける主人公の、少年期の終わり、子供から大人へと成長して行くその成長讃歌を夢想的に、希望的に、それこそを人生の美しさだと喧伝する「在りし日の青春」を描く1本。
監督を務めたのは、1984年ケーララ州エルナークラム県アルヴァ(*7)に生まれたアルフォンス・プトゥーレン(プトゥーレンは父称名)。
BCA(コンピューター・アプリケーション学士号)を取得後、タミル・ナードゥ州都チェンナイの大学に移って映画制作学位も取得。学生時代の2009年に短編映画「Neram(時)」を発表してから短編映画を発表し続け、卒業後もミュージックビデオやCM製作、短編映画製作に従事。自身の過去作をもとにして、2013年のマラヤーラム語・タミル語同時製作映画「Neram」で長編映画監督&脚本&編集デビュー。続く本作共々大ヒットを記録して、各映画賞を獲得。名実共にヒットメーカーの仲間入りとなった。以降、マラヤーラム語、タミル語映画界で監督、脚本家、編集担当として活躍。2018年にはモーシン・カシム監督作マラヤーラム語映画「Thobama」でプロデューサーデビュー。本作でカメオ出演していたあと、2025年には「United Kingdom of Kerala(ケーララ連合王国)」他でも役者として活躍してる。
主人公ジョージの高校時代の一目惚れ相手メリー・ジョージを演じたのは、1996年ケーララ州トリッシュール県イリンジャラクダ生まれのアヌパマ・パラメースワラン(パラメースワランは父称名)。
コッタヤムの大学でコミュニケーション英語を専攻するも、俳優を志望して中退。本作で映画デビューして、IIFAウットサヴァムのマラヤーラム語映画新人女優賞を獲得。翌2016年の「Kodi(旗)」でタミル語映画に、「A Aa」とリメイク版「Premam」でテルグ語映画にそれぞれデビュー。「A Aa」でZeeシャイン・アワード・テルグのガール・ネクスト・ドア賞を受賞している。
以降、南インド映画各言語界で活躍。2019年には、「Natasaarvabhowma(演者の帝王)」でカンナダ語(*8)映画にもデビューしている。
大学時代の恋のお相手マラー先生役には、1992年タミル・ナードゥ州コインバートル県コインバートル(*9)生まれのサイ・パーラヴィ(・セントゥマライ・カンナン。セントゥマライ以下は父称名)。
バダガ族(*10)の両親の元に生まれ、妹に女優プージャー・カンナンがいる。
グルジア(現ジョージア)の国立医科大学で医学部を修了。インド帰国後にFMGE(*11)を受けたと言うものの、インドでの医師登録は未登録であるとか。
幼い頃からダンスの仕事を志望していたものの、ダンス訓練の縁がないまま学校イベントなどで踊っていて、視聴者参加型TV番組に出演してダンスで勝ち進んだことから、2005年のタミル語映画「Kasthuri Maan」などでノンクレジット出演。彼女のダンス動画を見たアルフォンス・プトゥーレンからの再三にわたる出演オファーを受け(*12)、大学の長期休暇期間を利用して本作出演して映画(&振付)デビュー。数々の映画賞の新人女優賞を獲得する。
2017年には「Fidaa(魔法のように)」と「Middle Class Abbayi(ミドルクラスの少年)」でテルグ語映画デビュー。2018年のタミル語・テルグ語同時製作映画「Diya(ディヤ)」でタミル語映画に主演デビューする。以降、3言語映画界で活躍。2020年から、タミル語Webシリーズ「Paava Kadhaigal(罪深い物語)」にも出演。2026年にはヒンディー語(*13)映画デビューも控えている。
その後タミル語映画界で大活躍するマドンナ・セバスチャンをはじめ、ジョージの恋のお相手役の本作で映画デビューする新人女優を配置し、その魅力を余すところなく見せつける女優映画としても完成度が高い。
ジョージの恋が、高校時代は一方的な片思いで強引なストーキングラブである幼さが強調されるのに対して、大学時代のぎこちない友達以上恋人未満な両者のゆったりとした恋模様、恋愛を諦めた社会人時代の意外な再会から始まる相手の気持ちを確かめ合い続ける奥手な恋愛模様と、三者三様の恋愛劇が、主人公ジョージの成長とともに落ち着いた恋愛像に徐々にシフトしていく人生劇としても秀逸。失恋のその後のヒロインたちの人生もそこはかとなくカバーされ、結婚式が幸福の絶頂の姿というよりは少年時代との別れの色合いが濃い描かれ方をされているのもまた美しい。そのジョージの成長に、必ず関わってくる幼馴染のお馬鹿友達とのツーカー(死語?)な関係の深化具合も、人生模様として麗しきかな。
映画公開に際して、特別な大宣伝も予告編もないまま公開され、物語の詳細も3人ヒロイン制であることも伏せられた状態で無名役者たち出演者として公開され、口コミで人気を獲得して大騒ぎを引き起こした青春劇の完成度は、まさに常習制の強い映像の美しさに酔いまくり。パステル調の画面の中で、村→大学→都市と変化していく人と人の密度の濃さの変化を表すかのように、主人公の人付き合いや恋愛における距離感の違いもシンクロして成長して行っている様を見せつける。色調統一された画面の中で登場人物たちの周囲に出てくる心情や状況説明的な吹き出しも、ユーモアを加速させ、漫画的な静かなツッコミ演出を見せてくる。そんな映像の遊びとともに、情けない恋敵役を監督自身が演じて、主人公たちにボコボコにされていく姿もしてやったり顏に見えてくる微笑ましき映画の心地良さを強調していてナイス。
挿入歌 Ithu Puthan Kalam (新しい時代だ)
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受賞歴
2015 Asianet Comedy Awasrds コメディ・ペア賞(ソービン・シャーヒル & ヴィナイ・フォルト)・コメディ台詞賞(シャラフ・U・ディーン)・コミカルシーン歌曲賞(シャバレーシュ・ヴァルマー & ラジェーシュ・ムルゲサン)
2015 Asiavision Movie Awards 人気作品賞・男優・オブ・ジ・イヤー賞(ニーヴィン・パウリィ)・センセーショナル俳優・オブ・ジ・イヤー賞(サイ・パーラヴィ)・男性歌手賞(ヴィネート・スリーニーヴァサン / Aluva Puzhayude)
2016 Asianet Film Awards 人気作品賞・マラヤーラム語映画主演男優賞(ニーヴィン・パウリィ)・監督賞・音楽監督賞(ラジェーシュ・ムルゲサン)・男性歌手賞(ヴィジャイ・イェスダス / Malare)・批評家選出特別賞(サイ・パーラヴィ)
2016 CPC Cine Awards 作品賞・音楽監督賞(ラジェーシュ・ムルゲサン)
2016 Filmfare Awards South マラヤーラム語映画女優デビュー賞(サイ・パーラヴィ)・マラヤーラム語映画男性プレイバックシンガー賞(ヴィジャイ・イェスダス / Malare)
2016 IIFA Utsavam 音楽監督賞(ラジェーシュ・ムルゲサン)・作詞賞(シャバレーシュ・ヴァルマー / Malare)・男性プレイバックシンガー賞(ヴィジャイ・イェスダス / Malare)・コミカル演技賞(ヴィナイ・フォルト)
2016 Mirchi Music Awards South リスナー選出ソング・オブ・ジ・イヤー賞(Malare)
2016 North Amerivan Film Awards 男性プレイバックシンガー賞(ヴィジャイ・イェスダス)
2016 SIIMA(South Indian International Movie Awards) マラヤーラム語映画作品賞・マラヤーラム語映画監督賞・批評家選出マラヤーラム語映画男優賞(ニーヴィン・パウリィ)・マラヤーラム語映画女優デビュー賞(サイ・パーラヴィ)・マラヤーラム語映画音楽監督賞(ラジェーシュ・ムルゲサン)・マラヤーラム語映画作詞賞(シャバレーシュ・ヴァルマー / Malare)・マラヤーラム語映画男性プレイバックシンガー賞(ヴィジャイ・イェスダス / Malare)
2016 Vanitha Awards 音楽監督賞(ラジェーシュ・ムルゲサン)・男性歌手賞(ヴィジャイ・イェスダス / Malare)
2016 IBNLive Movie Awards 南映画デビュー賞(サイ・パーラヴィ)
2016 Vanitha Film Awards 人気作品賞・人気男優賞(ニーヴィン・パウリィ)・新人男優賞(クリシュナ・サンカル & シャラフ・U・ディーン & シャバレーシュ・ヴァルマー)・新人女優賞(サイ・パーラヴィ)・音楽監督賞(ラジェーシュ・ムルゲサン)・男性歌手賞(ヴィジャイ・イェスダス / Malare)
「Premam」を一言で斬る!
・ワタスもいつか、カヌーでケーララの水路デートしてみたい!(手漕ぎ船を漕いだことなんて……あ、子供の頃、父親と1回漕いだことがあったような)
2026.2.27.
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