インド映画夜話

SKTKS ~お見合い大作戦~ (Sonu Ke Titu Ki Sweety) 2018年 138分
主演 カールティク・アールヤン & ヌスラート・バルーチャー & サニー・シン
監督/製作/脚本 ラヴ・ランジャン
"親友と彼女、最後に勝つのは当然…?"




 ニューデリーで大きな菓子店を営むソヌーとティットゥは幼馴染の大親友。
 子供の頃に両親を亡くしたソヌーは、富裕層のティットゥの家で兄弟同然に育ち、朴訥なティットゥをその都度全力でサポートする。今日も今日とて、彼女ピフとつまらないケンカで別れを切り出されたと泣くティットゥに「何度目だ! 俺がいるんだから、もう女のことなんて忘れろ!!」と慰め役に…。

 翌日。菓子店の業績拡大計画を進めようとするソヌーだったが、傷心冷めやらぬはずのティットゥが、家族の勧めで急遽お見合いをすると聞いてビックリ!
 結婚して安定したいと語るティットゥは、ソヌーの言葉も聞かず最初のお見合い相手スウィーティー・シャルマーとすぐに意気投合。NGO職員で気遣い上手、家族や友人を大事にして万事そつなくこなす彼女に、ティットゥ含め一族が夢中になってしまう。あまりに完璧な"理想の妻"っぷりに不信感を抱くソヌーだったが、そんな彼の言動を気にする者はなく婚約式まで滞りなく行われていく。
 その夜、スウィーティーは散々婚約を邪魔したソヌーを前にこう切り出して来る…「そう、私って狡猾な女なのよ」…!!


挿入歌 Dil Chori (心が盗まれた)


 原題の意味は、ヒンディー語(*1)で「ソヌーのティットゥのスウィーティー」…かな?
 ロシア語題「Сону, Титу и Свити」、英題「Sonu's Titu and Titu's Sweety」または「S.K.T.K.S.」としても公開。日本では、2018年のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて「SKTKS ~お見合い大作戦~」のタイトルで上映。

 小規模映画ながら大ヒットを飛ばしたヒンディー語映画「恋愛被害者の会(Pyaar Ka Punchnama)」とその続編「恋愛被害者の会2(Pyaar Ka Punchnama 2)」の監督&キャストが再結集した、この2作の合わせ鏡的な別バージョン、とでも言えそうな立ち位置にあるドタバタラブコメ。
 インド本国では、その2面性のある女性の描き方がステレオタイプ過ぎるとして抗議される騒ぎになったとか言うんだけど…そんな言うほど悪意で描かれてるかなあ、って感じ。玉の輿を狙った婚活なんて、どこにでもある話よねー(棒

 映画冒頭に、15年公開作「ロイ(Roy)」の挿入歌が流れてきて「あ、ヤバそ。また音楽主体のタルい映画か?」と一瞬不安になったけど、シチュエーションコメディ的でありつつ軽快なラブコメ映画で、主人公ソヌーと敵対者スウィーティーの丁々発止が楽しい、変化球的なラブコメ映画でございました。疑ってゴメンよT-シリーズ。
 前半でほのぼのと描かれるお坊ちゃんティットゥの婚約の進行によって、家を追い出されかねないソヌーと、シャルマー家の財産分与権獲得を狙うスウィーティーとの火花を散らす後半の嫌がらせの連続が、話をあっちこっちに二転三転させて楽しいし、インドの婚約〜結婚式に至る儀式・慣習・家族イベントの数々を華やかに見せつける画面の密度ったらもう。
 登場人物のほとんどがシャルマー姓(*2)と言うのも、色々意味がかかってそうなそうでもなさそうなって感じが楽しくもあるけど、図太く生きるインドの男性や女性、家族たちの掛け合い、それら家族愛や異性愛を上回る勢いで描かれる男の友情(*3)の濃口濃度具合がなんとも。

 主役ソヌーを務めるカールティク・アールヤン(生誕名カールティク・ティワーリー)は、1990年マディヤ・プラデーシュ州グワーリヤル生まれ。父親は小児科医を、母親は婦人科医をしているそう。
 マハラーシュトラ州ムンバイの工科大学に進学して、在学中からモデル業を始めつつ密かに映画俳優を夢見てオーディション生活を続けていたと言う。11年公開の「恋愛被害者の会」のオーディションに合格して初めて両親に俳優業を希望していることを打ち明け、撮影時は新人俳優たちとアパートで同居しつつ彼らの炊事役で生活費を稼いでいたとか。この映画で映画&主役級デビューとなり、プロデューサー協会映画賞新人男優賞にノミネートされる。
 その後、母親の出した条件通りにバイオテクノロジー工学の学位を取得して大学を卒業。デビュー作の監督をしていたラヴ・ランジャン監督作を中心に、主演男優として活躍していく。15年の「恋愛被害者の会2」でスターダスト・コメディ演技賞とBIGスター・エンターテインメントの最優秀アンサンブル娯楽演技賞を獲得している。

 本作ヒロイン スウィーティーを演じるのは、1985年マハラーシュトラ州ムンバイのダウォーディー・ボーホラー派(*4)の家生まれのヌスラート・バルーチャー。父親は実業家をしている。
 本人曰く、演技学校に行かないままオーディションから女優業を始めたそうで、02年のTVドラマ「Kittie Party」などの出演を経て、06年の「Jai Santoshi Maa」の端役で映画デビュー。続く09年の「Kal Kisne Dekha(明日なにが起こるかわかる?)」でスターダスト・アワードの明日のスーパースター女優賞ノミネートする。10年の「Love Sex Aur Dhokha (LSD: 愛とセックスと裏切り)」で主役級デビューして注目され、11年の「恋愛被害者の会」でスターダスト・ブレイクスルー女優賞ノミネート。その続編「恋愛被害者の会2」では、BIGスター・エンターテインメント最優秀コメディ演技女優賞他多数の映画賞を獲得する。

 ティットゥ演じるサニー・シン(生誕名サニー・シン・ニッジャール。*5)は、1988年マハラーシュトラ州ムンバイのパンジャーブ系シーク教徒の家生まれ。父親は、有名なアクション監督ジェイ・シン・ニッジャール。
 96年のTVドラマ「Dastaan E Hatimtai」などの出演(?)を経て、11年の「Dil Toh Baccha Hai Ji(心は子供のままに)」にカメオ出演、13年のラヴ・ランジャン監督&カールティク&ヌスラート主演作「Akaash Vani(アーカーシュとヴァニ)」に出演して映画クレジットデビュー。15年の「恋愛被害者の会2」で主役級デビューとなり、その次が本作になる。

 監督を務めるラヴ・ランジャンは、ウッタル・プラデーシュ州ガーズィヤーバード県生まれ。
 AAFT(アジア協会映画&テレビ・トレーニングセンター)で学んだのちに、11年の「恋愛被害者の会」で監督&脚本デビュー。若い世代からの絶大な支持を受けて大ヒットを飛ばし、その後も監督&プロデューサー&脚本家として活躍中。本作は、監督作としては4本目になる。

 予告編で「BROMANCE VS ROMANCE」って出てくるってことは、やっぱそう言う映画と見たほうがいいのかどうなのか。まあ、アホな男の友情劇と見てもそれはそれで楽しい映画なんだけど。これまでのボリウッドにあったような、とってつけたような「今時の若者恋愛像」みたいな堅苦しさがない分、より自然な「今時さ」の脱力具合がいい感じですよ。そう言う意味では、日本人には見やすい映画なんじゃナイカナー(棒
 そんな中で、無駄に胸を見せつけたがる脱ぎたがり男優たちや、デビュー作からその異例な長台詞が評判なったと言う饒舌なカールティク・アールヤンの畳み掛けるように続く掛け合い漫才とか、結婚破談に持っていくためのやたら遠回しな計画の数々やら、色々と「あんたも好きねえ」とツッコみたくなる数々の要素を、ニヤニヤしながら見ていくのが丁度いい映画ではありまする。

挿入歌 Chhote Chhote Peg (さあ、小さな栓を抜け)


受賞歴
2018 Dada Saheb Phalke Film Foundation Awards 悪役女優賞(ヌスラート)
Dadasaheb Phalke Excellence Awards 最優秀エンターテイナー・オブ・ジ・イヤー賞(カールティク)


「SKTKS ~お見合い大作戦~」を一言で斬る!
・ヒロイン演じるヌスラート・バルーチャーの顔になんか見覚えが…と思ってたら、角度によってはネパール人女優ナムラター・シュレスタに似てる(気がする…モデル然としたヘアスタイルのせい?)!

2018.11.17.

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*1 インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語。
*2 ハイカースト系の代表的な姓。サンスクリットで「幸福」とか「慰め」とかの意になるそう。
*3 腐った皆様、ここ注目ですゼ!
*4 イスラム教シーア派に属するイスマーイール諸派から派生した宗派。
*5 同名の男優サニー・シンとよく間違えられるらしい。