Super 2005年 144分(151分とも)
主演 ナーガルジュナ・アッキネンニー(製作も兼任) & ソヌー・スード & アイーシャー・タキア & アヌーシュカ(・シェッティ)
監督/脚本/台詞/原案 /振付プーリ・ジャガンナード
"敵意は大切。特に親友との間には"
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バイクレーサーとしても活躍するタクシー会社兼整備工場社長のアキルはその日、会社の部下ともめたお客シリ(本名シリヴァリ)に抗議するために、彼女が務める病院にやって来た。
シリを見た瞬間に一目惚れしたアキルは、部下の主張もそこそこに彼女との再会を約束して満足顔。それからは、部下が壊したTVに代わるものを持ってくると言う口実のもと、毎日シリを追いかけ回し、シリもまたそんな彼を次第に気に入って恋仲になっていく。
同じ頃、街では強盗事件が多発していて、警察はその犯人と思われる男を現行犯逮捕一歩手前まで追い詰めながらいつも取り逃がしていたため、捜査班の刑事たちは焦る一方。そんな彼らの前に「犯人を名乗る男の肖像画を描いた」という男が…。
そんなある日、ついに結婚の日取りも決まったアキルとシリの前に、シリの父親が交通事故死したという知らせが!!
悲しみにくれながらもシリは以降、かつての父親経営の整備工場の職員で、現在は独立しながら昔の恩義から彼女を養妹にしてシリ親子の生活を援助していたソヌーの元に身を寄せることに。"友情の日"のクラブパーティーでシリはアキルとソヌーを引き合わせようとしてたのだが、実は2人は因縁浅からぬ間柄。ある過去の経緯から、出会えばそのまま喧嘩が始まる犬猿の仲でもあったのだ…
「俺の妹をこれ以上見つめていたら、その眼を潰してやる!」
「お前の妹だなんて、今初めて知ったよ…おかげで、さらに愛が深まったよな!」
挿入歌 Mudduletti (キスを拭いに来て)
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名匠プーリ・ジャガンナードの12作目となる、テルグ語(*1)映画。
後に同名タミル語(*2)吹替版、ヒンディー語(*3)吹替版「Robbery」も公開。
のちの大女優アヌーシュカ・シェッティの映画&主演デビュー作であると共に、ヒンディー語映画で活躍していた女優アイーシャー・タキアのテルグ語映画デビュー作となった1本。
初っ端のバイクレースに時代を感じつつも「おお!? この前年公開のDhoom(騒音)への対抗意識的な?」とかうがった見方をしてしまいかねないノリの映画で、ラストバトルなんかは「ミニミニ大作戦(The Italian Job)」なんかの影響を指摘する声もあるとか。
ま、ゆーてもバイクアクションやカーアクションはあくまで場を盛り上げるための仕掛けでしかなく、話の本筋は2人の男の対立と友情、前半と後半それぞれに登場するヒロインをめぐる愛情と危機をこれでもかと描きまくる何時ものマサーラー構造な映画。「もっと面白いバイクアクション撮ってやんゼ!」って作ってる側の声が聞こえてきそうな外連味の嵐で「そんなアホな」とか言いたくはなるけれど、その思い切りなハッタリもいっそ清々しいからやめられませんねん。ええ。
主人公アキルを演じるのは、1959年タミル・ナードゥ州都マドラス(現チェンナイ)のテルグ語家系に生まれたナーガルジュナ・アッキネンニー(生誕名アッキネンニー・ナーガルジュナ・ラーオ)。
父親はテルグ語映画界の巨星アッキネンニー・ナーゲスワーラー・ラーオ(通称ANR)。1984年のラクシュミー・ダッグバーティ(*4)との結婚で映画一族ダッグバーティー=アッキネンニー家が構成され、2人の間から男優ナーガ・チャイタニヤーが生まれている。その後、90年の離婚の後92年に女優アマラ・ムケルジーと再婚して、男優アキル・アッキネンニーも生まれている。
ハイデラバードで幼少期をおくっていた頃、父親の主演作テルグ語映画「Velugu Needalu(光と影 / 1961年公開作)」他数本の映画で子役出演。その後、マドラスの大学で機械工学を修了して、米国留学して機械工学の学士号を取得している。
1979年に、両親設立の映画会社アンナプルナ・スタジオ製作の「Kalyani」でプロデューサーデビューして本格的に映画界入り。プロデューサー業を続けていく中、1986年の「Vikram(ヴィクラム / *5)」「Captain Nagarjun(キャプテン・ナーガルジュン)」「Aranyakanda(森林局)」の3本で主演デビューして、その後もヒット作を連発。特に失恋男の演技で好評を得たとか。
以降もテルグ語映画界で活躍し続けながら、1990年には自身の主演作のヒンディー語リメイク作「Shiva」でヒンディー語映画デビュー。96年には主演&プロデューサーを務めたテルグ語映画「Ninne Pelladata(ただ君とだけ結婚したい)」で、フィルムフェア・サウスのテルグ語映画作品賞他を獲得。97年には主演作「Annamayya」でナショナル・フィルムアワード特別功労賞他も受賞しつつ、「Ratchagan(救世主)」でタミル語映画デビューもしている。その後も、男優兼プロデューサーとしてテルグ語映画界を中心に活躍中。
前半のヒロイン シリを務めたのは、1986年マハーラーシュトラ州都ボンベイ(現ムンバイ)生まれのアイーシャー・タキア。
父親はレストラン経営者のグジャラート人、母親はアングロ=インディアン(*6)でイギリス人とマラーター人のハーフだとか。
13才からモデル業を始めてCMやMV出演。16才の頃には学校をやめてプロのモデルとして働いていて、この頃から仕事仲間だったシャーヒド・カプールと知り合っていたそう。その評判から映画界からのオファーが舞い込み、ヒンディー語映画「Socha Na Tha(考えもしなかった / 2005年公開作)」のヒロインに抜擢される(*7)。しかし撮影後の公開が遅れて、その後に撮影された2004年公開作「Taarzan: The Wonder Car」「Dil Maange More!!!(心が求めるもの)」の2本で映画&主演デビューとなった。前者でフィルムフェア新人女優賞、IIFA(国際インド映画協会賞)の新人女優・オブ・ジ・イヤーを獲得。後者でもスクリーン・アワード期待の新人女優賞他ノミネートを果たしている。
翌05年公開の本作でテルグ語映画デビュー(*8)しているものの、以降はずっとヒンディー語映画で活躍し、特に10代の観客から人気を集めていたと言う。06年の傑作「運命の糸(Dor)」でスクリーン・アワード批評家選出主演女優賞他の多数の映画賞を受賞している。
2009年に地元政党のサマジワディ党指導者の息子と結婚してイスラーム教に改宗(*9)。SNSを通して野生動物保護活動などに積極的に参加している。
2011年の主演作「Mod(回転)」を最後に映画からは引退状態で、2012年のTV番組「Sur Kshetra」の司会以降は芸能界からも引退しているよう。
00年代前半頃に、インドの主演俳優が続々ロン毛スタイルになる流れを受けたようなナーガルジュナのロン毛が似合ってるかどうかはともかく、ライバルキャラとなるソヌー演じるソヌー・スード(役名が芸名そのまま!)のマッチョ具合に対抗するような筋肉見せつけスタイルはまあ「母さん、スタイルだよ」って劇中セリフを生かす風貌でありましょか。当初恋の三角関係を担ってラスボるかと思われたソヌーの節度ある悪役スタイルが、ナーガルジュナ演じるやさぐれ兄貴との効果的対象関係を生み出しカッコ良く見えてくるから素晴らしや。
2人のライバル関係が、後半に語られる過去の親友関係だった頃の経緯によってより重層的になっていくのも計算された感情の揺り動かし方ってやつで、そこに関わってくる現在と過去のヒロインもしっかりその存在感を見せつけてくれるマルチスターっぷりが贅沢で嬉しい(*10)。特に、これがデビュー作と思えないアヌーシュカの「恋を追いかけるヒロイン」のふてぶてしさも新人と思えない眼力を見せつけてくるし、デビューしたてのアイーシャ・タキアの「巻き込まれヒロイン」でありながら「自分で動くヒロイン」の覚悟の決まり具合が、後半にいくにつれて殺伐としてくるお話に対応する強さを発揮しているのも麗しい。
話をかき回すだけの似顔絵描き演じるアリーを始めとしたコメディアンパートもある程度は物語の本筋によってくれているし、主人公ばかりにフォーカスしがちなマサーラー演出にあって、それなりに脇役たちにスポットが当たって活躍の場が増幅されている映画の語り方の器用さが画面を豪華にしてくれますわ。
特に主人公アキルとライバル ソヌーの対立とそれを越える友情に注目するこの映画が、2人の似た者同士具合を演出しながらドタバタと周りに関わりながらその関係を修復する関係性が、不良漫画っぽくてよろしい。ここにも、マサーラー映画と日本漫画の共通性が浮かび上がってくる! ……と言えなくもなくもないかもしれぬぅ(超弱気)
とりあえず、もっとアイーシャー・タキアの主演作映画が見たいから、また映画復帰してくれないかなー!
挿入歌 Akkad Bakkad (アブラカタブラ [80が90になって100になる])
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*「アッカド・バッカド」とは、意味のない囃し言葉で「アブラカタブラ」みたいな使われ方をする用語。
受賞歴
2005 Filmfare Awards コメディ演技賞(アリー)
「Super」を一言で斬る!
・強盗事件解決のきっかけとなる下手くそな肖像画家ジョン・エイブラハム。やっぱ名前の元ネタは【Dhoom(騒音)】で敵役キャラ出演していたジョン…?(*11)
2025.8.15.
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