インド映画夜話

君と僕の物語 (Teri Meri Kahaani) 2012年 122分
主演 シャーヒド・カプール & プリヤンカ・チョープラー
監督/製作/原案 クナール・コーリー
"いつ、どこで、どのように、運命の2人が出会うのか。それは神のみぞ知る…"







 時に1960年。
 プーナ(現プネー)からボンベイ(現ムンバイ)に向かう列車に飛び乗ったギタリストのゴーヴィンドは、偶然映画女優のルクサールの専用車両に迷い込んで一騒動。その後、長い列車の旅の間に意気投合した2人は、ボンベイで再会を約束して別れた後、映画スタジオやパーティー会場で秘密のデートを続けるが、ゴーヴィンドは周りのゴシップ記者に見咎められないよう、ゲストハウスで意気投合したマーヒーともデートする日々を続けていく…。

 時代は移り変わり2012年ロンドン。
 大学生のクリシュは、自分の誕生日に恋人ミーラーと破局し、道端でノッティンガム大学の学生ラーダーとぶつかり一悶着。警察沙汰になるも、ラーダーは自分の間違いを認め、お詫びに彼にビールを奢って意気投合してしまう。今日が彼の誕生日だと知ったラーダーは、2人で精一杯楽しい1日を過ごすのだった。
 その後も、フェイスブックでつながる2人はいつしか両思いになっていくが、別れたその日に女を作ったと知った元恋人のミーラーは烈火の如く怒りだし…。

 さらに時を遡って1910年、英領インド時代のラホールはサルゴーダー。
 地元で有名なプレイボーイ詩人ジャヴェード・カードリーは、仲間に恋の手ほどきとばかりに英国婦人に手を出したためイギリス人警察たちに追われていた。その逃亡中にぶつかったアラーダナーは英国人を見返した彼を匿い、それをきっかけに2人は急接近する。しかし彼女の父は独立運動家。遊び人のジャヴェードは気に入られようと独立運動家たちのデモ行進に参加するも、待っていたのは目の前で銃を構えるイギリス軍の姿だった…。


挿入歌 That's All I Really Wanna Do (それが、ホントにやりたいこと)

*フェイスブックを介して進む今時の大学生の人間関係の縮図。こんな演出、同じ年に開催されていたロンドン五輪開会式にもあったねぇ。

 別々の時代と場所で、シャーヒド&プリヤンカが演じる3組の男女が同じように出会い、同じように恋に落ち、同じように衝突して、同じように帰結して行く恋愛オムニバス映画。日本では、2012年にIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて上映された。

 3つの話の関連性が「いつの世も、男女は同じ形で出会い、恋をし、別れ、そして…」と言う物語パターンのみで、後は場所も年代もテキトーに選びました的な感じが漂う。映画構成的にも、1つの物語がある程度まで進んだら「次に続く」で別の時代に行くだけなのも単調かつ単純。分かりやすいと言えば分かりやすいけど…なんか安っぽくてね。むぅ。
 舞台としてよく出来てたのは最初の60年代のボンベイ。ノスタルジーを醸し出すCG+セットの駅や町並み、ファッションや小道具、当時の映画を彷彿とさせるコマ落としフィルム演出や使い古されたコメディ劇など、全力で懐かしき60年代を成立させようとしてるのがよく見える(…ざーとらしくも見えるけど)。当時のボリウッドネタも仕掛けられてるような気もするけど、60年代ボリウッドをそんなに見てないのでよくわからないのが悔しや。にしても当時の路面電車って、あんなゆったり広めなデザインだったんかいな?
 プリヤンカは、なにかのプレスインタビューで「3つの時代のどの役が一番気に入ったか」と聞かれて「ルクサールが一番好き」と言ってたなぁ…。

 各時代のコミニュケーションツールや食生活、音楽などの対比も時代性の違いを出そうとしてるのは分かるけども、どーもお話に絡んでこないから扱いが軽い。時代考証も力の入ってる所と入ってない所がチグハグな感じだけども、植民地時代なんてあんな気楽の時代なんかいな…とか突っ込んでは負けな気もする映画にはなっている。あくまで物語はあえてパターンのみに落としこんで、それぞれの時代性の違いそのものを楽しませようとした…と無理矢理見れなくは…ない。

 主役演じるシャーヒドとプリヤンカは、1度実生活でも恋人同士だった事もあって過去に「Kaminey」で共演経験済みではあるものの、その後2011年に恋人関係が破局してから始めての共演となるそうな。
 劇中ではそんな雰囲気なんぞ微塵も見せず、ちゃんとロマンス劇の主人公をロマンチックに演じているのはさすが。ラブコメ的な映画でもあるので、演技もわりと軽めで分かりやすい。その分映画全体も軽く見えてしまうのはまぁ、役者のせいでは全然ないんだけど。
 それでも、各時代を背景にした三者三様なミュージカルシーンは結構さまになっているのでお気に入りだゼ!

 全体的に、ノスタルジーを主軸に置きながら欲張ってオムニバスでいろんなものを並列的に扱おうとして失敗しちゃった映画…のように見える。


挿入歌 Humse Pyar Kar Le Tu (オレを愛してくれ、やって来い、逮捕しろ)

*1910年のジャヴェード&アラーダナーの歌。






2013.4.26.

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