ファンタジーな地名辞典

ルルイエ

分類:遺跡
交通:可能だが極めて危険
 
 「ルルイエの館にて死せるクトゥルー夢見るままに待ちいたり」 (大瀧啓裕 訳「クトゥルーの呼び声」より)
 正式名称は人間には発音不可能。"ラ・イラー"とも"ル・イエー"とも言われる。
 南緯47度9分、西経126度43分。南太平洋ニュージーランドの沖合の海底に眠るはるか古代の遺跡。全ての形が歪み、地球上の法則を無視した幾何学からなる石柱都市で「深きものども」と呼ばれる怪人によって守られている。もともとは原始地球における一大陸だったらしいが(諸説あり)、人類誕生以前に大陸ごと海中に没した。その理由については、隕石衝突による月の発生に巻き込まれたとか別の支配種族との抗争に破れたとか外宇宙の「旧神」に封印されたとか色々に言われる。
 この都市遺跡には「大いなるクトゥルー」(これも"クトゥルフ""クルウルウ""チュール−""ク・リトル・リトル"等とも言われる)とその眷属が永劫の眠りについている。これらは原始地球に外宇宙よりやってきた「旧支配者」の一種であり、一時期は地球全てを支配していた。ある程度は物質的存在であるらしいが人類から見れば神にも近い存在であり、ひとたび目覚めればそれだけで人類は精神的に支配されてしまう。そうなれば善悪を超越した歓喜と虐殺の満ちる混沌とした時代が到来すると言われる。
 現在、クトゥルーとその眷属は死にも似た眠りについて星の位置が正しく戻る復活の日を待ち続けている。もっとも、ルルイエの都は過去にたびたび浮上しているらしく、その度にクトゥルーの思念による狂気が世界中に蔓延しているらしい。
 
 SFファンには基礎教養らしい「クトゥルー神話」の一遍、1926年H・P・ラヴクラフト作の「クトゥルーの呼び声」で語られる南太平洋の恐怖です。
 「クトゥルー神話」はラヴクラフトやその周辺の小説家によって形作られたもので、主にパルプ・マガジン上で発表されたものでした。現代の神話とも言えるほどさまざまな人に書き続けられ、後から後から設定がつけ加えられて行きました。魔術書ネクロノミコン・魔都アーカム・旧支配者と旧神…。この辺の事情を説明しだすとえらい長くなるので省きますが、多くの人々に付加され語り続けられるこの物語群はまさに神話的です。そして今なお「クトゥルー神話」は、広がり続け書き続けられています。

参考
「クトゥルーの呼び声」
H・P・ラヴクラフト 著 大瀧啓裕 訳 「クトゥルー1」より 青心社
「クトゥルフの呼び声」
H・P・ラヴクラフト 著 宇野利泰 訳 「ラヴクラフト全集2」より 創元推理文庫
 
「新訂 クトゥルー神話事典」
東雅夫 著 学研M文庫
「クトゥルフ・ハンドブック」
山本弘 著 HOBBY JAPAN

2004.2.11.

戻る