ファンタジーな地名辞典

バルガリア

分類:国
交通:ヨーロッパのどこか
 
 1968年度制作のイギリス映画「チキチキ・バンバン」の中で、主人公カラクタカス・ポッツが自作の自動車チキチキ・バンバン(通称チキ)のお披露目ドライブの際、子供達に語って聞かせた空想譚に登場する国。
 ヨーロッパの中の小国で、世界一の悪党ボンバスト男爵に支配された国。20世紀初頭にあってまだまだ中世的社会を色濃く継承していた。最先端技術を手に入れて騒ぎたい男爵と子供嫌いな男爵夫人によって、逆らう者はあっさり処刑されるは子供達は"子供さらい"によって連れ去られるは、諸外国から技術者が誘拐されるはとムチャクチャなことになっている。
 そのため、街中は静寂に包まれ国民は男爵の怒りを怖れて無気力に日々を過ごし、宮殿はどこからやって来たのかさまざまに着飾った貴族たちが舞踏会よろしく男爵に集まって騒いでいた。
 さらわれた父を追ってバルガリアへたどり着いたポッツたちによって、子供達の反乱が起こり男爵が追放され、お城から貴族たちがいなくなってお話はめでたしめでたしと幕を閉じたのだった。

 映画を見れば一発でわかりますが、舞台となるバルガリア城はどう見てもドイツのノイシュヴァンシュタイン城です(1)。お話や舞台美術等もどこか風刺めいたものを匂わせますが、強烈な登場人物たちによって些細なことはふっ飛ばされてしまうパワーがこの映画の魅力でしょう。すぐに武器を持ち出す男爵や、その男爵と喧嘩してんだか仲良しなんだかよくわかんない男爵夫人を始めとした貴族たち。誘拐され拷問されつつこの国に馴染みまくってる科学者たち、そしてなにより異彩を放つ"子供さらい"のワケのわからんテンションの高さがもぅ…(長い鼻で子供の匂いを嗅ぎ分ける時の楽しそうな顔!)。そんな中で個人的にお気に入りなのは、「これちょっと持ってて」と言うと素直に従う廊下の甲冑飾りだったり。

参考
「チキチキ・バンバン」
イアン・フレミング 原作 ケン・ヒューズ 監督
United Artists 製作

2008.2.29.
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(1)実際、バルガリアのシーンは、ノイシュヴァンシュタイン城とその周辺で撮影されたそうです。
 ノイシュヴァンシュタイン城はドイツでも有名な観光名所で、バイエルン王ルートヴィヒ2世の命でドイツのバイエルン州フュッセン南方に建設、1886年にルートヴィヒ2世が亡くなると未完ながら一般に公開されるようになります。