ファンタジーな地名辞典

どうぶつ島

分類:島
交通:可能だがやや危険
 
 どこかの海に浮かぶ猛獣ばかりが住むジャングルの島、どうぶつ島。
 人は全く住んでないが、すぐ近くに商船の最寄り港クランベリのあるみかん島(1)があるため、たびたび探検家が島に入ってくるよう。みかんの木に満たされたみかん島とジャングルばかりのどうぶつ島とは、大小のとび石でのみつながっている。
 どうぶつ島のどうぶつたちは、自分達の暮らしを荒らされるのを非常に嫌っているようで、外から来る者は問答無用に食べてしまおうとするか、でなければ、自分達の都合のいいように飼いならそうとする。空から竜の子が降ってきた時は、島を分断する大きな川の渡し守役に無理矢理つかせていた。
 猛獣たちは、それなりに縄張りをもって独立独歩で暮らしているようではあるが、ひとたび来訪者が来た事が知られるとどうぶつたちのネットワークがいっぺんに島中に広まって(2)、来訪者を追い詰めていく事になる。  
 
 児童文学の大ベストセラーの「エルマーのぼうけん」の主な舞台となる場所です。
 あわてもののねずみ・論理的ないのしし・おこりっぽいライオンやゴリラ・泣き虫サイや気紛れなワニなどなど、次から次へと登場する個性的な動物たちとそれをあの手この手でやり込めるエルマーの冒険に、夢中にならない子どもがいるでしょうか!(断言) 私も、記憶にない頃から親しんできたもんです。裏表紙にある「みかん島とどうぶつ島の地図」を見て、あれやこれやと空想にふけった事はエルマーの読者なら1度ならずやったことでしょう。再びどうぶつ島へ行くときは、みかんと棒つきキャンデー・はぶらしとチューブ入りはみがき・くしとヘアブラシ・むしめがねは必需品。
 「できるだけ、よるのあいだにしまへわたりなさい。よるならば、しまのもうじゅうたちには、きみがいわをわたってくるのがみえないし、しまについたら、すぐかくれることができますからね。」…猫と仲良くなる事も大切! (3)

参考
「エルマーのぼうけん」
ルース・スタイルス・ガネット 作 わたなべ しげお 訳
子どもの本研究会 編集 福音館
2006.2.20.
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(1)「エルマーのぼうけん」の中では、どうぶつ島は「どうぶつじま」、みかん島は「みかんとう」と訳されている。細かい所だけど違うんだなぁ、と今さら気づきましたワ。
(2) 読み返してみて、ネットワークの中心にいる妙に論理的ないのししが一番強烈な印象を与える。
「ちかごろ、このしまに、しのびこんだやつがいるらしい。そのしょうこが、三つある。」
(3) そう言えば、小さい頃に「エルマー」に感化されて野良猫を餌付けしようとして、エルマーと同じく母親に怒られた事があったなぁ…。さすがに、鞭で叩かれはしなかったけど。