24 2016年 164分
主演 スーリヤ(製作も兼任) & サマンタ
監督/脚本 ヴィクラム・クマール
"26年を…26年間をやり直してやる"
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1990年1月13日。時計技師兼発明家のセードゥラーマンは、ついに世紀の大発明に成功する。
だが、そこに現れた彼の双子の弟アートレーヤは、セードゥラーマンの発明を強奪しようと屋敷を家探しし始め、彼の妻プリヤーと使用人を殺害! 追いつめられたセードゥラーマンは、秘密の抜け道を使って赤ん坊マニとともに通りかかった機関車まで脱出するものの…。
それから26年後の、チェンナイ。
育ての母親サティヤバマの元で大きくなったマニ(本名マニカンダン・セードゥラーマン)は、自分の時計屋を持つ時計技師に成長していた。
マニはその日、母親が長年持ち続けていた開かずの小箱にピッタリ合う鍵を発見。その小箱から奇妙な腕時計を見つける。その時計は自動でベルトを組み上げて手首に装着され、強力な電気ショックを受けた腕に反応して動き出した。驚きつつも彼が時間を調節しようとしたその時、世界は突然大きな変化を始める……なんとその時計は、自由に時間を止めたり進めたり、巻き戻したりできるタイムマシンだったのだ!!
その頃、昏睡状態になっていたアートレーヤが、半身不随の状態から意識を回復していた…。
挿入歌 Kaalam Yen Kadhali
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主演スーリヤ自身のプロダクション、2Dエンターテイメント製作による、SFタミル語(*1)映画。
映画公開に際し、ボリウッド(*2)がリメイク権を買っていたと言う同名米国TVドラマタイトルの著作権侵害で訴えられそうになったものの、協議の結果告訴に行く前に解決したそう。
同日公開で同名テルグ語(南インド アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナー州の公用語)吹替版が公開された他、ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)吹替版「Time Story」も公開。日本では、2017年にSIFFJ(南インド映画祭)にて上映。2019年にはインド大映画祭でも上映され、2021年にはインド映画祭 IDEでも上映。
映画の第2部「24 Decoded」の制作も予定に上がっていると言う話も。
タミル語映画としては、2015年の「今日・昨日・明日(Indru Netru Naalai)」に続く2作目のタイムトラベル映画とか。
主役マニとともに、その父親セードゥラーマンと叔父アートレーヤを同じスーリヤが演じてるなんて思えない演技&メイクアップ&映像処理が凄まじく、数々のSF的映像構築がもう、ハリウッドもかくやな重厚な仕上がり(*5)。
腕時計型タイムマシンによる時間操作ネタが次々と話を転がして行く前半は、「もしも過去や未来に行けるとしたら?」「もしも時間を止められたら?」から始まるドタバタ感が妙に楽しく、その使い古された感の強いネタ振りに対して「一目惚れした人を振り向かせるために、なんでもやるぜ!」に全力で突っ走るインド映画らしさが不思議に過激で超面白い。こう言う話になると、下世話なネタを盛り込もうとする日本やハリウッドとは、やっぱインド映画文法は一線を画しているなあと、その娯楽性のありかたにニヤニヤしてしまいまする。
もっとも、90年作のはずなのに液晶ディスプレイ&立体スクリーン表示可能な腕時計の科学的考証とか一切ないし、その能力や限界も、話の都合優先な感が強く、本格SFを期待すると肩すかしを食らいそうだけど、映画の楽しさ優先の見せ方が画面的・物語的に正しく話を盛り上げてくれる映画力の凄まじさよ。
時間の止まった空間を表現する、降り始めた雨粒が一定高度までを満たしている描写の新鮮さとわかりやすさ、そのCG画面の美しい事と言ったら!
映画のランタイム164分と言うのは、「1×6×4=24」になるように意図的に組み上げたものだそうな(ホンマかいな)。冒頭の1990年1月13日という日付も、そのノリで設定されているんだそうで…(もう1度言う、ホンマかいなぁぁぁぁ!!!)。
監督を務めたヴィクラム・クマールは、1979年タミル・ナードゥ州チェンナイ生まれ。
マドラス・クリスチャン大学卒業後、プリヤダルシャン監督作の97年マラヤーラム語映画「Chandralekha」の助監督として映画界入り。その後もプリヤダルシャン監督の元でキャリアを積み、98年の英語映画「Silent Scream」で監督デビュー。ナショナル・フィルム・アワード教育映画賞を獲得する。
その後、01年にラージ・クマールとの共同監督でテルグ語映画「Ishtam(愛好)」でメジャー監督デビューするも興行的には不発。チェンナイに戻って、03年にタミル語映画監督&脚本デビュー作「Alai(波)」を公開し、続いて09年に監督&脚本&原案を担当した「Yavarum Nalam(全て問題なし / *6)」がタミル語・テルグ語・ヒンディー語の3言語界でヒットを飛ばす。
12年には、再びテルグ語映画界に戻って「Ishq(愛)」でナンディ・アワード家族映画注目作品賞を、14年には「Manam(我々)」でフィルムフェア・サウス作品賞&監督賞他多数の映画賞を獲得。本作はこれに続く8本目の監督作となる。
そのレトロフューチャーな画面づくりやハッキリとした勧善懲悪具合が、なんとなくハリウッド的なワールドワイド向けな雰囲気を作っているものの、その強引にワクワクさせて来る数々の仕掛け・伏線・映画的説得力の数々は唯一無二のパワー全開!
最初は綺麗所なだけかと思ったヒロイン、コメディ担当の母親もしっかり物語回収される構築具合は、他のツッコミ所をねじ伏せるにあまりある満足度をもたらしてくれる。
腕時計型タイムマシンの能力の限界具合もハラハラ度を高めてくれる要素満載だし、ヤボなツッコミなんてするだけ無駄ってもんだゼ。だって時計職人のやる事だもの!
…で、あの鳥の羽根がもたらす偶然的発見&物語の始動具合って、なんかインド文化的な意味でもあるのかないのかのどっちなのぉぉぉぉぉぉ?
挿入歌 Mei Nigara
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受賞歴
2017 National Film Awards 撮影銀賞(S・ティッル)・プロダクションデザイン銀賞(アミット・ロイ & スブラター・チャクラボルティ)
2017 Filmfare Awards South 批評家選出主演男優賞(スーリヤ)・撮影監督賞(S・ティッル)
2016 Edison Awards 主人公・オブ・ジ・イヤー賞・敵役・オブ・ジ・イヤー賞
Zee Cine Awards 南インド映画衝撃作・オブ・ジ・イヤー賞(スーリヤ)
FilmBeat タミル悪役賞(スーリヤ)
Kollywood Cinemaaa Awards 悪役賞(スーリヤ)
「24」を一言で斬る!
・1990年は、そんなレトロフューチャーな時代なのくわぁぁぁぁぁぁ!!!
2017.9.1.
2021.1.16.追記
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