8 x 10 Tasveer 2009年 122分 ジャイ・プリーは、カナダのアルバータ州立公園保護を役割とするEPS(Edmonton Police Service アルバータ州エドモントン地方警察)。 彼は幼少時のある事件をきっかけに、写真を覗き込んで"その被写体の当時の様子を追体験する"と言う特殊能力を持つようになり、行方不明者の捜索などでその力を発揮していた。しかし能力使用は臨死体験に近いことから、命の危険を避けるためにも1分間の目覚ましタイマーは必須である…。 ある日、疎遠だった実業家の父ジャティンが海に落ちて心臓発作で急死する。 数少ない一族が集まっての葬式と遺産手続きが進む中、ジャイは、死ぬ直前の父との面会を断り、会社をジャイに継がせたい父の思いを無碍にしたことを悔やむのだった。父の最後の言葉は「見えた…見たんだ…」。 父の遺言通り、遺産はなんの支障もなく母サーヴィトリーに全て譲られ、ジャイは同棲している恋人シーラー・パテールとの日常に戻り、新たな人生を彼女と歩もうと決心する。 しかしそこに突然、探偵のハビーブッラー・パーシャー(通称ハッピィ)と名乗る男が現れ「彼の死は事故ではなく、故意による殺人の可能性が高い」と告げるのだった! 最初は、潔癖性で奇行(彼曰くセオリー)の多いハッピィを無視するジャイだったが、実家から父の死の直前に撮られた写真を発見。それは、父のクルーズ船"ゴルマール号"上で母が撮ったもので、父と共に叔父スンダル、会社重役の従兄弟アディト、弁護士のアニル・シャルマーが写っていた。ジャイは、さっそく特殊能力を使って撮影当時の父の様子を追体験すると、そこには確かに奇妙な記憶が刻まれていた。 …そして、その日を境に父の関係者の命をねらう黒い影が…。 ED I Got The Picture タイトルは「8×10サイズの写真」。 8×10(エイトバイテン。日本では略してバイテンとも)とは、大判のカメラフィルムのこと。単位はインチなので20×25センチ大になる。劇中に出てくる事件捜査のきっかけになる大判写真のこと。 美しいカナダの森林地帯を背景に、謎の多い父の死を捜索して、真犯人を探ろうとする森林保護官の活躍を描くサスペンス。「これ、スリラー映画だよ」って紹介されたけど、そんなにビックリドッキリな絵面はない、落ち着いたしっとり映画。 前半は明るく広大なカナダの青い空の映像が美しい、静かなヒッチコック的展開ながら、後半になると夜や雑然とした室内が多い火サスな絵面。話のオチもうまく出来てるとは言え、前半の映像的美しさが弱くなっていく後半は惜しい…。 火サス的な印象は、後半の室内劇もそうだけど、インド映画特有の派手な色彩や群舞・ミュージカルなどの高密度な画面による娯楽性が排除されている所が大きい。インド色よりはハリウッド的な「めまい」「推定無罪」とかに近い気もしてくるので、インドファンからすると食い足りないだろうなぁ(実際、インドではコケたらしい…)。 監督を務めるのは、傑作「運命の糸 Dor」を手がけたナゲーシュ・ククヌール。 今回も、その映像美や新機軸映画にかける手腕は見事。「Dor」でヒロインを演じて各映画賞で女優賞を獲得したアイーシャ・タキアを再度迎えて、彼女の魅力を存分に引き出すような演出の数々、アクション俳優と名高いアクシャイ・クマールの格好良さの見せ方も心得たもので、従来型娯楽性と新機軸への模索はたいしたものなんだけど……いかんせん、お話そのものがこじんまりとしてしまった感もあり。ハリウッドスタイルの模索と言う意味では、それなりの完成度だとは思うけど。 脇を固める俳優人でおや? と驚いたのは、ジャイの母親サーヴィトリー役で出演しているのが往年の大女優シャルミラー・タゴール!(サイーフ・アリ・カーンの母親) シャルミラーさんとの初邂逅はこの映画になっちゃいましたわん。 お話は、ラスト近辺はホントに予想外な方向に動いていくことになるわけだけども、とりあえず最後にこれだけは言わせて。 そんなのアリかぁぁぁぁーーーー!!!!!! プロモ映像 Hafiz Khuda
2012.5.3. |