Attarintiki Daredi 2013年 175分
主演 パワン・カリヤーン & サマンサ
監督/脚本 トリヴィクラム
"お父さん、私に向けて出来ることはそれで終わりなのですか?"
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その日、花嫁シャシが誘拐された。
「私をどうしようというの! あなたたちは誰!?」
「俺たちは仕事であんたを誘拐しただけだ。依頼人がやって来るまで時間がある…どうせなら、その間にその依頼人との関係やあんたの身の上話でも聞かせてくれや…」
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話は3ヶ月前のミラノから始まる。
富豪ラグナンダンによって運営されるナンダ・グループは、イタリアはミラノに移ってきてからの様々な問題を、ラグナンダンの信頼を一手に引き受ける孫ガウタム・ナンダが全て解決してきた。ただ1つ、ラグナンダン自身の望み…「3ヶ月後の80歳の祝いの席では、駆け落ちしたために縁を切った娘スナンダの家族全員とテーブルを囲みたい」と言う夢の実現のみを残して…。
「そんな夢は実現しない」と語る父ハリの言を退け、叔母スナンダのいるハイデラバードにやってきたガウタムは、空港近くにて叔母の夫シェーカルの突然の心臓発作の現場に居合わせてしまう! 彼を入院させて叔母と知り合うことに成功するガウタムだったが「君は誰だい?」と問われてとっさに答える…「あ…私は…シッダールト…シッドゥです。ドバイで運転手をしていた者です」!!
挿入歌 Aaradugula Bullet (あいつは特大級の弾丸)
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タイトルは、テルグ語(*1)で「叔母の家に通じる道は?」とか。
台本ライター出身のトリヴィクラム監督の、6作目の監督作となる大ヒット映画。
封切りされるや、「マガディーラ(Magadheera)」の売上を越えるテルグ語映画最高記録(当時)を樹立した。
後にヒンディー語(*2)吹替版「Daring Baaz」の他、15年にはカンナダ語(*3)リメイク作「Ranna」、翌16年にはベンガル語(*4)リメイク作「Abhimaan(エゴ)」、19年にはタミル語(*5)リメイク作「Vantha Rajavathaan Varuven(もし帰るなら、王の如くに)」も公開された。
インドより1日早く米国で、インドと同日公開でクウェートでも公開されたよう。日本でも、2013年に汐留にて字幕なしで自主上映されている。
ヒロインの誘拐から、ヒロインの語る事件の回想で始まる離散家族の再結集映画で、前半はそう言ったファミリー系感動作の要素が詰まったマサーラー演出が多用されている映画なんだけど、主人公の正体が速攻で叔母にバレてからはその叔母の父親不信を取り除くためのあれやこれやがどんどんコメディと混ざって行って、後半はほとんど出演しているコメディアンたちの技の見せ合い劇場と化すドタバタ劇になっていく。
特に、成り上がりセレブ バスカールを演じるコメディアン ブラフマナンダムのインドラ神話不倫劇ネタを長々とやってるシーンを見てると、映画の物語自体もそれ系のインドでよく知られたヒンドゥー神話をモチーフとして取り込んだ家族映画に仕立ててあるんやろか、と深読みしてしまうネタてんこ盛り映画。
こう言う、話の本筋は王道パターンを描きつつ、コメディアンがバカやってるシーンを怒涛のごとく展開させる映画がテルグ語映画界でも一定の人気を得てるようなのも、数あるインド映画の幅広さを示すものでも…あるのかなあどうかなあ。まあ、インドのお笑いは基本的にボケばっかり長くて、ツッコミが鉄拳制裁ばっかってテンポの冗長さも気にはなるんだけども(*6)。
主人公の最大の障壁となる叔母スナンダを演じたのは、1966年マハラーシュトラ州都ボンベイ(現ムンバイ)に生まれた女優ナディーヤ(生誕名ザリーナ・モイドゥ)。父親はイスラーム教徒で、母親はヒンドゥー教徒なのだそう。
84年のマラヤーラム語(*7)映画「Nokketha Doorathu Kannum Nattu(できるだけ見つめていて)」で映画&主演デビュー(声は別人の吹替)し、フィルムフェア・サウスのマラヤーラム語映画主演女優賞を獲得。そのタミルリメイクである85年の「Poove Poochudava(さあ来て、君を花で飾ろう)」でタミル語映画にもデビューする。この2つの映画界で大活躍するも、88年の結婚で米国移住して出演作が激減する中、その結婚の年に「Bazaar Rowdy(暴走族)」でテルグ語映画デビューもしている。
米国から英国移住後、08年に家族でムンバイに帰国してからは、主にマラヤーラム語映画とテルグ語映画で活躍。本作公開の13年には、本作でナンディ・アワード助演女優賞とTSR-TV9ナショナル・フィルム・アワード助演女優賞を受賞する傍ら、テルグ語映画「Mirchi(唐辛子)」、マラヤーラム語映画「Aaru Sundarimaarude Katha(6人の女性の物語)」「English: An Autumn in London(イングリッシュ / ロンドンの秋)」にも出演している。
公開当時、テルグ語圏はテランガーナー分州決定による各地の反対運動の嵐で軒並み大作映画の公開延期が続いていた頃と言うことで、徐々に騒ぎが落ち着き始めた頃に、マルチスター集結映画として話題をさらってたらしい様子が、なんとなく画面から匂ってくる感じ(*8)。
主人公の父親ハリ・ナンダ演じるムケーシュ・リシと、叔母スナンダの夫シェーカル演じるラーオ・ラメーシュが不思議と似た見た目に見えてくるのも「へえ。並ぶと、そうでもないのになあ」って感じ。
本作がテルグ語映画デビューとなる、主人公の祖父ラグナンダン演じるボーマン・イラーニーは、ヒンディー語映画で見せる芸達者度は低めにして、威厳ありかつ頑固な祖父像をそつなくこなしてるよう。その分、主人公ガウタム演じるパワン・カリヤーンは、色々集められた映画スターを相手に器用に掛け合い漫才してる元気さをアピールしてるようでもあるか。
まあでも、映画見終わって印象に残ってるのはなにをおいても元気にボケたおすコメディアンたちのパワフルさですわ。
正体を隠す主人公やヒロインのお嬢様ボケなんか問題にならないほど、主演俳優を差し置いて次々とボケボケにボケ倒し、状況を悪化させるコメディアンたちの笑いは、ローカルネタ多数のために完全には理解できないとはいえ、本筋のためにコメディがあるのか、コメディのために本筋があるのかわからなくなるほどですよ。それでいて、家族の再結集への段取りはきっちり入れてくるから、話の屋台骨がしっかりしてるが故に、転がし方が上手い。
それに答えられる出演者たちの芸達者ぶりもそうだし、1つ1つが本当に印象的な音楽を作り出すデヴィ・スリ・プラサードの楽曲のノリノリ具合もたまりまへんでホンマ!
挿入歌 Kirraaku ([君は僕を] 夢中にさせてしまった)
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受賞歴
2013 Santosham Film Awards 作品賞・主演男優賞(パワン・カリヤーン)・主演女優賞(サマンサ)
2014 Nandi Awards 音楽監督賞(デヴィ・スリ・プラサード)・人気作品賞・助演女優賞(ナディーヤ)・台本ライター賞(トリヴィクラム・スリーニーヴァス)
2014 B. Nagi Reddy Memorial Awards テルグ語映画最優秀家族映画賞
2014 Filmfare Awards South テルグ語映画作品賞・テルグ語映画監督賞・テルグ語映画音楽監督賞(デヴィ・スリ・プラサード)・テルグ語映画作詞賞(スリ・マニ / Aaradugula Bullet)
2014 SIIMA(South Indian International Movie Awards) テルグ語映画作品賞・テルグ語映画監督賞・テルグ語映画主演女優賞(サマンサ)・テルグ語映画撮影賞(プラサード・ムレッラ)・テルグ語映画音楽監督賞(デヴィ・スリ・プラサード)・格闘シーン振付賞(ピーター・ヘイン)
2014 Santosham Film Awards 作品賞・主演男優賞(パワン)・主演女優賞(サマンサ)・撮影賞(プラサード・ムレッラ)
TSR - TV9 National Film Awards ヒロイン賞(サマンサ)・音楽監督賞(デヴィ・スリ・プラサード)・男性プレイバックシンガー賞(ヴィジャイ・プラカーシュ / Aaradugula Bullet)・助演男優賞(ラーオ・ラメーシュ)・助演女優賞(ナディーヤ)・コメディアン賞(ブラフマナンダム)
2021 Mirchi Music Awards South テルグ語リスナーズ・チョイス10年内最高アルバム賞
「AD」を一言で斬る!
・ハイデラバードのショッピングモール内の本屋は、店内飲食可なのか!(金持ちのお嬢様だから、ハイソな都会人風だから許されてるって線もありますが)
2022.12.16.
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