タイトルは、ヒンディー語(*1)で「僕は一人、君も一人」。
本作は、1979年のハリウッド映画「クレイマー、クレイマー(Kramer vs. Kramer)」をアイディア元にした翻案作でもある。
ボリウッド業界全体の低迷期に大ヒットを飛ばしてその流れを変えた、88年の純愛映画「Qayamat Se Qayamat Tak(破滅から破滅へ)」と同じアーミル主演&マンソール・カーン監督作によるロマンス映画の1本(*2)。
リメイク元の「クレイマー、クレイマー」とほぼ同じ物語構成の映画であることはすぐにわかる作りの映画。ただ大きく違う所は、夫婦の結婚に至る恋愛模様が丹念に描かれるところと、離婚を決意する妻側にかなり同情的で説得力のある描かれ方をしている所(*3)。父子の愛情劇以上に、かなり大きなウェイトを占めるのが夫婦の愛情劇で、この点は純愛映画を武器にしているボリウッドらしさが爆発している感じでもある。
監督を務めたマンソール(・フセイン)・カーンは、ハイデラバード生まれのムンバイ育ち。
父親は有名な映画監督兼プロデューサー兼脚本家のナシール・フセイン(本名 ムハンマド・ナシール・フセイン・カーン)で、母親は振付師のアイーシャ・カーン。親戚に本作主演のアーミル・カーンがいる他、男優イムラーン・カーンもいる映画一族出身。
67年の「Baharon Ke Sapne」で子役出演(?)したのち、光学技師、助監督などを経て88年の「Qayamat Se Qayamat Tak」で監督デビューし、ナショナル・フィルムアワード驚異的娯楽人気作品賞他を獲得。以降、ハリウッド映画を下敷きにした監督作を生み出す中、08年には甥のイムラーン・カーン主演作「Jaane Tu Ya Jaane Na(あなたが知ろうと知るまいと)」でプロデューサーデビューしている。