ブラインド・ミッション (Aankhen) 2002年 165分 OP Aankhen (目) *…この、B級的うさんくささが、アミターブ爺のうさんくささとシンクロしてる所がなんとも…。 ヴィラスラオ・ジェファーソン銀行の管理責任者ヴィジャイ・シン・ラージプートに解雇状が突きつけられた! 彼は、一度怒りだすと相手を半死半生の目に遭わせてなお、攻撃をやめない性格の持主。「そんな奴に管理はまかせられない」と重役たちは、長年たった一人で銀行を拡大させてきた彼を見限ったのである。 銀行側の態度に怒り心頭のラージプートは、復讐を誓い、いつか誰にも思いつかない方法で銀行を襲撃しようと画策する。しかし、彼が作り上げた完璧な警備システムをかいくぐる方法は、彼自身にも見つからない。 そんな中、彼の目は街中の盲学校に向けられる。 そこでは、女性教師ネーハのかけ声のもと、校庭で生徒たちが人間ピラミッドを作って、高くつり上げられたお祭り用の土瓶を割る練習をしていた。目が見えないはずの生徒たちは、これを短時間の作業で成功させる! これに驚いたラージプートはネーハに近づくと、彼女が大事にしている幼い弟を誘拐! 弟の命と引き換えに、これからやって来る盲人3人に「(アリバイ工作のため)健常者のフリをしつつ、銀行強盗する方法」を訓練させろと言い放つのだった! ラージプートが密かに集めてきた視覚障害者は以下の通り。 幼い頃に故意に失明させられ、サッカー選手になる夢を断たれたアルジュン・ヴァルマ。 アコーディオン片手に、口八丁手八丁で物乞いして歩き回るイーリヤス。 そして、新婚旅行中のバス転落事故で唯一生き残り、視力を失う代わりに第六感とも言うべき超人的な感覚を身につけたヴィシュワース・プラジャーパティ。 ラージプートは、研修所と名付けた銀行そっくりの構造の家でネーハの訓練を見守る。彼の存在を知らされていない視覚障害者3人だったが、ヴィシュワースだけは、この計画の裏を感じ取っていた…。 挿入歌 Gustakhiyan (抑えきれない) *ヴィシュワースの結婚相手役で、このシーンのみビパーシャがゲスト出演! 原題の直訳は「目」。 かつてのキング・オブ・ボリウッド、生ける伝説アミターブ・バッチャンが復讐の鬼と化すクライム・サスペンス! うさんくさく、怪しさ全開のオーラを放つアミターブ・ジーの悪役っぷりが凄まじく印象的ながら、脇を固めるのは、ネーハ役に94年度ミス・ユニバースのスシュミタ・セーン。ヴィシュワース役にはアクシャイ・クマール。同名のアルジュン役をこなすアルジュン・ランパール(本作が初めてのあたり役だったそうで)。大阪商人かという早口連発のイーリヤス役を演じる名脇役パレーシュ・ラーワルと、それぞれに異彩を放つ演技。 もともと演劇用の戯曲だったと言うお話で、視覚障害者たちの活躍を描く前半、ハラハラドキドキの本番の銀行強盗の中盤。さらにそこから2転3転するどシリアスサスペンスな終盤ともどもテンションが高くてスンバラしい! 奇想天外とはまさにこれ! …って言う予想外に次ぐ予想外な展開は、ハリウッドが原作権を買ったというだけの事はありますわ。うん。 ま、防衛の完璧な銀行に復讐するにしては、銀行強盗の中身がしょぼくないか…とか、結局復讐になってんのか? …とかツッコもうと思えば色々できるけど、テンションの高さと話のスピーディーさと、そのテンポのよさで「ダマされてもいいや!」になる所がニクいぜ。特に妖しさプンプンのラストが秀逸! 監督のヴィープル・アムリトラル・シャーは、演劇界からテレビ界に転向して、これが映画監督デビュー作だそうで、よくもまぁ…と言う、初監督作と思えない練り込んだ痛快アクション&サスペンスが圧巻。 惜しむらくは、海外配給用に1時間以上カットされたバージョンで見たことでね…。いくつか、フィルムがぶつ切りされてる所があったけども。シネフィル・イマジカでの完全版の放送を希望するぞー。 挿入歌 Phatela Jeb *私の見たバージョンではカットされていたシーン。 …のため、歌詞の意味は不明なり。
2010.7.21. |