Arya 2004年 151分
主演 アッル・アルジュン & アヌー・メへター & シヴァ・バラージ
監督/脚本 スクマール
"さあ、君の結婚が良きものとなりますように"
挿入歌 Feel My Love
その日、カーニャクマリの海岸に遊びに行った大学生ギータ(本名ギータンジャリ)は、砂浜に置かれていたノートに書きつけられていた詩に感銘を受ける。
「もう一度君に会おう。百万回死すとも、君のために何度も生まれ変わろう」
彼女は、ノートに「貴方の求める女性に、会えますように」と書き加えて去っていくが、その後、海にアンクレットを落としてしまったその瞬間、そこに飛び込んだまま浮かんでこない男を見て罪の意識にさいなまれるのだった…。
自分のアンクレットのせいで見知らぬ男の人を殺してしまったと思い込んだギータは、旅の悪夢に苦しめられつつ日常に戻ろうとする。しかし、そんな彼女に目をつけた大学を牛耳る地元政治家の息子アジェイは、強引にギータに告白してきて「もし断るんだったら、飛び降り自殺する」と宣言。これ以上自分のために人を殺したくないと決意していたギータは、自分を押し殺して仕方なく彼と恋人同士になる。だが、そこに突然「君を愛してるよ」と堂々と宣言する新入生アーリヤが現れて…!!
挿入歌 Thakadimithom
スクマール監督デビュー作&アヌー・メへターの映画デビュー作となる、大ヒット・テルグ語(*1)映画。
09年には、パラレルな続編「Arya 2」も公開されている。
のちの05年にバングラデシュ映画リメイク作「Badha(障壁)」が、07年にはオリヤー語(*2)リメイク作「Pagala Prem」が、08年にはスリランカ映画リメイク作「Adaraye Namayen(愛を感じろ)」が、10年にはタミル語(*3)リメイク作「Kutty(少年)」が公開された。
その他、同名マラヤーラム語(*4)吹替版、ヒンディー語(*5)吹替版「Arya Ki Prem Pratigya(アーリヤの恋の約束)」も公開。
正式映画デビュー間もないアッル・アルジュンと、モデル出身の新人女優アヌー・メへターのお披露目映画企画的な感じの、青春ロマンスな一本。
冒頭の事件で、大体の話の流れはわかってしまう甘々なラブロマンス…な展開と思いきや、結末はともかく中盤は色々と青春群像劇や話芸コメディ、血なまぐさいアクションなどの盛り盛りの構成で攻めてくるいつもの濃厚さ120%具合はさすが。
大学を支配するアジェイの嫌味な登場で「ああ、これが悪役か」と思ってると、告白からの展開はわりと純情一路って感じで「あれ? 親に逆らってヒロインを選ぼうとしてたり、最初から最後までヒロインだけを求めて来たりとわりとグレてない奴じゃん」と思えて来てしまう恋敵像が意外(*6)。そのアジェイの顔を立てつつ、ヒロイン ギータのために奔走する主人公アーリヤの飄々とした献身ぶりがラストに大爆発する感情的起伏は、たしかに人気作となるだけのパワーを見せつけてくれまする。
監督を務めるスクマール(・バンドレッディ)は、1970年アーンドラ・プラデーシュ州東ゴーダヴァリ県マッタプル村の米の貿易商の家生まれ。
数学の修士号取得後、一時短大で数学と物理の講師として働き出した後、後輩のプラカーシュ・トレティと共に映画界の扉を叩いて数本のテルグ語映画に脚本補助で参加。講師職で生活費を稼ぎつつ、助監督として00年の「Kshemanga Velli Labanga Randi」などの映画に参加していく。その中で、自身の監督作用の脚本を執筆していた所にプロデューサーのディル・ラージュの支援を受けて本作で監督デビュー。その大ヒットによって一躍ヒットメーカーの仲間入りとなり、次々に監督作を発表していく。15年には、脚本担当した「Kumari 21F」でプロデューサーデビューもしている。
タイトルロールの主人公アーリヤを演じるのは、1980年(83年とも)タミル・ナードゥ州チェンナイ生まれでアーンドラ・プラデーシュ州ハイデラバード(*7)育ちのアッル・アルジュン。通称バニーまたはスタイリッシュ・スターとも呼ばれる。
父親は映画プロデューサーのアッル・アラヴィンド。父方の祖父にコメディアンのアッル・ラーマリンガイヤーが、義伯父にテルグのメガスター チランジーヴィーがいる。
85年のテルグ語映画「Vijetha(勝利者)」、86年の「Swati Mutyam(白い真珠)」に子役出演、01年の「Daddy」にダンサー出演したのち、03年の「Gangotri(ガンゴートリー)」で正式映画デビュー&主演デビューしてCineMAA新人男優賞他を獲得。以降も様々な映画賞を受賞してその演技力を評価されるとともに、テルグ語映画界最高峰とも評される舞踏力でトップスターとして活躍中。
ヒロイン ギータを演じるのは、本作が映画デビューとなるアヌー・メへター(別名アヌラーダ・メヘター)。
詳しい情報が出てこないけれど、モデルから映画界に入った人で、本作以降数本のテルグ語映画に出演しつつ、06年の「Ajay」、08年の「Honganasu」でカンナダ語(*8)映画にも出演している。
ある程度自分の売りどころを発揮させてる感のあるアッル・アルジュンは、この映画で評価爆上げになったらしいけど、映画としてはファッションにしろダンスにしろまだ周りがアッル・アルジュンがどこまで化けるのか模索してるようにも見えなくもなす。これが映画デビューのアヌー・メへターとの相性ってのもあるのかもしないけれど。
まあ、そんな初々しさがうまく大学生たちの青春劇にシンクロしてくれている所がナイスな映画で、そこが当時新しかったんですかね。
化けるといえば、本作のアクション方面の敵役で登場してるスッブ役には「バーフバリ 王の凱旋(Baahubali 2: The Conclusion)」で一躍日本で人気者となったスッバラージュが出演してるのも注目。って言うか、他の出演作(*9)とはまた全然雰囲気というかオーラの違う役やってたんですね…。
まあそれにしても、夕方の凪いだ海に落ちたヒロインのアンクレットを拾いに飛び込むのが、そんな命がけで死んでもおかしくないことなのか…と思えてしまうのは、海をナメてるワタスの感覚なのか、水泳が一般的でないインド感覚なのかどうなのやら?(*10) 海岸からちょっとだけ海側に出てる遊歩道的なものから飛び込んでるからなあ…。
挿入歌 Aa Ante Amalapuram
*中心で踊ってるゲスト出演のダンサーは、テルグ語・タミル語映画界を中心にインド各言語界で活躍している女優兼振付師のアビナヤスリー。
受賞歴
2004 Filmfare Awards テルグ語映画監督賞
2004 CineMAA Awards 批評家選出監督賞・脚本賞(スクマール)・編集賞(マルタンド・K・ヴェンカテーシュ)・センセーショナル・プロデューサー賞(ディル・ラージュ)
2004 Nandi Awards 脚本賞(スクマール)・批評家選出特別賞(アッル・アルジュン)・ファイト・マスター賞(ラーム・ラクシュマン)・男性プレイバックシンガー賞(サーガル)
2004 Santosham Film Awards 若手パフォーマンス賞(アッル・アルジュン)・監督1作目賞・新人女性歌手賞(マラティー)・衣裳賞(クマール)・アイテムダンサー賞(アビナヤスリー)
2004 Gemini TV Awards 監督賞・主演男優賞(アッル・アルジュン)
「Arya」を一言で斬る!
・結婚式の時の、ギータの額に描いてある文様はどんな意味なのー!!(三叉槍?)
2019.11.22.
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