アラジン 不思議なランプと魔人リングマスター (Aladin) 2009年 132分 *アラディン、こーまるだーろー? 山間部の町カーヒシュに住むアルンとリヤーの夫婦は、昔話に登場する"魔法のランプ"の研究者。しかし、夫婦はシアチン氷河への調査旅行中に命を落としてしまう! 現場にいた2人の息子アラジンは、その頃の記憶もほとんどないまま、祖父に育てられることに…。 子供の頃から名前をからかわれ続けてきたアラジン・チャタルジーは、大学生になってもいじめられっ子のまんま。ある日、アメリカから留学して来たジャスミンに一目惚れするが、いじめっ子のカースィムに主導権をとられて思うように彼女とデートも出来ない。 教授からアラジンの誕生日が近いことを知らされたカースィムたちは、それを口実にジャスミンの歓迎会を兼ねたアラジンの誕生日パーティーを企画する。もちろん、本当の目的はジャスミンに近づくこと……と同時に、アラジンをからかうこと。 クラスメイトは、アラジンへのプレゼントとして魔法のランプを用意して「ほらアラジン! 名前の通りランプからジン(ランプの精)を出してみな!」とはやし立てる。 しかたなくアラジンがランプをこすっても特になにも起こらず、周りはさらに彼をはやし立てる。子供の頃から何度となく繰り返される悪ふざけに、アラジンはただただ耐えるしかない…。 が、今日は事情が違った。 ジャスミンが中国骨董品店で買い求めたランプからは、人知れず煙が沸き立ち始め、その中から現れたのはナイスミドルな本物の魔神ジーニアス! 彼は、ランプをこすったアラジンの3つの願いを叶えることが出来れば、それが最後の仕事となってランプから解放されると言うのだ!! そんな中、カーヒシュに奇妙なサーカス団が到着していた。 一団のリーダー リングマスターは、かつてジーニアスと争っていた魔法使いで、本物の魔法のランプを探していると言う。彼はジーニアスを指して、彼こそアラジンの両親を殺した男だと告げるのだが…。 挿入歌 Genie Rap (魔神のラップ) ボリウッドが仕掛ける現代版「アラジンと魔法のランプ」。 「アラジン」は、劇中の発音的にはアルファベット通り「アラディン」と言ってるけど、カタカナ表記では知名度通り「アラジン」としておく(*1)。 映画としては、ハリー・ポッター+ネバーエンディングストーリーみたいな印象もあり、ティム・バートンが好きそうなちょっと変なCG映像満載のSFXファンタジーアクション。 多少、子供向け色があるものの主役アミ爺とリテーシュ(+敵役のサンジャイ・ダット)の怪演がホント楽しい。ヒロインの名前が"ジャスミン"だったり、ファンキーな魔神がジーニアス(もちろんジーニーのゴロ遊び?)だったり、制作側はディズニー版アラジンに対抗しようとしてた…なんてこともあるのかもしれない?(どちらかと言うとハリポタ?) 日本では、2014年にDVD発売! とにかく、なにはなくともオリエンタルな舞台美術とキャスティング、ハリウッドに引けを取らないSFX群の勝利。あんな不思議に異世界感を醸し出す町に住んでみたいわぁ。SFX超大作は、もはやハリウッドの専売特許ではなくなったかもしれんですな。 お話は、中盤までは気弱な主人公アラジンの学園ドタバタラブコメ。後半はいきなりリングマスターとジーニアスとの世界の命運を賭けての魔法対決になってて、ちょっと構成が混乱してる感あり。それぞれの登場人物たちがものすごーくキャラが立ってるのに、その辺をうまく生かしきれてない所は惜しいかなぁ。リングマスター一座なんか、かなり個性的でそれぞれの立ち位置が際立ってるのにぃ。ジーニアスの正体が明らかになるシーンなんかが、全部台詞のみの説明ってのはね…。 本作で新人賞を獲得した、ヒロイン演じるジャクリーン・フェルナンデスは06年ミス・スリランカ・ユニバースだそうな。演技に踊りにと、わりとそつなく楽しそうに演じていているけど、演技面はまぁ……役が役だからなぁ…。踊りやアクションはわりと軽やかに動いていたけど、"カラテ"の授業でカンフー習ってるシーンがあるのがいとをかし。 とか言いつつ、中国骨董品店に本物の魔法のランプがあったり、リングマスターが魔法のランプを探しまわって中国に行ってたりするのなんか、実は原作を踏襲してたりしていて微笑ましい。 挿入歌 Bachke O Bachke (注意せよ! [今夜こそ皆が注目する夜。今夜なにが起こるか、わかっているぞ])
受賞歴
2011.8.14. |
*1 「千一夜物語」のアラビア語では、より正確に表記するなら"アラーウッディーン[=信仰の高さまたは栄光の意]"。ただし、このアラジンの話は、原典の千一夜物語にはない、フランス語版以降に付け加えられて逆輸入された話なんだそうな |