Anamika 2008年 121分
主演 ディノ・モレア & ミニーシャー・ランバー
監督/脚本 アナント・マハーデーヴァン
"彼女は、ここにいる"
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ムンバイに住む派遣秘書ジアー・ラーオは、ラジャスターンから来た実業家ヴィクラム・アーディティヤ・シン・サショーディヤに雇われるも、慣れない高級ホテルへの案内に失敗の連続。すぐにクビになるだろうと諦めていた所、当のヴィクラムは彼女を気に入り、逆にジアーをエスコートして結婚しようと言ってくる!
数日後。正式に結婚した二人は、ヴィクラムの故郷ラジャスターン州のガジニール屋敷の人々に迎えられた。しかし、屋敷を統轄するマーリニーを始め屋敷内で働く人々は、ジアーを快く迎える一方で、半年前に事故死したと言うヴィクラムの前妻アナーミカーの影を彼女に重ねてくる。
ヴィクラムの再婚を祝いに来た彼の姉夫婦もまた、ヴィクラムとジアーを祝う口ぶりとは裏腹に険悪な態度を見せる…「貴女がこの結婚を幸せにしていきたいなら、過去に何が起こったかなんて知ろうとしない事よ…貴女のためにも」
挿入歌 Aayo Re (彼は来たれり)
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*新郎新婦を迎えるガジニール屋敷の人々が踊る、ラジャスターン伝統舞踊(風のアレンジダンス)。
メインで踊ってるのは、屋敷の統轄役をまかされてるマーリニー演じる女優兼モデル兼事業家のコエナ・ミトラー。
タイトルは、主人公と結婚したセレブ夫の前妻の名前で、その名義は「名前のない人」だとか。
副題は、「The Untold Story(語られぬ物語)」。
ヒッチコックによって1940年に映画化されたダフネ・デュ・モーリア著「レベッカ(Rebecca)」を、現代インドに置き換えてリメイクしたヒンディー語(*1)映画。
1973年の同名ヒンディー語映画、2014年のテルグ語映画「Anaamika」とは無関係(*2)。
アイディア元映画とほぼ同じ流れの映画ながら、主人公の名前・生活レベル、主人公が屋敷にやってくる馴れ初め話を詳しく描いていく、少ない主要登場人物を美男美女で固めたダンディ&セクシー強調な画面作りをしてる映画なため、なんと言うかスゴく火サスな雰囲気。
まあ、一番の違いは白黒映画の「レベッカ」だったのをフルカラーお洒落映画にしてる事と、「レベッカ」のダンヴァース夫人にあたるマーリニーを主人公とほぼ同じ年齢にしている事で、BGMと効果音でサスペンス的不穏さを表現しているとはいえ、元映画にあった徐々に主人公を蝕んでいくサイコサスペンス色はかなり弱くなっている。全部をセリフで語りたがるインド映画だからこそなのかもしれないけど、そう言う意味での謎解き要素とかどんでん返しとかはかなり薄くなっているのは、ターゲットとしている客層の違いかねえ…。
ま、主人公の馴れ初め話といい前妻アナーミカーの謎といい、展開と感情表現に唐突感が否めない、そもそもが駆け足展開な映画なわけだけど。
主人公ジアーを演じるのは、1985年ニューデリーのパンジャーブ系シーク教徒家庭生まれのミニーシャー・ランバー。
チェンナイやシュリーナガルの学校に通ったのち、ジャーナリストを志望しつつデリー大学で英語を専攻。その大学時代に始めたモデル業からショージット・シルカルと知り合い、彼の監督デビュー作となる05年のヒンディー語映画「Yahaan(ここに)」で映画&主演デビュー。本作公開の08年には、「Bachna Ae Haseeno(気をつけろ! 美女たちよ)」を始め計4本の映画とTVドラマ「Chhoona Hai Aasmaan」にも出演している。ヒンディー語映画&TV以外では、13年の「Heer and Hero」でパンジャーブ語(*3)映画デビューもしている。
ジアーと結婚するセレブ実業家ヴィクラム役には、1975年カルナータカ州バンガロール(別名ベンガルール)生まれのディノ・モレア。イタリア人の父親とインド人の母親の間に生まれた印伊ハーフ。
スーパーモデルとして活躍する中で、98年にTVドラマ「Captain Vyom」他短編映画数本に出演して俳優デビュー。翌99年にヒンディー語映画「Pyaar Mein Kabhi Kabhi…(愛のひととき)」で長編映画&主演デビューとなった。以降、ヒンディー語映画界を中心に活躍中。00年には「Kandukondain Kandukondain(見つけたよ、見つけたの)」でタミル語(*4)映画デビュー。03年のヒンディー語映画「Raaz(秘密)」では、ビバーシャ・バスとともにZeeシャイン・アワードのダイナミック・デュオ賞を獲得。06年には「Julie(ジュリー)」でカンナダ語(*5)映画デビューもしている。
12年のヒンディー語映画「Jism 2(身体2)」からはプロデューサーとしても活躍中。
幽霊屋敷的な展開はしっかり踏襲されているものの、配役から構成されたであろう先妻アナーミカーの死の真相と主人公を襲う恐怖のアレンジ具合は、わりとあっさり気味のよくある展開。主人公ジアーと屋敷を統括するマーリニーが同世代になっていることから、「レベッカ」にあった緊張感は薄く(ないことはないけど)、ラスト近くまでせいぜい二心ある親友同士みたいな関係になっている(*6)。
踏襲といえば、外見はとてもインド的なガジニール屋敷(*7)が、中の暮らしは完全に西洋的セレブ空間になってるのは元映画を意識してのことなのか、単純にインド側が考えるお金持ちイメージそのままってことなのか。ボディラインのはっきりした妖艶な衣装ばっか着てるヒロインたちのことと同じくらい気になるぜよ。
挿入歌 Saath
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*過去のトラウマから騒動を起こしたヴィクラムの姿に人々が驚いてる直後に入るミュージカル。
流石にこれは「突然脈絡もなく踊る」と言われてもしょうがないかなあ…。
「Anamika」を一言で斬る!
・「6時間も雨が降り続いている」てのが悪い予兆と言われてショックを受けるジアー。ラジャスターンはそんなに雨が降らないのね…。
2021.3.12.
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