*マラータ王国に、バージーラーオ宰相の正式な妻としてやって来たマスターニーだったが、ラーダーバーイ(正妃カーシーバーイの母親)によって遠ざけられたことから、王宮に新設された鏡の間のお披露目に呼ばれた楽団としてバージーラーオの前に対峙する。
周囲に望まれない結婚に対して、大広間で芸人の姿で自身の愛情を歌い上げると言う点で、「Mughal-E-Azam(偉大なるムガル)」の"Pyar Kiya To Darna Kya(人を愛することを、なぜ恐れなければならないのか)"のオマージュ的ミュージカル?(しなくてもいいファンの深読み)
18世紀に実在した、マラータ王国7代目ペーシュワー(*3)のバージーラーオ(*4)と、その第2夫人マスターニー(生年不詳〜1740没)の人生を主題にした、ナーグナート・S・イナンダール原作のマラーティー語(*5)小説「Raau」のヒンディー語(*6)映画化作品。映画冒頭と最後に、劇中物語はあくまで創作であることが強調されている。
副題は「The Love Story of a Warrior」。タミル語吹替版、テルグ語吹替版も公開。
日本では、2015年〜翌16年にかけて、東京と大阪でSpaceBox Japan配給にて英語字幕版で初上陸。その後、2016年にインド映画同好会で日本語字幕版が上映された他、2021年のIMW(インディアン・ムービー・ウィーク)パート3でも「バジラーオとマスターニー」の邦題で上映。2022年にはIMO(インディアン・ムービー・オンライン)からDVD発売。2024年の池袋インド映画祭@シネ・リーブル池袋でも上映。
「ミモラ(Hum Dil De Chuke Sanam)」以来、15年もの間バンサーリー監督が製作を計画していたと言う一大歴史絵巻で、公開されるや大絶賛された美しき傑作歴史大作。
スジェート・サーワント以下3人のデザイナーによって設計された、21もの舞台セットによって構築される絢爛たる絵画世界のような18世紀のマラータ王国の圧巻の美しさ。各小道具や衣裳のスキのなさ。独自進化させた美の極致を創り上げるバンサーリー監督による歴史絵巻の壮大さは、インド映画でしか描けない美学の集大成の如し。この美しき映像に触れないなんて、人生を120%ほど損してますってばヨ!
監督、プロデューサー、脚本、音楽を手掛けたサンジャイ・リーラー・バンサーリーは、1963年マハラーシュトラ州ムンバイ生まれ。本作が8本目の監督作となる。
映画監督兼プロデューサーのヴィッドゥー・ヴィノード・チョープラのアシスタントで映画界入りして、89年の「Parinda(鳥)」で助監督に就任。その後も助監督を務めつつ96年の「Khamoshi: The Musical (静寂)」で監督&脚本デビューし、そのデビュー作でフィルムフェア作品賞を獲得。99年に2作目の監督作「ミモラ 心のままに(Hum Dil De Chuke Sanam)」も大ヒットさせて、以降はその独特の映像美学、監督作ごとにインド各地方の伝統文化取り入れる演出法などが高く評価されていく。「デーヴダース(Devdas)」「Black(ブラック)」「哀願(Guzaarish)」「銃弾戯曲 ラームとリーラ(Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela)」など、監督作全てが数々の映画賞とともに評判となり、タイム誌でも取り上げられるほどの名声を獲得。「哀願」からは、自ら音楽も担当している。
映画の他、TVショーの審査員出演や、08年のオペラ「パドマーヴァティ(Padmavati *12)」のパリ シャトレ座公演演出も手掛けて話題を呼んでいた。
受賞歴
2015 Producers Guild Film Awards 監督賞・主演男優賞(ランヴィール)・助演女優賞(タンヴィー・アーズミー)・台詞賞(プラカーシュ・R・カパーディア)・撮影賞(スディープ・チャタルジー)・美術監督賞(スリラーム・アイアンガール & サローニー・ダートラク & スジート・サーワント)・音響デザイン賞(ニハール・ランジャン・サマル)・衣裳デザイン賞(アンジュ・モディ & マキシマ・バス)・振付賞(レーモー・デソンザ / Pinga)
2015 Golden Kela Awards マノージ・クマール(困惑歴史劇)賞
2016 Filmfare Awards 作品賞・監督賞・主演男優賞(ランヴィール)・助演女優賞(プリヤンカ・チョープラ)・女性プレイバックシンガー賞(シュレーヤー・ゴーシャル / Deewani Mastani)・美術監督賞(スリラーム・アイアンガール & サローニー・ダートラク & スジート・サーワント)・衣裳デザイン賞(アンジュ・モディ & マキシマ・バス)・アクション賞(シャーム・カウシャル)・振付賞(パンディト・ビルジュー・マハラージ / Mohe Rang Do Laal)
2016 IIFA(International Indian Film Academy) Awards 監督賞・主演男優賞(ランヴィール)・助演女優賞(プリヤンカ・チョープラ)
2016 National Film Awards 金蓮監督賞・音響賞(ビスワディープ・チャタルジー [音響デザイン] & ジャスティン・ジョーズ[再々録音ミキサー] & Future Works)・・銀蓮助演女優賞(タンヴィー・アーズミー)・撮影賞(スディープ・チャタルジー)・銀蓮美術監督賞(スリラーム・アイアンガール & サローニー・ダートラク & スジート・サーワント)・銀蓮振付賞(レーモー・デソンザ / Deewani Mastani)
2016 Apsara Film Producers Guild Awards 主演男優賞(ランヴィール)・助演女優賞(タンヴィー・アーズミー&タッブー/【Drishyam】に対しても)
2016 Asian Film Awards 視覚効果賞(プラサード・スタール)
2016 Screen Weekly Awards 男優賞(ランヴィール [【Piku】のアミターブ・バッチャンと共に])・助演女優賞(プリヤンカ・チョープラ)・人気女優賞(ディーピカ)・撮影賞(スディープ・チャタルジー)・プロダクションデザイン賞(スリラーム・アイアンガール & サローニー・ダートラク & スジート・サーワント)・衣裳デザイン賞(アンジュ・モディ & マキシマ・バス)・特殊効果賞(プラサード・スタール)
2016 Zee Cine Awards 批評家選出作品賞・批評家選出監督賞・批評家選出男優賞(ランヴィール [【Piku】のアミターブ・バッチャンと共に])・批評家選出監督賞・人気女性プレイバックシンガー賞(シュレーヤー・ゴーシャル / Mohe Rang Do Lal)・人気女優賞(ディーピカ)・美術監督賞(スリラーム・アイアンガール & サローニー・ダートラク & スジート・サーワント)・音響デザイン賞(ニハール・ランジャン・サマル)・BGM賞(サンチト・バルハーラー)・特殊効果賞(プラサード・スタール)・アクション賞(シャーム・カウシャル)・振付賞(ガネーシュ・アチャーリヤー / Malhari)・撮影賞(スディープ・チャタルジー)
2016 DadaSaheb Phalke Academy Awards 女優賞(プリヤンカ・チョープラ)
2016 Time of India Film Awards 監督賞・主演男優賞(ランヴィール)・助演女優賞(プリヤンカ・チョープラ)・ベストカップル賞(ランヴィール&ディーピカ)・音楽コンポーザー賞(サンジャイ・リーラ・バンサーリー / Deewani Mastani)・女性プレイバックシンガー賞(シュレーヤー・ゴーシャル / Mohe Rang Do Laal)・撮影賞(スディープ・チャタルジー)・美術監督賞(スリラーム・アイアンガール & サローニー・ダートラク & スジート・サーワント)・衣裳デザイン賞(アンジュ・モディ & マキシマ・バス)
2016 Global Indian Music Academy Awards 音楽監督賞(サンジャイ・リーラ・バンサーリー)・女性プレイバックシンガー賞(シュレーヤー・ゴーシャル / Deewani Mastani)・BGM賞(サンチト・バルハーラー)・フィルムアルバム・エンジニア賞(タナーイ・ガジャール)・アレンジ&プログラム賞(シャイル=プリテーシュ & ニティン・シャンカール / Deewani Mastani)
2016 Mirchi Music Awards アルバム・オブ・ジ・イヤー賞・ベスト・ラーグ・インスパイアード・ソング賞(Albela Sajan)・女性ボーカリスト・オブ・ジ・イヤー賞(シュレーヤー・ゴーシャル / Mohe Rang Do Laal)・新人女性ボーカリスト賞(パヤル・デーヴ / Ab Tohe Jane Na Doongi)・BGM賞(サンチト・バルハーラー)・歌曲プロデュース(プログラム&アレンジ)賞(シャイル=プリテーシュ / Deewani Mastani)・歌曲エンジニア(レコーディング&ミキシング)賞(タナーイ・ガジャール / Deewani Mastani)