バンガロール・デイズ (Bangalore Naatkal) 2016年 156分
主演 アールヤ & スリー・ディヴィヤー & ボビー・シンハー
監督 "人形の家(Bommarillu)"のバースカル
"グッドモーニング、バンガロール!! …ここは、夢がかなう街"
バンガロールの会社に就職したソフトウェアエンジニアのカンナン(通称クッティ)。
その従姉妹で商業学部主席ながら、叔母が頼んだ占星術師のせいで急遽MBA(商業学位)を諦めて見合い結婚する事になったディヴィヤー・ラーガヴァン(通称アムー)。
さらにその親戚で、両親の離婚後親に反発して高校中退で村を出て生き、自由奔放に生きるアルジュン(通称アジュ)。
お互い親戚同士の親友3人は、ディヴィヤーの結婚式に久しぶりに再会する。幼いあの時に帰ったかのようにはしゃぎ合う3人は、これからそれぞれに大都市バンガロールでの生活を夢見ていた…。
結婚式も終わり、新郎シヴァプラサードとともにバンガロールに引っ越したディヴィヤーだったが、「実は、真剣に付き合っていた女性がいた」と告白するシヴァは彼女の相手もせず他人行儀なまま。すれ違いが続く日々にディヴィヤーは苦しめられていく。
一方、飛行機でキャビンアテンダントのラクシュミーと知り合ったカンナンは、彼女と過ごすうちに都会人に染まって行こうと努力するも、彼女の元カレの影が…
自由に生きるはずのアルジュンもまた、モトクロスレーサーの夢を諦めバイク整備工として日々を過ごし、夢といえばお気に入りのラジオRJのサラの番組を聴くことくらい。
三者三様に、夢に見たバンガロールの暮らしの中でそれぞれに人生につまづき、その有り様を変化させていく…。
挿入歌 Thodakkam Mangalyam (マンガル・スートラを結んだ瞬間 [花嫁の人生はもうメチャクチャ])
*マンガル・スートラとは、ヒンドゥー教における既婚女性が首にかけているネックレスのこと。主に中央〜南インドでの習慣で、結婚式で新郎が新婦の首にかける儀式を行い、以降外出時や起床〜就寝の間は既婚女性は身につけているものとされる。
2014年のマラヤーラム語(*1)映画「Bangalore Days(バンガロール・デイズ)」の、タミル語(*2)リメイク作。
テルグ語(*3)映画界で活躍するバースカル監督のタミル語映画デビュー作であり、リメイク元と同じ役でオリジナルキャストのパールヴァティが出演している。
日本では、2019年にCS放送された。
あらすじを書こうとして困るのは、基本オリジナル・マラヤーラム語映画と内容・作り方にそう変化がなく、意図的にそのままの構成でタミル語版を製作していることでしょか。
もちろん、役者が違う・ロケ地が違うことでカットごとの撮影法が変わってる・新たな要素が加わっているのは多々あるものの(*4)、大まかな内容・演出意図はオリジナル版そのままを継承している。ある程度、人間関係の変化がわかりやすくなるよう、登場人物の顔写真をその時々で配置したりと言うテンポのいい親切設計はあるけども。
それぞれの登場人物、年代、生活環境、経験や思想などを対比させてそれぞれのプラス面・マイナス面を浮き立たせていく物語に、オリジナルとは異なるキャストがどこまで溶け込めるのかが1番の見ものだったけど、全員全く問題なし。それぞれに魅力的な存在感を発揮し、お話を盛り上げてくれておりました。さすが映画俳優はスゴイね!
主人公の1人ディヴィヤーを演じるのは、タミル語映画・テルグ語映画界で活躍する女優スリー・ディヴィヤー(またはスリーディヴィヤー)。妹に、同じくタミル・テルグ両映画界で女優として活躍するスリー・ラムヤーがいる。
3歳頃からテルグ語TVドラマシリーズで子役として活躍。そのまま99年のタミル語映画「Poo Vaasam(花の香)」で映画デビューし、10年のテルグ語映画「Manasara(打ち解けて)」で主演女優に昇格。13年の「Varuthapadatha Valibar Sangam(のんき若者協会)」でタミル語映画にも本格デビューを果たし、SIIMA(南インド国際映画賞)女優デビュー賞を獲得する。以降、タミル・テルグ両映画界で活躍中。
主人公の1人で語り手でもあるカンナン役には、1983年タミル・ナードゥ州コダイカナル生まれのボビー・シンハー。
コインバートルの大学に通っている間に、イベントを通じて映画監督兼プロデューサーのスンダル・CとE・ラムドスの助言を受けて映画俳優を志す。大学卒業後にチェンナイに移住し、マーケティングや保険ビジネスの仕事で当面の資金を手に入れたのち、短編映画作家マニカンダンやカールティク・スッバラージを介して短編映画に出演。12年のタミル語映画「Kadhalil Sodhappuvadhu Yeppadi(どうしたら、愛でうんざり出来るか)」「Pizza(ピザ)」の2本で映画デビュー。前者のテルグ語版「Love Failure(恋愛失敗談)」でテルグ語映画デビューとなった。翌13年の「キケンな誘拐(Soodhu Kavvum)」で主役級デビュー。「Neram(時)」のマラヤーラム語版でマラヤーラム語映画デビューも果たす。
14年の「Jigarthanda(冷たい心)」でナショナル・フィム・アワード助演男優賞他多数の映画賞を獲得。以降、タミル語・テルグ語・マラヤーラム語映画界で活躍中。
唯一のオリジナルキャスト パールヴァティももはや貫禄の演技。「チャーリー(Charlie)」見た時から、この人は伸びる人だと確信してましたことですよ!(勝手な言い分)
キャスト面で「うわあ」と驚かされたのは、バースカル監督作の常連俳優のあの人だけど、思い切りネタバレになるので伏せておきましょか。ここであの人が出てくるとは思わんかったよー!
マラヤーラム語オリジナル版でのケーララから見たバンガロールへの憧れってのが、タミル版でも変わらず描かれてるあたり、タミル人的にもバンガロールって大都市は住んで見たい街上位に来る場所なんでしょか。
他のタミル語映画とか見ると、タミル礼賛でチェンナイ他州内の街を持ち上げることが多い中、そう言う愛州心を持たないう連中が「バンガロールの方がよっぽどいい」みたいに言ってるシーンがあった、ような…。まあ、バンガロールは他のインドの都市と比べると、高地であることからわりと涼しくて暮らしやすい立地の都市なんだそうで、カルナータカ州に近い田舎だと、チェンナイに行くよりバンガロールに行ったほうが近いってこともあるでしょうけども。
挿入歌 Paraparapa Oru Ooru (ここは情熱あふれる街)
*オリジナル版でパクリ楽曲と騒がれた「Nam Ooru Bengaluru (我ら、生粋のバンガロール)」の該当シーンに当てられたタミルソングシーン。
映像はオリジナルに近いまま、音楽の雰囲気を残しつつ別の音楽を当ててきてますな。エライ!
「BN」を一言で斬る!
・オリジナル版も含めて、バンガロール人から見るとどれくらいリアルなバンガロール像なのでしょう…。
2019.5.10.
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