インドにおける差別と貧困によって、盗賊団の慰みものから「盗賊の女王」としてのし上がり、のちに政治家に転身した実在の人物プーラン・デーヴィー(1963生〜2001没)の半生を映画化した、ヒンディー語(*1)映画。
彼女の人生を取材した小説「インド盗賊の女王プーラン・デーヴィーの真実(India's Bandit Queen: The True Story of Phoolan Devi)」の著者マーラ・セーンが脚本を担当している。
1950年の同名ハリウッド西部劇とは別物。日本では、1997年に一般公開。2023年にJAIHOにて配信。
監督を務めたシェーカル・カプールは、1945年英領インドのパンジャーブ州ラホール(*2)生まれ。
父親は開業医で、母親は映画一族アーナンド家出身のシェール・カンタ・カプール。妹に女優兼舞台演出家兼記者兼司会者のソハイラー・カプールがいて、伯父に映画監督兼男優兼プロデューサーのチェータン・アーナンド、デーヴ・アーナンド、ヴィジャイ・アーナンド兄弟、姉妹の結婚相手となる義兄(義弟?)に男優ナヴィーン・ニスチョーリー(姉[妹?]ネールーと結婚するものちに離婚)、男優パーリクシット・サーヒニー(姉[妹?]アルナの夫)がいる。99年に女優兼歌手のスチトラ・クリシュナモールティと結婚(*3)して1女を設けているものの、両者は07年に離婚している。
印パ分離独立闘争時に命からがらデリーへと逃げ延び(*4)、経済学を修了。両親の勧めから22歳でICAEW(Institute of Chartered Accountants in England & Wales = イングランド及びウェールズ勅許会計士)となって働き始め、1970年に英国移住して会計士兼経営コンサルタントを勤める。
一方で、74年に伯父デーヴ・アーナンドが監督&プロデューサー&主演を務めるヒンディー語映画「Ishq Ishq Ishq(愛、愛、愛)」に出演して映画&男優デビューしてから、ヒンディー語の映画&TVで活躍。83年の「Masoom(無垢)」で監督デビューして、フィルムフェア批評家選出作品賞を獲得。98年に「ディル・セ(Dil Se..)」で製作総指揮を担当して以降、監督兼男優兼プロデューサーとして映画・TV・舞台演劇で活躍していく。3本目の監督作(*5)となる本作でナショナル・フィルム・アワード ヒンディー語注目作品賞を獲得して国際的にも名声を高め、98年には「エリザベス(Elizabeth)」でイギリス映画監督デビュー。英国アカデミー英国作品賞他の映画賞を獲得する。以後も、ドキュメンタリーや短編映画、オムニバス映画などでも活躍しつつ映画・TV・舞台演劇で活躍中。13年のヒンディー語版・タミル語(*6)版同時公開作「Vishwaroopam(偉大なる化身)」でタミル語映画界に主役級デビューもしている。
この他、自身で"Liquid Comics""Virgin Animation"という会社を立ち上げ、自分の企画として漫画やアニメ製作まで行っているよう。