Chirutha (チルタ -豹になれ-) 2007年 149分
主演 ラーム・チャラン & ネーハー・シャルマー
監督/脚本/原案/台詞 プーリ・ジャガンナート
"吠えろ、豹の如く"
VIDEO
ある雨の夜。少年チャランの父は殺人事件を起こしたマトゥ・バーイを警察に突き出した事から、彼ら一党の復讐のために殺されてしまい、母もまた瀕死の重傷を負わされてしまう。
母を助けるため高額な手術費が必要になった幼いチャランに、叔父が口添えする…「地元マフィアボスが手術費を負担する代わりに、彼の息子がしでかした殺人事件の身代わりとしてお前に服役してほしいと言うんだ…どうするね?」
12年後。囚人たちの中で鍛えられたチャランはようやく刑期を終えて出所する。
しかし、街はすっかり様変わりし、叔父から「君の母さんは、君の服役後1年で亡くなってしまった」と聞かされて愕然。悲しみにくれる彼を慰め世話を買って出た叔父に「バンコクに行けば仕事がある」と言われ、さっそく警察所長の助けを借りてパスポートを手に入れ、叔父の紹介するバンコクの旅行代理店に就職することに。そこに、ハイデラバードで一目惚れしていた美女サンジャナーが会社のツアー客としてやって来るが…!!
挿入歌 Yamaho Yama (ああ神さま! [なんて姿だ])
VIDEO
タイトルは、テルグ語(*1)で「豹」の意。
テルグ語映画界のメガスター チランジーヴィーの息子ラーム・チャランと、後に2014年公開作「若者の国(Youngistaan)」で日本ロケに来るモデル兼女優ネーハー・シャルマーと言う新人2人の、映画デビュー作!
後に、タミル語(*2)吹替版「Siruthai Puli」、マラヤーラム語(*3)吹替版「Cheetah」、同名ヒンディー語(*4)吹替版、ベンガル語(*5)映画リメイク「Rangbaaz」も公開された。
もーとにかく、主役チャラン演じるラーム・チャランのカッコいい所をこれでもかとぶち込んだ、ラーム・チャランの大々的なプロモーションムービー!
物語展開がどんなに唐突だろうが、無理矢理だろうが、とにかくラーム・チャランが華麗に暴れ、美しく舞い踊り、カッコよくヒーローを演じる所を堪能させてヤンゼ! って姿勢が小気味いいほど徹底されているスター映画でありまする。
不穏なギャング抗争劇から始まる本編は、ジェイルもの、いつものストーキング気味ラブコメ、観光ムービー、カンフーアクション、サバイバル、愛の逃避行、親子劇と来てベトコン・ゲリラアクションみたいなラス立ちと言う盛り盛りっぷりの高密度さ。
主役ラーム・チャランのデビューを祝うかのような、悪役俳優&コメディアンも複数出演させて来て、それぞれにラーム・チャランと共演する見せ場を執拗に挟み込む。どっから出て来たんだその車とか、明らかに怪しすぎるだろって登場人物の振る舞い方とか、ヒロインとの距離の詰め方が強引すぎるだろとか、タイのリゾート地に連れてきたかっただけちゃうんかって場面展開も含めて、ツッコもうと思えばいくらでもツッコめるお話を大鉈ふるって「サービス精神てんこもりで作ったから、ラーム・チャランをよろしくね!!」とアピールする正直な映画パワーと、それを受けて立つラーム・チャランのスターオーラたるや、オソロしや。
ほとんどラーム・チャランのための映画ではあるけれど、彼と共に本作で主演デビューとなったヒロイン サンジャナーを演じる注目新人ネーハー・シャルマーは、1987年ビハール州バーガルプル生まれのモデル。父親アジット・シャルマーはビジネスマンからインド人民議会議員になった人で、彼女も父の応援のため政治運動に参加していたそう。
幼少期に重い喘息を患っていたそうだけども、ハイデラバードでの治療によって治癒したとか。また、古典舞踊カタックの他、ロンドンのダンススタジオで世界中のさまざまなダンスを修得した他、ニューデリーのNIFT(*6)のファッションデザインコースを卒業して自身のファッションブランドを立ち上げようとしてると言う。
ファションモデルから03年の「Raghu Romeo」の端役で映画デビューとなり、本作で本格的に女優デビュー。09年のテルグ語映画「Kurradu(ある男)」をはさんで10年に「Crook: It's Good To Be Bad」でヒンディー語映画デビューし、以降ヒンディー語映画界で活躍中。14年の「若者の国 」で日本ロケに来ていたり、16年の中国映画「大唐玄奘(Xuanzang)」に出演したりと、意外な所でも活躍してたりする。
今見ると、まだ主役2人が微妙にあか抜けない感じに見えてはしまうけど、それ故に無理矢理感ただようカッコ良さ演出&可愛さ演出が、王道ながら監督以下スタッフによる多彩な引き出しを持つ演出術の堅実さにも見えてくるよう。
その後もスター街道爆進中のラーム・チャランの出発点としても注目だし、プーリ監督の映画演出力の頼もしさも楽しめる。個人的には、いつもの恐い父親とはひと味違う、サンジャナーの父親を演じるプラカーシュ・ラージがいい味出してて、そこを強烈に推したいであります!
挿入歌 Maro Maro (さあ、私に叩き込んで)
VIDEO
「Chirutha」を一言で斬る!
・テルグの墓地って、わりとカラフルなのね…。
2018.2.23.
戻る