そのサナ・カーンは、1987年(88年とも)マハーラーシュトラ州都ボンベイ(現ムンバイ)生まれのモデル兼女優。父親がケーララ出身のマラヤーリー系ムスリムで、母親はムンバイ出身なんだそうな。
モデルを始めて、2005年の低予算ヒンディー語映画「Yehi Hai High Society」で映画デビュー。以降CMや広告界で活躍する中で、2006年のタミル語映画「E」からダンサー出演が続いた後、2008年の「Silambattam(突き合い)」で主役級デビューしてITFA(国際タミル映画賞)の新人女優賞を獲得。
2010年の「Kalyanram Kathi(刃のカールヤンラーム)」でテルグ語映画デビュー、2011年には「Kool...Sakkath Hot Maga(クールで…ホットな野郎)」でカンナダ語映画にも主演デビューする。本作でマラヤーラム語映画デビューとなった後、2018年のWebドラマ「Zindabaad」から、Webシリーズにも出演。
2020年、SNS上で芸能界からの引退を発表し、そのすぐ後にイスラーム教聖職者と結婚。「Face Spa by Sana Khan」と「Haya By Sana Khan」というベンチャー事業を始め、夫婦で「Hayat Welfare Foundation」という福祉財団を立ち上げている。
セクシー系映画で映画デビューしているサナ・カーンのキャリアや経験も劇中のスプリヤー物語に対応させてたりすんのかなあ…と深読みできないこともないけれど、有名なシルク・スミターの翻案映画というよりは、単純な女優不倫映画というまとまり方をしてしまってる所が色々と中途半端であると同時に「女優業って、こんだけ男たちの相手をさせられるんだぜ」って出歯亀的な語り口を生んでしまってる。なんの問題もなく大女優にのし上がったスプリヤーのセクシーさ表現も一本調子なのが、より安っぽさを強調してしまっててね…。
「ダーティー・ピクチャー」的な映画女優の悲哀を描く映画というよりは、「スタア誕生(A Star Is Born)」のような映画界を舞台にしたロマンス映画と見るべきお話だけど、それにしてはお相手となるR.K.のダメダメさが後半ずっと付きまとってきて、ロマンス的盛り上がりがなんもないのが…。「男側の情けなさ」「それでも延々続く恋愛」って点は「スタア誕生」的ではあるけれど。その辺がクライマックスに向けてたいした効果を生んでないように見えるのは、どちらも共通して「なんで恋愛がまだ続いてんねん」ってツッコみたくなるこちら側の問題なのかなあ…。うーむ。