チェイス! (Dhoom: 3) 2013年 171分(国際版は147分) 時に1990年12月1日の、アメリカはシカゴ。 少年サーヒル・カーンは、生まれ育った大インド・サーカスの存続を賭けて、インド移民でサーカス団長の父ハローンと共に、ウェスタン銀行支配人アンダーソン氏の前でサーカスを披露していた。しかし、アンダーソンは関心を示さず融資を拒否しサーカスの閉鎖を決定。ショックを隠しきれないハローンは、最期の抵抗としてその場で自殺してしまう…!! 時は流れ、2013年。 シカゴに舞い戻ったサーヒルは、1流のサーカス・パフォーマーとなり…1流の銀行破りの怪盗に成長していた!! 彼のターゲットはシカゴにいくつもの支店を出すウェスタン銀行。その破滅を願うサーヒルは、数々のトリックで銀行側を翻弄し、わざとデーヴァナーガリー(ヒンディー語の文字)のメッセージと、ピエロマスクを現場に残していく。 正体不明の犯人による銀行襲撃を2度も許してしまったシカゴ警察は、犯人逮捕のために国際警察のインド人敏腕刑事ジャイ・ディークシトを招いて捜査リーダーに抜擢。相棒のアリー、シカゴ警察のヴィクトリアと共に、第3のターゲットとなるだろう支店の警護を強化。テレビを通じて犯人を挑発する。これに反応したサーヒルは、新たな大インド・サーカスを立ち上げる中、さっそくジャイの前に現れて「犯人に心当たりがある。捜査に協力する」と申し出る。ジャイに「犯人は、かつての僕の同僚だ」と騙りながら現場を観察するサーヒルは、ついに4月1日「今日、必ず犯行が行なわれる。僕は公演があるから行けないけど、応援してるよ」とジャイに電話で宣言するが…。 OP Dhoom Tap 大ヒット ピカレスク・バイクアクション・シリーズ第3弾登場! 略称「D:3」。 公開されるや否や世界的大ヒットとなり、同じアーミル主演作「きっと、うまくいく(3 Idiots)」が塗り替えたボリウッド史上最大ヒット記録をあっさりと更新してしまった超傑作! インド映画初のシカゴロケ映画となり、初のIMAX上映作にもなったと言う。 日本では、「チェイス!」のタイトルでインターナショナル版が、"アジア映画最強レーベル"GOLDEN ASIA選定作として2014年に一般公開。それに先立つ東京国際映画祭でそのインターナショナル版が招待上映され、その後、DVDにて完全版が発売されている。 1作目で敏腕警部アビシェーク・バッチャンVSハイテク怪盗ジョン・エイブラハムのバイクアクションによってインドでバイクブームを巻き起こし、2作目がアビシェークVS怪盗リティック・ローシャン&女盗賊アイシュワリヤー・ラーイと言う最強コンビで話題をさらったスーパーヒット・アクション・シリーズが、第3作に据えたスターは"ミスター・パーフェクト"こと世界的大スター アーミル・カーン!! 1作ごとに変わる知的犯罪者を真の主役として(*1)、その騙し騙され合戦の爽快さを売りにする人気アクション大作の緻密さ、豪華さ、スキのなさは健在! …いや、シリーズ最強に進化拡大しているこの面白さと言ったらもう!! シリーズを通しての出演は、狂言回し的なジャイ&アリーを演じるアビシェーク・バッチャンとウダイ・チョープラーの2人のみ。前2作で脚本を手掛けて来たヴィジャイ・クリシュナ・アチャーリアがサンジャイ・ガドヴィに代わり監督に就任。インド映画史上初のシカゴロケで贈り出すこの映画の完成度は計り知れないですよお客さん!! そこに描かれる数々の映像トリックを是非劇場でご堪能あれ! これを家のテレビ画面で見るなんてもったいないにもほどがありますよって! 映画全編、まさに"Mr.パーフェクト"と呼ばれるアーミルなしには成立しない、そのオーラと卓越した演技力、その魅力を存分にスクリーンに魅せつけるパワーに圧巻。たしかに本人の言う通りタップダンスに若干危うさは感じなくもなくもないかも…って気もしないではないけど、それでもそのアクション、眼力、ダンスから変幻自在の存在感は凄まじい。 09年のボリ史上最大ヒット作「きっと、うまくいく(3 Idiots)」以降、10年はインド農村部の貧困と自殺・マスメディア問題をテーマとした「Peepli Live(ピープリー村から生中継)」のプロデューサーとして参加し、11年には妻キラン・ラーオの初監督作となる芸術系群像劇映画「Dhobi Ghat(ムンバイ屋外洗濯場)」にプロデューサー兼出演した他2作にゲスト出演。12年はサスペンス劇「Talaash: The Answer Lies Within(探求:答えは嘘の中に)」に主演兼プロデューサー参加した他、生放送テレビ討論番組「Satyamev Jayate(真実は常に勝利する)」を立ち上げ社会活動家としても精力的に活躍していたアーミルの待望の超大作主演となる本作は、その期待感に見事に答えてくれる彼の技量を存分に楽しめる爽快なる超一級娯楽作となっている。 出だしの冬のシカゴを舞台とした少年時代でつかみはオッケーかと思いきや、前作「Dhoom:2(騒乱2)」を踏襲したような廃工場セットでのOPタップダンスでテンションMAX状態にされ、(日本公開版ではカットされてるけど)ジャイとアリーの香港映画ばりのアクションシーン(*2)で主要人物が華麗にそろい踏み。アリーの妄想シーンやバイクチェイス中の前輪ウィリー、犯人のジャイへの直接犯行宣告と言った、シリーズの踏襲具合のお遊びも楽しい楽しい。怒濤のアクションシーンの連続となる前半から、衝撃のインターミッションを経て展開する後半のそれぞれの登場人物の思いが交錯する人間ドラマもホロリと来る、この満腹感こそ「映画ってイイヨなあ」と贅沢感に浸りながら言える至福のひと時ってヤツですわ。 話的にはわりと空気と化してるかも…なヒロイン アーリア(*3)演じるカトリーナ・カイフのその舞踏力の圧倒的進化にもビックリ。それだけでこの映画に用意されたハードルの高さと、キャスト&スタッフ陣のその乗り越え方の気合いが見て取れると言うもの。毎回、ボリウッドの流れを変えて来た人気シリーズだけに、その要望を受けて立ったボリウッド映画人の実力を目の当たりにして見やがれ! プロモ映像 Dhoom Machale Dhoom (騒音招来)
受賞歴
「チェイス!」を一言で斬る! ・アーミルってちっさいんダネ! それにつけても、子役シッダールト・ニーガムの演技力よ!!
2014.12.13. |
*1 だって、クレジットの順番が、2作目からアビよりも怪盗側キャストの名前の方が先に出て来ますし! *2 この一連のシークエンスは、色々、過去映画のパロディシーンも満載なんだそうで。 *3 前作主人公アーリヤンと掛けた名前? |