Desi Boyz 2011年 122分
主演 アクシャイ・クマール & ジョン・エイブラハム
監督/脚本/原案 ローヒト・ダーワン
"さあさ驚け、デージーボーイズのお通りだ!!"
2009年。世界中を襲った金融危機によって、最悪な打撃を受ける英国では、300万人以上の人々が職を失っていた…。
ロンドンでルームシェアするジェリー(ジグネーシュ・パーテル。通称"J"とも)とニック(ニキル・マートゥル)は、大学の先輩後輩。
大学院を卒業して一流投資銀行で働くニックは、恋人ラーディカー・アワースティへのプロポーズに成功するも、その翌日に突然会社を解雇されてしまったことを言い出せないまま。
一方大学中退ののち警備員の仕事をクビになっていたジェリーは、死亡した姉夫婦の息子ヴィールの親代わりをしながらも養育費を捻出できないで「学費滞納が続くようなら、ヴィールは里親に預けるしかない」と学校側に勧告されてしまう!
進退窮まった二人は、偶然バーで手に入れた名刺を元に、「デーシー・ボーイズ」と言うエスコートボーイ店で働いて稼ごうとするが、周りにはこのことは秘密にしようと誓い合う…。
挿入歌 Subha Hone Na De (夜よ明けないで)
*この楽曲は、ローヒト・ダーワン2作目の監督作「ディシューム(Dishoom)」でも一部引用で登場してたりする。
タイトルは、ヒンディー語(*1)で「国産の男たち」。「インドを代表する男たち」みたいな意味…?
劇中に出てくるエスコートボーイの店名でもあるけど、08年の大ヒット映画「Dostana(ある友情)」のミュージカルソング「Desi Girl」からの転用タイトルか…な?
監督は、本作が監督デビューとなるローヒト・ダーワン(*2)。多少アダルトな展開(*3)があるためか、上映時にR18指定になっていたそうな。
映画本編は、リーマンショックのあおりを食らったイギリス在住の無職インド人兄貴、アクシャイとジョンのムキムキマッチョ演じる2人のインド人青年が、一発逆転を狙って風俗業界で勇名を馳せつつ、そこから地に足のついた生活を手に入れるための努力を通じて、人生と恋を手に入れるお話……と書くと、なにやら説教臭い映画になるわけだけど、基本はマッチョ兄貴をドタバタコメディ劇の中で半裸にしてワーキャー言わせている、ノリの軽すぎるお騒がせ映画。
いろんなシークエンスそれぞれに、おそらく元ネタがあるんじゃないかなあ…と思える"ネタ振り"っぽい画面も満載に見える。その元ネタがよくわかんない身なので、笑いの大部分をつかめてない気もするんだけど、まあ、流して見るにはノリのいい映画だし、ヒロイン2人の美女度もハンパないしで(*4)、見てる間は楽しい映画ですわ。
無職で生活資金も減る一方なのに、あんな豪華な部屋で生活したり大学に通い出したり、キャンピングカーで寝泊まりしてたり、就職面接でやたら強気だったりと、絶対ネガティブにならない主人公たちの姿勢はザ・インド。
アクシャイとジョン、さらにディーピカが揃うと、本作前後に公開されてる「ハウスフル(Housefull)シリーズ」と重なっちゃうんだけど、ここでの久々のアクシャイ&ジョンの共演が「ハウスフル2」につながったなんてことは…ないかなあどうかなあ。
後半にセカンドヒロインで登場するチトラーンガター・シンは、1976年ウッタル・プラデーシュ州メーラト生まれ(*5)のモデル兼女優。父親はインド軍人、弟にプロゴルファーのディグヴィジャイ・シンがいる。
幼い頃からカタックダンスを習い、ニューデリーのレディ・アーウィン大学で家政学(の栄養学専攻?)を修了。卒業後にモデルデビューしてMV出演で高評価を得て、03年のヒンディー語映画「Hazaaron Khwaishein Aisi」で映画&主演デビュー。ボリウッドムービー・アワードの女優デビュー賞を獲得して女優業も評判を呼ぶも、続く05年の主演作「Kal: Yesterday and Tomorrow」の後、プロゴルファーのジョティ・ラーンダワーと結婚して一時芸能活動休止する(*6)。
その後、08年の「Sorry Bhai!」から女優業を再開。本作は、長編映画デビューから数えて5本目の出演作。そのモデル業や女優業の活躍を祝して、09年にはFICCI(インド商工会議所)から若手女性活躍賞を贈られている。
その後も主にヒンディー語映画で活躍してるが、14年の「Anjaan(恐れ知らず)」で本人役で特別出演してタミル語映画デビューもしている。
本作は、イギリス映画「フル・モンティ」のパクリという評価があるけれど、まあ話の大枠が似てはいても「フル・モンティ」にあった社会批判・風俗業を生み出す社会事情についてと言った社会派な視線は皆無。いきなり主人公2人がエスコートボーイとしてロンドンで有名になることになんの疑問も挟んでないし、「金さえ儲けられれば、なんでもやりたい放題だぜ!」って前半の軽いノリに男女論みたいな難しい話題なんか入る余地なし。
全体を見れば無責任な笑いのみに突っ走る映画で、ヒロインを始め女性陣の視点なんか無いも同然なのがなんとも。まあ、アクシャイ&ジョンのムキムキコメディを徹底的に楽しんじゃえばいいじゃん! な映画である。
そのぶん、後半の展開が説教臭さ全開なんだけど、ハリポタにも出てくるオックスフォード大学ロケを、こんな風に構成すんのねえ…って所なんかは、一見の価値あ…り?(かな?)
挿入歌 Allah Maaf Hero (神は貴方を許します!)
受賞歴
2012 Screen Weekly Awards 読者選出主演女優賞(ディーピカ)
2012 Stardust Awards コメディorロマンス演技賞(アクシャイ)
2012 Ghanta Awards パクリ賞(「フル・モンティ」+全アダム・サンドラー作品からの)
「DB」を一言で斬る!
・妖しさ大爆発のデージーボーイズ店長(演じるはサンジャイ・ダット!)が、『うちの店はロンドン、ニューヨーク、東京にある』とか言ってたけど、東京でもあんなマッチョマンは活躍してるのか…?
2018.2.17.
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