Dil Bole Hadippa! 2009年 148分 舞台は北西インド、パンジャーブ州の片田舎。 劇団一座の天幕の傍らで、賭けクリケット勝負の呼び込みが上がる。その胴元と組んでプロのクリケット選手顔負けの強打力を見せつけるのは、劇団員の少女ヴィーラ・カウル! 彼女の夢はプロのクリケット選手になること!! 同じ頃、すぐ近くのアムリトサルで,印パ分離以前からの友情を守るクリケット狂のヴィッキー(=ヴィクラムジート・シン)とラッキー(=リヤーカト・アリ・カーン)の、お互いの国の独立記念日(パキスタンは8/14で、インドは翌8/15)を祝うクリケット親善試合"アマン・カップ(平和杯)"が開催されていた。 しかし、試合は毎回インド側の大敗で終わる…。 ヴィッキーは、自分のチーム"インディアン・タイガー"強化のために、イギリスでプロのクリケット選手をしている息子のローハンを呼び寄せる。 母と別れた頑固な父に最初は反発するローハンだったが、父の夢の実現に心動かされ、ついにチームリーダーを引き受ける…。 新メンバー募集の広告を目にしたヴィーラは、すぐに喜び勇んで会場にやってくるも「女の出る幕じゃない」と入口すら通してもらえない。 ふてくされるヴィッキーだったが、劇団で男役出演したことをきっかけに名案を思い付く。そう、彼女は男装して選考会場に登場し、ヴィール・プラタープ・シンと名乗ってチームに入り込むのだった! 男社会のチーム宿舎で、妙に浮きまくるヴィールだが、彼のチーム随一の強打力に目をつけたローハンは徹底した特訓を課す。 そんな中、ふとしたきっかけでヴィーラはローハンに素顔を見られてしまい、とっさに「私はヴィールの妹」と取り繕うが、ローハンが彼女に一目惚れしたから、話はややこしくなってきて…。 挿入歌 Discowale Khisko (ディスコ野郎は道を譲れ) *らにかわいい。おにかわいい。 タイトルの意味は「心から叫べ、ヤー!」 大女優ラーニーが男装してクリケットに挑むドタバタラブコメ…と思っていたら、テーマ的にはインド人同士の共存共栄によってインドの発展を歌い上げる、とてもナショナリズム的なものになっていた。 ま、国民的スポーツが題材だと「ラガーン」に習うまでもなく、そっち系に話が引っぱられて行くんだろうけど、クラシカルな一直線シナリオは多少、急ごしらえ感が否めない…かな? 久々のラーニー主演作が男装役と聞いて「…大丈夫か?」とは、たしかに思いましたよ。ええ。でも、見てる分には全然問題ナッシング。そりゃ、「おいおいなんで気づかないんだよ」くらいはツッコみたくはなるけど、1人2役のドタバタロマンス劇と言えばボリウッドの定番も定番なストーリー。 ラーニーは、これまで通りきっちりした演技力と美貌とダンスを見せてくれるし、男装したときのチャップリンみたいな動きといい、その映画出演のブランクを感じさせない堅実さ・ハッチャケさは、どこまでも貴方について行きたくなるでありまーーーっす。 お相手役のシャーヒドもきっちりラーニーにかみ合ってくれるから安心。 正直、顔といい演技の幅といいダンスといい、日本人にはシャーヒドは結構ウケそうな気がするのですよ、ボクは。2000年代に入って出てきた新世代男優として注目して行って頂戴! おかんも一目見るなり「あれ? 珍しく甘い顔のイケメンがいるじゃん。私はやっぱり濃い顔は苦手なのよねー」とぬかしておりました。「ボリイベントで、"インドのジャニーズ"と呼ばれてた人だよ〜」と宣伝しといたら、即座に弟から「ジャニーズにしては年とりすぎ」とツッコまれたでよ。しくしく。 お話の肝は「インド人は、やはりインド人である」「インド人自身が変わって行くことでインドを発展させて行こう」と言った民族的プライドを鼓舞するような部分で、NRI(在外インド人)とパンジャーブ人、インド人とパキスタン人、英語とヒンディー語、親と子、男と女…というボーダーを越えて一体として前進しよう…と言うテーマを掲げてはいたけど、例によってロマンス他いろんな要素を入れるもんだから、ハッキリしてる部分とぼやけてる部分とが交互に出て来る。 それでも撮影は綺麗だし、衣裳は色とりどりの派手さに魅了されるし、各俳優陣の演技もキレていてグッド! …なのに今ひとつ満足感が得られないのは、それぞれのエピソードがぶつ切りになってるからかなぁ…。 クリケットのルールを知らなくても、ラストの試合はハラハラドキドキして引き込まれるけど、物語のテンションに正しく反応する試合内容は実に微笑ましい。 ついつい、あんな幅広なバットとバウンドありで飛んで来るボールなんて、打ち返しやすいんじゃないの? とか思っちゃうけど、やっぱりプロの投げるボールは魔球化するんでしょか。チーム選考の時のローハンの超豪速球とかは、野球マンガを彷彿とさせてイイね! セクシー担当で出てきた舞台ダンサーのシャンノー(演じるはラーキー・サーワント)とモデルのソフィア(演じるはシェリリン・チョープラ)も、まあまあ出番があったはあったけど、おざなり感も拭えず。ミュージカル「Discowale Khisko」で二人がぶつかるシーンがあるのは「あ、この二人ってキャラかぶってるよね」って言うツッコミでしょか。 ED Hadippa The Remix (やっちまえ! リミックスver.)
2010.12.22. |