ダバング 大胆不敵 (Dabangg) 2010年 125分 舞台はウッタル・プラデーシュ州の田舎町ラールガンジ。 少年チュルブルは、母ナイニーと再婚したプラジャーパティ・パーンデーイと、2人の息子マカンチャンド(通称 マッキー)に疎まれ続け、いつか両者を見返そうと誓って大人になっていく。 それから21年。 "ロビンフッド・パーンデーイ"の異名を持つ警察官チュルブルは、今日も単身銀行強盗団をボコり、盗難金をせしめる立派な汚職警官に成長していた。しかし、多少無茶でも世話好きで弱きを助け強きをくじく彼の人気は高い。 一方、義弟のマッキーはチュルブルの給料を盗んで恋人ニルマラーとデートの日々。彼女と結婚したいマッキーだが、彼女の父親は持参金が払えないからと猛反対。プラジャーパティも、工場経営でできた借金を結婚持参金で賄おうとしているのでなかなか話はまとまらない。 そんな中、ラールガンジに政治家の青年チェーディー・シンが視察にやって来た。彼は、資金集め要員(=強盗団)をボコッたチュルブルを仲間に率いれようとするも、それに反発して悪びれないチュルブルは彼の反感を買い、次第に対立するように…。 ある日、先の強盗団のアジト地区強制捜査の中、チュルブルは美しい壷売り娘ラッジョーに一目惚れするも、彼女は飲んだくれの父親を養わねばならないため「父が生きているうちは結婚しない」と彼のプロポーズを断ってしまう。 その頃マッキーは、母の忠告を無視してチュルブルの金を使い込んで恋人との結婚準備に大忙し。一方、対立する州知事の補佐(ラッジョーの兄)と親交を深めるチュルブルを疎んだチェーディーは、チュルブル抹殺に乗り出し強盗団を使って彼を殺そうとしていた…!! 挿入歌 Hudd Hudd Dabangg (Full) タイトルは「大胆不敵」。2010年、爆発的大ヒットを飛ばしてインド国内の映画賞と言う映画賞(&数々の音楽賞も)を総なめにした超弩級メガヒット大作! 翌2011年には、アヌラーグ・カシャプも参加してタミル語映画リメイク作「Osthe(頂点)」が、2012年にはやはりアヌラーグ・カシャプを迎えたテルグ語映画リメイク作「Gabbar Singh(ガッバル・シン)」が公開された。 日本でも、2014年夏に「歌って、踊って、インド映画祭」の1本として公開決定!! 片田舎の下町が舞台、悪漢義族な主人公、血のつながらない家族との対立と和解、政治家や警察の汚職、ツンデレ男女の微妙なロマンス…と、昔懐かしな時代のインド映画(特に南方面の)を彷彿とさせる黄ばんだレトロ感全開の画面作りを見てると「あぁ…これはひょっとしてインドにおける、寅さんみたいな映画なんかなぁ…」と思えてくる。肌で下町と言う所を体験したことがない自分には、少しわかりにくい所ではあるけれど。 マトリックスもかくやの超ウルトラ空中殺法やら、その辺にある放水ポンプやら重油やらを駆使したケンカ殺法やら、無茶でド派手なアクションシーン満載。小道具の粋な使い方やサービスの見せ方は、とことん南インド映画なカホリ。 本作は、主人公演じるサルマーン主演によるサルマーン押しのエンタメ映画であると同時に、インド的価値観によるレトロヒーローの復権映画。 本作は、サルマーンの弟アルバーズがプロデューサー兼ダメ弟マッキー役で出演し、アルバーズ自身のプロダクション製作の第一号作品となった。彼の妻マライカー・アローラ・カーンもゲスト出演兼プロデューサー。他の兄妹や父親サリーム・カーンも製作&宣伝に協力していると言うカーン一族映画でもある。 ヒロインのラッジョーには、ファッションモデルから転身して本作が映画デビューとなるソーナクシー・シンハー。こんな美人が田舎で暮らしてるなら、すぐインドに行っちゃうよーん…くらいの美貌と目力を発揮しておりましたが、役柄的には古典的ヒロイン…を少しツンデレ強調した感じ? 本作で数々の新人賞を獲得したソーナクシーは、一気にスターダムにのし上がる…でしょうか? チュルブル最大の敵となるチェーディー・シンには、「Jodhaa Akbar」にも出演していたソヌー・スード。タミルやテルグ映画ではわりと有名人(主に悪役俳優として)。サルマーンよりも長身なマッチョボディを惜しげもなく披露し、狂気じみたイイ表情を魅せてくれまする。よ、兄ちゃん、ひょっとして主役よりもカッコええんやないかい!? お話は、前半は悪漢ヒーロー チュルブルの活躍をダンディ&ド派手に魅せていく中で、雑然とした下町風田舎町を舞台にチュルブルを巡る家庭内不和の状況を描いていく。 後半は、前半で蒔かれた伏線を改修していきながら、最大の敵チェーディーの陰謀と対決に展開していく。 兄弟対決とチェーディー一党との対決が後半あたりまで平行して描かれていくので、そこに行きつくまでは話の筋が見えにくくはある。英語字幕も、込み入ったメンドくさい長文が多いんで見ていて疲れるのよ…。その分、終盤のラストバトルは、それまでためて来た鬱憤が一気に解放されるシークエンス満載になるわけだけど。 挿入歌 Munni Badnam Hui (兄貴は悔しがる) *数々の音楽賞・歌手賞・新人賞を総なめにし、2010年最大ヒットを飛ばした超弩級人気ナンバル! 踊ってるのは、本作のプロデューサーでもあるダンサー女優界のトップに君臨するマライカー・アローラ・カーン。同じくプロデューサーを務めたアルバーズ・カーン(主演のサルマンの弟)の奥さんだったりする!
受賞歴
2012.4.27. |