Darling 2010年 153分
主演 プラバース & カージャル・アグルワール
監督/脚本/原案 A・カルナカラン
"なんで、ウソをつくの!!"
人は、愛と友情なくして生きてはいけない。しかし、多くの場合友情は子供時代の終わり頃…遅くとも学校の卒業とともに消えてしまうのが世の常である…。
プラバー(本名プラバース)の父親である弁護士ハヌマンタ・ラーオは、ナンディニの父親ヴィシュワナートとは学生時代からの親友同士。家族ぐるみでの交流を重ねていたものの、ヴィシュワナートが仕事でスイスに移住することになり、幼馴染の親友だったプラバーとナンディニも別々になってしまう。
それから10年。大学卒業を迎えたプラバーは、父親の電話からナンディニ家が近々インドに帰ってくることを知り大喜び。しかし、その前夜に同級生ニーシャが彼に告白して振られたことから自殺を図って昏睡状態で入院してしまい、これに怒った彼女の父親が部下のギャングたちをけしかけてきて「絶対、お前と娘を結婚させるからな!」と友人たちを人質にとって脅してくる…!!
「結婚は、お互いに愛し合っている者同士で行うものですよ」と説得にかかるプラバーは、去年スイスに音楽留学した時のナンディニとの悲しい恋の物語を語り出すのだが…。
挿入歌 Pranama (人生が [貴方のおかげで海のように広がった])
A・カルナカラン8作目の監督作となる大ヒットラブコメ・テルグ語(*1)映画。
インドと同日にアメリカでも一般公開。
その大ヒットによって、主演を務めたプラバースの代名詞兼肩書きとして「ダーリン」が定着したそうな。
後にヒンディー語(*2)吹替版「Sabse Badhkar Hum」、元と同タイトルのタミル語(*3)吹替版が公開され、13年にはカンナダ語(*4)リメイク作「Bulbul」も公開されている(*5)。
日本では、2019年にIndoeiga.com主催の「#魅惑のテルグ映画〜プラバース編」にて、「Mirchi(ミルチ)」とともに埼玉県のSKIPCITY川口で英語字幕上映。
久々の、インターミッション直前の壮絶な大どんでん返し映画で「言われてみれば、話が都合良く転がってたけど…!!!!!」とネタバレ厳禁な感じの映画構成でございました(*6)。
まあ、1つ1つのエピソードの作りは古典的と言うか、通常営業な感じだけども、そのつながりをいじるだけで、こんなに映画が面白くなるんだなあとやたら感心してしまいますことよ。インド映画定番の海外ロケ地であるスイスの風景とともに、多彩なファッションで飾る主演2人の軽快さ・可愛さ・ふてぶてしさがなにをおいても魅力的に映るし、それぞれの登場人物たちの関わり方もエモーショナル。所々でツボを抑えるかのように挿入される家族ドラマの互いを思いやる悲喜こもごもが良いスパイスとなって、映画を盛り上げてくれるのがニクいよこのぅ。エンディングにかぶる、ヒロイン側から見た劇中各場面のネタバラシもウマい!!
プラバース演じる主人公プラバー(本名プラバース)と名優プラブー演じるその父親ハヌマンタ(*7)の、掛け合い漫才のような仲良し父子っぷりも微笑ましいし、大学卒業のわりに何処かに就職したようなそぶりの無い主人公周辺の友達グループのつるみっぷりも愛嬌があってナイス(*8)。悲恋話を聞いて「なんてことだ!」と感動して泣いてくれるギャングボスも今までに無い感じもするけど、その悲恋話が後半の展開に図らずもシンクロして行く所も熱い展開ってやつですゼ!
主人公の父親の名前が「ハヌマンタ」と出てきた所で、いつも通りのラーマーヤナ構造の映画だろう…と思い込んだこっちの思惑を、華麗にスルーするサービス精神が「してやったり!」な作り手側の顔が見えるようで素晴らしきかな。
本作の監督&脚本&原案を務めるA・カルナカランは、1971年生まれ。
98年のテルグ語映画「Tholi Prema(初恋)」で監督&脚本&原案デビューとなり、ナショナル・フィルムアワード テルグ語注目作品賞・脚本賞・新人監督賞を獲得。以降、テルグ語映画界の監督兼脚本家として活躍中。
08年の監督作「Ullasamga Utsahamga(幸いにして…)」ではナンディ・アワードの脚本賞を受賞。本作の後、12年の監督作「Endhukante Premanta (それは、愛だよ!)」の同時製作タミル語版「Yen Endral Kadhal Enben!」で、タミル語映画監督デビューもしている。
ボリウッドやトリウッド、ハリウッドなどの過去映画ネタもポンポン出て来る所に、マイケル・ジャクソンネタやら西洋クラシック音楽がスイスの風景にかぶせて流れたりと、お遊び要素もふんだんにあるのも楽しきかな。
そんな映画の中を縦横無尽に走り回る主演2人の身軽さ・バイタリティが存分に発揮されてる画面がカッコええことこの上ないけど、全力で走るカージャルはシーンによっては身のこなしがぎこちない感じもするのはご愛嬌ってやつですかねえ…。まあ、それを含めて可愛いから良し!!
挿入歌 Hoshare
*プラバース版This Is It !!
受賞歴
2010 Nandi Awards 編集賞(コータギリ・ヴァンカテーシュワーラー・ラーオ)・吹替男優賞(R・C・M・ラージュー)
2010 Mirchi Music Awards South 期待の男性歌手賞(ソーラジ・サントーシャム / Inka Edho)
2011 CineMAA Awards 批評家選出男優賞(プラバース)
Santosham Film Awards 撮影賞(アンドリュー)
「Darling」を一言で斬る!
・相変わらず、インド映画内のバスケはルールが雑だよぅ。
2019.3.8.
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