闇の帝王DON〜ベルリン強奪作戦〜 (Don 2) 2011年 144分 *「ドンを捕まえるのは難しいのではない…不可能なのだ!」と言う前作から引き継がれた名台詞は、本作でも健在。ま、日本語字幕では「ドンは捕まらない。絶対にだ」みたいになってますが。 あれから5年。ドン、彼は全アジア麻薬密売組織を手中にしていた。 彼のヨーロッパ進出を恐れた欧州密売カルテルたちは、各組織代表一致でドンの暗殺を計画。タイ奥地でドンを襲撃するも逆に撃退され、ドンは何処かへと消えていく…。 ドンへの復讐を誓うローマーは、マレーシア警察勤務のICPO(国際警察機構)職員となって多忙な日々。長年ドンを追跡しながらもそれを果たせない上司マリクが、37年の警察勤務から引退すると告げられたその日、2人の前に当のドンが現れる! 自首する代わりに自分にかけられた容疑の抹消を要求するドンだったが、マリクとローマーは彼を拘束し収監。しかし、ドンは密かに部下と結託して仇敵であった収監中のワルダーンと接触。恨み骨髄のドンを暗殺しようとするワルダーンを仲間に引き入れるドンは、彼と共謀してまんまと脱獄してしまう!!! 脱獄した2人を出迎えるのはドンの新たな恋人、アエーシャー。 ドンは、彼女とワルダーンの前で次なる計画を打ち明ける。狙うは欧州経済の掌握…その要となるDZB(ドイツ中央銀行)ベルリン本店所蔵の、ユーロ紙幣の原盤を強奪すると言うのだ!! プロモ映像 Mujhko Pehchan Lo (オレが誰か知ってるだろ) シャールク主演の2006年の映画「ドン 過去を消した男 (Don: The Chase Begins Again)」の続編。副題は「The Chase Continues (追跡は続く)」。 日本では、2013年に「ボリウッド4」の1作として一般公開。 前作が 1978年公開「Don」のリメイクでありながら、元映画ファンですら驚いた大どんでん返し映画であったのに対し、本作は完全オリジナルのストーリーで新たなドンの活躍を描いたピカレスクアクションとなっている。 前作ドンから受け継いだマーシャルアーツ・アクション、街中でのハイスピード・カーチェイス、変装と裏切りの連続サスペンス、ラストの大どんでん返しと言う要素を取り込んだ一大クライムアクション。海外ロケとして、タイ、マレーシア、スイス、ドイツ……と様々な国を舞台に展開される(*1)。 過去のドン映画で描かれた様々な要素をリファインしながら、クライムヒーローシリーズ作として舵を切ったような感じで、前作から共通の出演者はドン役のシャールク、ローマー役のプリヤンカ、ワルダーン役のボーマン・イラーニー、マリク役のオーム・プリ(*2)。 今作では、さらにミレニアム・ミス・ユニバースのラーラ・ダッタが新しいドンの恋人アエーシャー役で、"東京株取引所にハッキングしたこともある"天才ハッカー サミール・アリー役にクナール・カプールが、ドイツ中央銀行副総裁J・K・ディワン役には「チャンスをつかめ(Luck by Chance)」にも出演していたアリー・カーン、殺し屋アブドゥル・ジャッバー役でナワーブ・シャー他が出演。 特別出演クレジットのラーラの登場シーンが限定的だったのは、ギャラの関係か、スケジュールの都合か…(*3)。もっとラーラの暴れる所が見たかったよぅ。ミレニアム・ミス・ワールドのプリヤンカともども、ドレスを始めとする衣裳の着こなしはホンマにエ〜レガント! 一瞬、突然登場するリティックもドッキリサプライズ。彼のクライムアクションも見てみたーい。 お話的には、前半は飄々としたドンの腹に一物抱えた脱獄劇。後半はベルリンを舞台にした中央銀行内でのスパイアクションな感じ。 前半のドレッドヘアなドンの妖しさ大爆発でつかみはオッケーなわけで、宿敵ワルダーンとの丁々発止な腹の探り合いも楽しい……んだけど、ベルリンに舞台が移ってからはどんどん「ダイ・ハード」的な、よくあるハリウッドアクションになって行った感じ。中盤の派手な屋外チェイスアクションが最後まで続いて行かないで夜の屋内シーンばかりになっていったのは、やっぱドイツの撮影許可が厳しかったから? ローマーとの絡みも必須なのに、なんとなくお茶を濁された感も拭えず。活躍シーンやドンとの絡みシーンはいっぱいあるんだけども。ドンもドンで、アジアンアンダーワールドのトップなのに、なんでそんな現場で必死に危機を作りに行ってんねん? って感じ。前作のマフィアのボス的なスゴ味が消えて、一匹狼の怪盗的なキャラになって行きましたな(*4)。それはそれでカッコいいけども。 なんでも、前作の「過去ドン」が大ヒットした時から続編の企画は上がってたそうなんだけど、監督を務めたファルハーン・アクタルが、前作のすぐ後にプロデューサーや俳優デビューしてしまって多忙を極め、さらにファルハーンの姉ゾーヤー・アクタルも弟を主演にして映画監督デビューしたりと、姉弟の活躍がボリウッド業界を騒がせたこともあって、なかなか監督業を引き受けてくれなかったらしい。 今作「闇ドン」の終わらせ方を見てると、まぁこのまま完結編ってことにもなりそうな、続編を作りやすいようにもしてありますよって感じにも見えるような(そのとらえどころのなさがドンっぽい?)。続編があったとしてその時はファルハーン監督作になってるのかどうなのか。むぅ。 挿入歌 Zara Dil Ko Thaam Lo (貴方の心を離さない)
受賞歴
2013.5.2. |
*1 と言うか、インド本国は1度も出てこない…ロケ自体は知らんけど。 *2 さらに、チョイ役でシンハーニヤ役のラジェーシュ・カッタル。あと冒頭、声だけ前作アニータ役のイーシャ・コッピカルがノンクレジット出演。ドンの恋人って何人いるのかねぇ。 *3 本作の公開年、ラーラは女の子を出産。翌2012年には映画には出演していなかったりする。 *4 そう、ちょうど番組の方針転換で暗殺者から義賊に転身した某三世キャラのような…。 |