インド・オブ・ザ・デッド (Go Goa Gone) 2013年 108分 IT企業のダメ社員ハルディクとラヴは、それぞれ解雇と失恋のショックを埋めようとリゾート地への傷心旅行を計画。同居人で仕事仲間のバニーがゴアへ栄転を前提とした出張に行くと聞いて、無理矢理同行することに。ラヴは、ゴアに着いたその日にフェイスブック上での友人ルナと出会い、ロシアンマフィア主催の離島でのドラッグパーティーに誘われる。 仕事があるからと乗り気でないバニーを無理矢理連れ出して、3人は島へ渡りパーティーに参加。高価なドラッグには手が出せない3人だったが、なんとなくそれぞれに女の子を引っ掛け楽しい夜を過ごす…。 翌朝。 一人さみしく夜を明かしたラヴは、お楽しみだったハルディクと再会するが、2人の目の前で人が人を襲ってむしゃぶり喰う現場を見てしまう! 「あああありゃ…いいいいいったいなんなんだよ!?」 「あれだ…テレビで見たヤツだ。たしか…ゾ…ゾ…ゾンビって言うんだ!!」 バニーとも再会し、3人はコテージで生き残っていたルナを救出するが、すぐにゾンビの襲撃が!! しかし、そこにゾンビたちを次々と銃撃するロシアンマフィアのボリスとミハイルが登場する!! 「新開発のドラッグが強烈すぎて、皆ゾンビになりやがった! 一気に頭を潰さないとお前らもゾンビになるぞ!! 死人は皆殺しだ!!!!!」 こうして、3人+ロシア人(?)2人の島脱出を賭けた戦いが始まる…。 プロモ映像 Slowly Slowly ボリウッド初のゾンコメ(ゾンビ・コメディ)! …と言うふれこみで話題をさらった大爆笑ゾンビ映画。劇中でも「ゾンビ? ゾンビってなに?」と言うくらいの知名度しかインドにはない(らしい?)カルトジャンルを逆手に取って、もーやりたい放題な傑作コメディ。エログロならぬコメクロ(コメディ&グロテスク)? なわけわからん珍妙な映像は必見! 日本では、2013年IFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて「ゴー・ゴア・ゴーン」のタイトルで上映。後に2015年に東京と大阪で一般公開して(*1)話題を呼び、その感染力で埼玉、愛知ヘと拡大し、同年の神戸元町映画館ハイテンション映画祭でも上映! 冒頭から、往年のチランジーヴィーのスリラーをパクったゾンビダンスで始まり、それを呆然と凝視する主役のハルディクとラヴって時点でつかみはOK。観客側も一瞬なにが起こったか分かんなかったよ!お話的には、数あるゾンビ映画の基本をなぞるような展開をしつつ、そんなホラーもののお約束を茶化し続ける悪ノリっぷりが凄まじく清々しい。やってる事がB級感たっぷりのゾンビ映画なんだから…と言う割り切りがハッキリしてるのかしてないのか、色々と際どすぎるネタも満載で、その辺でも爆笑必死。ラストのオチもまとめ方も「そう来たか!」と言う驚きと呆れと爆笑が混ざった妙な感動はあるし、映像の凝り方もある所ではB級感たっぷり、ある所ではスタンダードに、またある所ではPV風と言う変幻自在っぷりも楽しい。 監督を務めたラージ・ニディモウ&クリシュナ・D・K(略称 ラージ&DK)は、2人組で世界の各映画祭で賞を獲得し続ける新進気鋭の映像クリエーター。2002年に、英語+ヒンディー語のアメリカ映画「Shaadi.com」で監督(+撮影+編集+出演)デビュー後、4作目の監督作となる2009年の「99」でインド映画デビュー。6作目の監督作となる本作では、原案・脚本・楽曲構成・歌(Babaji Ki Booti)も担当するマルチっぷり。 愛すべきバカ ハルディクを演じるのは、カシミール出身の俳優クナール・ケームー。子役から映画界に入り、2005年の「Kalyug」で主演男優に昇格。ラージ&DK監督作「99」でも主演男優として出演。本作の劇中、過去の恋人役で一瞬ソーハ・アリ・カーン(サイーフの妹)が出てくるけど、実生活でも恋人同士なんだそうな。そのコミカルな芝居が、なんとなく「ロード・オブ・ザ・リング」でメリーを演じていたドミニク・モナハンを彷彿とさせるような、でないような。 優柔不断キャラでナレーション担当のラヴを演じるは、俳優兼コメディアン兼テレビ番組司会者でもあるヴィール・ダース。米国TV映画「The Curse of King Tut's Tomb」で俳優デビューした後、映画とTV双方で活躍。サイーフ主演の2009年の映画「今時の恋愛(Love Aaj Kal)」にも端役で出演してるそうな。この人、幼少期に短期間だけナイジェリアで生活してた事もあるそうで。 紅一点ルナを演じるのは、2007年ミス・ユニバース・インド代表のプージャー・グプタ。2002年の「Kehtaa Hai Dil Baar Baar」の端役で映画デビュー後、2011年の「F.A.L.T.U」で主演女優を獲得。モデル兼女優として活躍している人。本作でも、綺麗所としてセクシーな水着姿を披露したかと思えば、チョイチョイ挟まれるコメディのツッコミ役をしたり、豪快にショットガン(たしか…サブマシンガンだったか?)ぶっ放したりと、やりたい放題な活躍を堪能させてくれまする。 本作で特に異彩を放つ怪演を見せたのは、ロシアンマフィアのボリスを演じるサイーフ・アリ・カーン。金髪グラサン&革ジャンと言う妖しさ大爆発な姿でゾンビを次々と爆殺しては、ウソかホントかわからないロシア語をまくしたて(誰か分かる人は検証してみてー!)、無理矢理なオーバーアクションのジェスチャーでプロフェッショナルを気取る。しまいには「あんた本当にロシア人? なんだかインド人っぽいんだけど」とツッコまれて「ああそうだよ」とヒンディー語をまくしたてる楽屋オチが楽しすぎる。なんでこんな楽しそうにB級ホラーに出演してんねんアンタ。あー腹痛いwww 所々、それはゾンビなのか? って所もなくはないけど、色々笑かしてくれるかと思えば、泣かせてもくれるし恐いシーンもしっかりある(…気もする)。個人的には、鮮血ドバーとかナイフぶっ刺されとか、血まみれの内蔵捕食シーンとかは「うへ」と目をそらしたくなるチキンな私ですが、周りの人たちは「えー全然恐くないじゃーん。超最高だったよ!」と全員が全員楽しんでおりました。映画館出た後で、クラブで騒いでる集団見ては「ああ…ゾンビがいる」とか言い合いながらゾンビ歩きで渋谷の街に消えてくくらいには楽しんでたよー!!!!! プロモ映像 Khoon Choos Le
「インド・オブ・ザ・デッド」を一言で斬る! ・あいかわらず、インド映画は欧米人の扱いがヒドいw …楽しそうでいいけどw
2013.11.1. |
*1 公式ツイッターのハイテンションさも手伝って。これ必見。うん。 |