Guru 2007年 166分 1951年。グジャラート州イダル村の少年グルカーント・デーザーイ(通称 グル)は、父の反対を押し切って、ビジネスでの成功を夢見てトルコへ渡った。 さまざまな苦労を乗り越えてビジネスマンとなった1958年。グルは故郷に凱旋して、インドでの起業を模索する…。 その頃、恋人との駆け落ちに失敗した傷心の少女スジャータと知り合ったグルは、彼女と結婚することで手に入れたダウリー(結婚持参金)を元手にボンベイへ渡り、スジャータの弟ジネーシュと共に閉鎖的な現地のビジネス界に立ち向かう。 ついには独立系新聞"スワタントラ・サマチャール"を味方につけ、業界の通例を逆手にとり、さらに前例のない一般人参加型の株主制度を開発して、見事ポリエステル輸入加工会社"シャクティ・トレーディング"を立ち上げることに成功する! しかし、急速に拡大する会社の方針に不満を持ったジネーシュは、姉スジャータにグルの愛が嘘であること・ダウリー欲しさの結婚だったことを暴露して彼の元を去る。これに憤慨したスジャータもまた、弟とともに故郷に帰るのだが、実家まで追いかけてきたグルの熱意に説得され、お互いに自分の本心に気づいた二人は、共に会社の拡大に邁進するのだった。 数年後にはインド有数の大企業に成長したシャクティ・グループだったが、かつてのグルの協力者で親代わりでもあった"スワタントラ"新聞社社長のマーニク・ダースグプターは、強引な利益優先戦略をとり、不正取引などにも手を染めて拡大するシャクティ社の不法性を暴き始め、記者のシャームに徹底した取材によってシャクティ社の悪事を暴露するよう命じる。ついには、グルの巻き起こす経済活動に国も黙ってはいなくなり…。 挿入歌 Barso Re (雨よ降れ) 公式には否定されてるそうだけども、この映画は実在のインド人実業家ディーラジラール・ヒーラーチャンド・アンバーニー(1932生〜2002没)の半生をモデルに、60年代以降のインドの経済をにぎわることになった、彼の創った株式会社リライアンス・グループの衝撃を元ネタにして映像化している…そうな? 映画のキモは、「どんな困難があろうと夢を実現させるには前進し続けること」「社会(国)が停滞して自身の夢が実現できないのなら、社会を改革して国を繁栄させるための方法を模索すること」…と言う愛国的命題とともに、グルとスジャータと言う似た者同士の夫婦(+シャームとミーナークシーの夫婦も?)の絆が支える人生模様の色々も大きなテーマになっている。親世代の社会に頼らず、親を越えていけ…と言う物語にも読み取れる?(深読み) 主役グルを演じるのは、マニ・ラトナム監督によって役者として飛躍的に成長し続けるアビシェーク・バッチャン。いつものコミカルな髭面顔を封印して、野心的で狡猾そして純粋なビジネスマンを好演。 ヒロインのスジャータには、当時アビシェークと結婚直前だったアイシュワリヤー・ラーイ。役柄的には、内助の功でグルを支える良妻賢母と言った所だけど、場面場面での夫婦のピリリと効いた会話のやり取りや、息のあったイチャツキぶり、後半追いつめられるグルを支えるために懸命にサポートに走る活力ぶりと、地味ながらいろんな演技を見せてくれる。アビとの掛け合いの絶妙さは、やっぱり結婚直前の幸せ絶頂期のなせる技か? 脇を固めるのは、"スワタントラ"新聞社社長マーニクに、往年のトップスター ミトゥン・チャクラボルティ(OPのキャスト名で最初に出てくるのがさすが!)。 その娘で悲恋劇を担当するミーナクシーにヴィディヤー・バーラン。その相手役でグルの不正を暴くために走り回る記者シャームには、タミル映画界を中心に活躍しているR・マーダヴァンと言う配置。 特に、マーニクとグルの奇妙な友情は、脚本・演出も相まってなかなか味のある効果を生んでいる。どちらも、自分に純粋であろうとするが故に衝突し尊敬しあう。あぁ、男の生き様とはかくも面倒くさいものなのか。この辺はなんか、「ゴッドファーザー」的な匂いもするね。 お話がビジネス界を中心に動くせいか、劇中の台詞はやたら早口で難しい単語もポンポン出てくるので、字幕を読むのがかなり大変でしたわ。ある意味、ビジネスヒンディー語(または英語)の勉強にもなる…か? OP Mayya (母よ [白く月を洗い流せ]) *あぁ、なんであっち(中東系)の音楽はこうも肌に合うのだろう…。 踊っているのは、アイテムガール(ミュージカル専門のダンサー女優)として有名なマッリカー・シェーラーワト。
受賞歴
2011.11.19. |