ハッピー・エンド (Happy Ending) 2014年 136分 ロサンゼルス在住の小説家ユディ・ジェイトリーは、一世を風靡した大型新人作家としてなに不自由ない生活をしていた。ただ1つ「愛してる」の言葉が嫌いな彼は、次々と彼女を乗り換えてばっかり。 目下の問題は、「愛してる」を連発する天然な歯科医ヴィシャーカーと別れたいのに別れられない事。 そんなある日、出版契約しているラック出版が「君がデビュー作から1作も新作を書かないから、印税も底をついた。契約不履行で君の財産を差し押さえる」と宣言! 突然、破産の危機に落ち入るユディに出版社は提案する。「映画スター アルマーンの次回作の脚本を書くなら、一旦破産は見送ろう」 しかし、5年以上も完成作を上げられないユディは「ハリウッドの有名作をつないで、米印でヒットするインド風ラブコメにしてくれ」と言う無茶な注文に自信喪失してしまい、頭の中のもう一人の自分ヨギが「ラブコメなんて簡単だよ」と始めるラブコメ講義に邪魔されて、筆は遅々として進まない。 そんな中、ユディはラック出版期待の新人作家アーンチャル・レッディを発見。自分の地位を奪った彼女の様子を観察していると、大ヒット恋愛小説でデビューしたアーンチャルが「恋愛小説なんて、なにが面白いのかしら。あんなので涙流してバカみたい」と影で毒づいてるのを目撃する…。 プロモ映像 Haseena Tu Kameena Mein (君は美女、オレはイケメン) サイーフの主演&プロデュースによる、イルミナティ・フィルムズ(*1)製作、「インド・オブ・ザ・デッド(Go Goa Gone)」のラージ&D. K.監督による、全編アメリカロケの懐かし系お気楽ロンコム(*2)。 日本では、2015年にIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて上映。 サイーフお得意のチャラ男主人公と美女ヒロイン、オール海外ロケ、…のわりに次々出てくるインド人レギュラーキャラ、一人二役、内輪ネタ満載の豪華なゲスト出演組……と、一昔前のボリウッド・ロマンスが得意だった懐かしネタ満載の軽ーい軽ーいラブコメ映画。冒頭いきなり、私生活上では夫婦のサイーフ&カリーナが登場して「Idiot!(バカ!)」とカリーナにしゃべらせてる時点でお遊び度高すぎですよ。 場面場面で、サイーフ演じる"書かない小説家"ユディとヨギが「ラブコメとは〜」「だいたいの恋愛映画の出だしは〜」とカメラに向かって語り出すメタ要素も入れ込んで、過去のラブコメ映画のメタパロディ総決算的な映画にしようとか言う目論見が見えて…くる? 98年の「ディル・セ(Dil Se..)」のデビュー以降トップスターとしてヒンディー語映画界で活躍して、サイーフとも主演同士でラブコメ映画に出演ていた大女優プリティ・ズィンダーが、13年の「Ishkq in Paris」で4年ぶりに映画復帰した次の出演作が本作となるのも注目(*3)。 ラージ&D. K.監督によるイルミナティ・フィルムズ製作映画としては13年の「インド・オブ・ザ・デッド」に続く2本目。 会社第1号映画「今時の恋愛(Love Aaj Kal)」や「カクテル(Cocktail)」ほどのヒット作を生み出せてないイルミナティ側としては、米国ロケのノウハウを修得済みのラージ&D. K.に頼りつつ、ゾンコメ(ゾンビ&コメディ)が呼び物だった「インド・オブ・ザ・デッド」で見せた多層的画面演出が姿を消して、ノスタルジックなロンコメ演出が徹底されてる所なんかは「冒険するのは、成績を残してからな」って言うオーナー側の注文が見えるよう…な? まあ、ある意味で散りばめられている懐かし系ラブコメネタは、ラージ&D. K.監督作なりの映像密度を高める演出法ってことですかいねえ。イイゾ、もっとゴーヴィンダーを踊らせてくれー!! ユディとアーンチャルのドライブデートで出て来た、懐かしボリソングで盛り上がる様がボリウッド愛に満ちていて微笑ましい。 アメリカでも、インド移民用に専門の雑誌やら新聞やら出てるって言うし、専門のネットラジオで盛り上がってるインド人たちの姿ってのはこのシーンのようなもんなんですかねえ。元ネタが全部分かるようになりたいもんですが、外国人には遠い道だゼ。 プロモ映像 G Phaad Ke (みんな踊れ! / 別意:ケツを解放しろ!) Cast Dances ver.
受賞歴
「ハッピー・エンド」を一言で斬る! ・アーンチャルのお守りの招き猫と言い、ペコちゃんのトランクスと言い、日本発祥なものが散見されますが……そう意識されてんのかなあって不安が…w
2016.3.26. |
*1 サイーフの自社プロ。 *2 英語圏では、ラブコメの事をロマンス&コメディの略で"ロンコム"と言うんだそうで。 *3 ノンクレジット出演のわりに、結構出番が多い! |