ハウスフル2 (Housefull 2) 2012年 160分 舞台は英国、ロンドンのいつもの朝。 動物愛護組合LAW(= Loving Animals Worldwide)の公認メンバー ヘーナ・カプールとボビー・カプールは犬猿の仲。今日もサーカス舞台裏で鉢合わせしてやり合う二人は従姉妹同士で、彼女たちの父親(チントゥ・カプールとダッボー・カプール)も亡き祖父の家名を争って大喧嘩の毎日。同じ屋敷の別々の出入り口の表札に「カプール&その"本当の"息子」を掲げ合う2人の父親は、娘たちに最高の結婚相手を見つけようと争い合い、どちらも同じ結婚斡旋人アクーリ・パスタに見合い相手の選出を依頼しあう。 アクーリに選ばれたバーバニ家の夫婦がチントゥ夫婦との見合いにやってくるも、ふとした誤解からチントゥの怒りを買って追い返され、そのショックでバーバニ氏は心臓発作を起こして集中治療室送りに! 突然の父親の惨状を聞かされた息子ジャイ・バーバニは、カプールなる男が大金持ちJ.D.の息子と自分の娘を結婚させたがっていると聞いて、ある復讐を思いつく…。 挿入歌 Papa Toh Band Bajaye (パパが楽団を指揮してしまう / 別意: パパが僕たちの人生をメチャメチャにする) *大学時代のサニーとマックスが、親友から宿敵に変わった卒業パーティーのとある一幕を描くミュージカル。 2010年に大ヒットした、ヒンディー語(*1)コメディ映画「Housefull(満員御礼)」の続編。副題は「The Dirty Dozen」(イカレた12人。*2)。 あまりにも大人数でややこしい、劇中復讐劇の主要な関係者は如何の通り。()内は役者名。 ・ジャイ・バーバニ (シュレーヤス・タルパデー) カメラマン。父親の心臓病を悪化させた復讐に、幼なじみジョリーと結託してカプール家に偽見合い相手を送り込んで自滅させようと企む。 ・パルール・パテール (シャザーン・パダムスィー) ジャイのアシスタントで恋人。 ・ジョリー (リテーシュ・デーシュムク) ジャイの幼なじみで、大金持ちJ.D.の本当の息子。恋人のジロとの結婚を希望するも、恐い父親に言い出せないまま。 ・ジロ (ザリーン・カーン) ジョリーの恋人のモデル。父親に対して煮え切らないジョリーに怒り心頭。 ・マックス (ジョン・エイブラハム) ジャイの同窓生で元"大学1のワル"。手癖の悪い泥棒。偽見合い相手その1。間違って、"リアル・カプール"を名乗ったダッボーに「オレはJ.D.の息子」と名乗る。 ・ボビー・カプール (ジャクリーン・フェルナンデス) ダッボーの娘。動物愛護組合公認メンバーで皮革製品を嫌悪する。ペットはニシキヘビ。 ・サニー (アクシャイ・クマール) ジャイの同窓生で"英国1のワル"。偽見合い相手その2。マックスとは大学時代には大親友だったが、卒業間近のとある事件から会えばケンカが始まる宿敵状態に。 ・ヘーナ・カプール (アシン) チントゥの娘。動物愛護組合公認メンバー。ワニをペットにしている。 ・アクーリ・パスタ (チンキィ・パーンデーイ) ハイテンションのイタリア人結婚斡旋業者。 ・ダッボー・カプール (ランディール・カプール) ボビーの父親。カプール家長男。 ・ドリー・カプール (ネールゥ・コーリー) ボビーの母親。夫と共にチントゥ家が大嫌い。 ・チントゥ・カプール (リシ・カプール) ヘーナの父親。カプール家次男。 ・スウィーティ・カプール (スパルナー・マールワー) ヘーナの母親。やっぱり夫と共にダッボー家が大嫌い。 ・J.D. (ミトゥン・チャクラボルティ) 有名な超大金持ち。ある事情から息子ジョリーに恐れられる強き父親。 前作からは、何人か同じキャストが出演していつつもパラレルな別のお話で、パート2と言いつつ物語的なつながりはない。そのバカバカしいほどのラブコメ劇+数々の過去のボリウッドネタ+トップスター勢揃いな話題性によって大ヒットし、さらなる続編となるサジード=ファルハード監督によるシリーズ第3作「ハウスフル3(Housefull 3)」が2016年に公開されいている。 インド本国の他、イギリス、アイスランド、クウェート、ノルウェー、アメリカでも公開(*3)。日本では、2013年のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル)にて「Housefull 2/ハウスフル2」のタイトルで上映。 物語自体は、2003年のタミル語(*4)映画「Banda Paramasivam」のリメイク(*5)。 本作がオリジナル版にどこまで近づけてあるかはわからないけど、前作「Housefull」から引き継いだしょーもないドタバタ劇の連続で、主な舞台となる巨大なお屋敷、複数のバカップルのドタバタ劇、リゾート地でのビキニショット、ムリクリぶち込まれる下ネタ系ギャグや動物ネタコメディ(*6)、英国王室ネタ、ざーとらしいシチュエーションコメディの数々と、前作との共通モチーフは多い。 お話自体は、結婚式を混乱させようとする4人の新郎候補たちの思惑を中心に、その父親たちの思い込みからくる家族不和を盛大に笑い飛ばしつつ、家族再編劇を入れ込んだラブコメに流れていく。その分、綺麗所をそろえましたよってな感じで水増しされるヒロインたちは大して掘り下げられずに振り回される一方ってのは、ちょっともったいない感じ(*7)。 前作から続投出演(別人役だけど)なのは、アクシャイ・クマールとリテーシュ・デーシュムク、ボーマン・イラーニー、ランディール・カプール、ヴィンドゥ・ダラ・シン、マライカー・アローラ・カーン。唯一役名まで一緒な結婚斡旋業者アクーリ・パスタを演じるチンキィ・パーンデーイ(*8)も。 前作でゲスト出演した(*9)ジャクリーン・フェルナンデスは、本作で主役級(の1人)に昇格。なんでも、撮影中に監督のサジード・カーンと意気投合して付き合いはじめたそうな(*10)。 その監督サジード(・カムラン)・カーンは、1970年ムンバイ生まれ。 父親は映画監督兼プロデューサー兼役者のカムラン・カーン。母親は女優メンカー・イラーニー。映画監督兼振付師のファラー・カーンの弟にあたる。映画監督ゾーヤー・アクタルと男優兼映画監督ファルハーン・アクタルが母方の従姉弟で、女優デイジィー・イラーニーと女優兼脚本家ホーニー・イラーニーが母方の伯母になる。 学生時代にDJ活動を始め、音楽番組などの司会を担当。数々の看板番組を作り上げて名声を高め、97年のヒンディー語映画「Ishq」で美術監督を務め映画デビュー。98年のヒンディー語映画「Jhooth Bole Kauwa Kaate(鴉は嘘つきをつつく)」では端役出演し、以後、美術スタッフや広報担当、端役出演を務めながら、06年のオムニバス・ホラー「Darna Zaroori Hai(恐怖せよ)」の1編で監督&脚本デビュー、続く07年には「Heyy Babyy」で長編映画の監督&歌手デビューする。本作は、「Housefull」を挟んでの監督作4本目になる。 とにもかくにも、4組の新郎新婦にその父親が関わってくる主要登場人物の多い映画で、初見では人間関係を押さえるだけでモータイヘン。 物語的な関係図と共に、楽屋オチ的な配役的関係図までネタにしてるので(*11)しょーもないネタの中に仕込まれた色々な要素を読み解くだけでもお腹いっぱい。まあ、そんなしょーもないネタを読み解く価値があるのかって話もある…けどもw 挿入歌 Right Now ([こっちへ来てよベイビー] いますぐに)
受賞歴
「ハウスフル2」を一言で斬る! ・婚礼衣裳で忍び足なんて、特にインドの衣裳で出来るわけないジャーーーーン(野暮なツッコミw
2017.3.3. |
*1 インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語。その娯楽映画界を、俗にボリウッドと言う。 *2 米国に実在するダーティー・ダズン・ブラス・バンドとは、関係ないネーミング…だよね? *3 ロシア版もあるらしい。 *4 南インド タミル・ナードゥ州の公用語。 *5 この映画は、98年のマラヤーラム語映画「Mattupetti Machan」のリメイク作でもあり、この映画のリメイク作としては他にも、05年のテルグ語映画「Hungama」がある。 *6 ガオーと吠えるワニなんて初めて見たわ…。 *7 まあ、出番の多い男性陣たちも、キャラの掘り下げが十分あるかって言うと…ねえw *8 あいかわらずの似非イタリア語台詞のテンションの高さよ! *9 しかも、裁判沙汰で出演シーンオールカットされそうになった。 *10 それまで恋人関係だったバーレーンの王子と破局直後だったとか。しかし、結局この2人も2013年にあっさり破局してしまったそう。 *11 ダッボー役のランディール・カプールと、チントゥ役のリシ・カプールが実際に兄弟で、これが初共演作だとか! |