ハウスフル3 (Housefull 3) 2016年 134分 ロンドンにて、その名を轟かす海運王バトゥーク・パテールは、3人の娘に近づく男たちを全てはねつけていた。 箱入り娘として育てられるお嬢様ガンガー、ジャムナー、サラスワティ姉妹だったが、実は影で街に繰り出しては豪遊三昧。なんと将来を誓い合った恋人もいるのだ! それぞれの恋人、サッカー選手のサンディ、レーサー志望のテディ、世界的ラッパーを目指すブンティは、大金持ちの彼女と結婚して夢を叶えようと計画。特にサンディは、プロチームのインド人への差別体験から解離性同一性障害を発症し、「インド人」と言う単語を聞くたび別人格のトラブルメイカー"スンディ"が現れてくる病気を治す治療費を欲しがっていた。 ある日、パトゥークは知り合いのイタリア人コック アクーリ・パスタと手を組んで娘に結婚を諦めさせるウソを仕掛ける。「ガンガーの彼氏が一歩足を踏み入れた時、ジャムナーの彼氏が一目義父の姿を見た時、サラスワティの彼氏が一声義父に呼びかけた時、姉妹の父親は死んでしまうだろう…」 これを聞いた姉妹は、さっそくサンディに半身不随のフリをさせ、テディに視覚障害者のフリを、ブンディに発話障害者のフリをさせて「これで私たち、結婚できるわね!」と父親に迫る…!! 挿入歌 Pyar Ki ([母なる]愛) トップスターが大集合するユルユルドタバタコメディとして大人気のハウスフル・シリーズ第3作。 監督は、前2作のサジード・カーンに変わって、2014年の「Entertainment(エンターテイメント)」で監督デビューしたサージド=ファルハドが担当している。 日本では、2016年に東京のキネカ大森で上映された後、同年のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)でも上映。 シリーズ前2作と同じく、前作との物語的つながりのない独立した話ながら、一部キャストが共通する事自体をネタにする楽屋オチの数々が楽しい、しょーもないドタバタコメディかつヤバいネタ連発の下世話なアッパラパー映画。よく日本で上映できたなあ…と変な所に感心したくなるのはいいんだか悪いんだか。 シリーズ共通主要キャストは、主役のアクシャイ・クマールの他、リテ−シュ・デーシュムク、ボーマン・イラーニー、ジャクリーン・フェルナンデス(*1)。シリーズ共通とは言っても役的には全員別人の中、唯一名前まで共通するアクーリ・パスタ役でやっぱりチェンキー・パーンデーイも続投出演。 新たなヒロインには、ジャムナー役のリサ・ヘイドン、サラスワティ役のナルギス・ファクリー(*2)。それぞれモデルとしても活躍している3人の綺麗所をそろえて、その周りで男たちがドタバタするだけでどんどん話が転んでいってアホオモロくなっていくんだから、ボリウッドの芸達者ぶりにビックリ。と同時に、そのいつまでも変わらない毎度強引なシチュエーションコメディのしつこさにため息と乾いた笑いが交互に出てくるってモンですよ。個人的には、応援してるナルギスの活躍する場面がもっとほしかったなあ…と感じる所ですが、そもそも都合の良すぎるヒロインたちの活躍が限定的すぎる投げっぱなし映画だからなあ…。皆、もっと出演作を考えるべきだと思うのイイゾモットヤレ! 監督を務めたサージド=ファルハドとは、ムンバイ生まれの監督&脚本家コンビ サージド・サムジー&ファルハド・サムジーのコンビ名。前作「ハウスフル2(Housefull 2)」では脚本&台詞を担当していた。 もともと作詞制作から注目されて、サルマン・カーンを介して02年のダヴィッド・ダーワン監督作「Hum Kisise Kum Nahin(オレたちは誰にも負けない)」にて作詞担当して映画デビュー。06年の「Shiva(シヴァ)」から作詞の他台詞も担当し、08年の「Golmaal Returns(ゴルマール・リターンズ)」にて脚本デビュー。以降、ドタバタ喜劇を中心に大ヒット作の脚本を手掛け、14年に「Entertainment」で監督デビュー。本作が2作目の監督作となる。 同年公開作で、ロンドンロケ&史上初のマダム・タッソーの蝋人形館ロケ映画となった「ファン(Fan)」と同じく蝋人形館がネタとして登場するのは、偶然か意図的か便乗ネタか。前作と同じく銃で迫ってくるマフィアボスにしょーもない方法で隠れたり対抗する所なんかは、シリーズものの踏襲具合として楽しいけど、悪役で出てくる3人組の「オレはイケメンだぜ」オーラに、主要3人の男優が勝ってるのかどうか微妙な存在感なのが、いとをかし。 挿入歌 Taang Uthake (足をあげて踊れ)
「ハウスフル3」を一言で斬る! ・メタ的な出演者たちの私生活ネタまで本編ギャグに盛り込まれまくる、シリーズ初出演のアビシェークの人の良さっぷりがもう…w
2017.3.18. |
*1 1作目はゲスト出演で2作目は助演、本作でついに主演女優に! *2 この3姉妹の名前は、88年の「Gangaa Jamunaa Saraswathi(ガンガー・ジャムナー・サラスワティ)」が元ネタだそう。姉妹の登場シーンで、そのテーマソングが流れてくるw |