インド映画夜話

Jodhaa Akbar 2008年 213分
主演 アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン & リティック・ローシャン
監督 アシュトーシュ・ゴーワーリーカル





*2008年、ボリウッド最大注目の歴史大作!!


 16世紀、北西インドに侵入してきたイスラム勢力のムガル帝国。その3代目の皇帝に即位したジャラルディーンは、長じるにつれて臣下たちを抑えて戦争によらない統治を目指し始める。
 そんな中、北西インドのラージプート王国では、ムガル皇帝とラージプートの姫ジョダーとの政略結婚の話が持ち上がる…。

 当事者たちの承諾なしに進む婚礼の中、ジョダーは初見のジャラルディーンに結婚のための条件として
「自分を含めたラージプートの人々の習慣・宗教の自由を保障する事」
「宮殿の自分の部屋に、(ヒンドゥー教の)クリシュナ神の祭壇を作る事」
 を提示。
 これに驚いたジャラルディーンだったが、初めて触れる異教徒ジョダーの立ち居振る舞いに興味を示し、2人の距離は徐々に縮まって行くが、どちらも政略結婚を認める事はできないまま時は過ぎていった。

 だが異教徒の存在を快く思わない宮殿内部の人々は、反逆罪をでっち上げてジョダーを追放してしまう。
 その主犯に自分の乳母がいる事を知ったジャラルディーンは愕然とするも、乳母や帝国の実権を狙う弟一派を処分しつつ、ジュダーのいるラージプート城へ彼女を向かえに赴く。そこは、ムスリムであるムガル皇帝が、初めて目にするヒンドゥー文化の世界だった。
 彼は、そこでインドの文化を体感した後、ムガル社会の問題を洗い出し、ついにはインドを含めた中東一帯の全ての民族から"アクバル"(偉大なる)と呼ばれる皇帝へと成長して行く。
 その頃、反アクバル派とラージプートの対ムガル抵抗軍の中に、ジョダーの兄が加わっていた…。


挿入歌 Azeem O Shaan Shahenshah (あぁ、皇帝は素晴らしく偉大なり)



 中世北インドに栄えたイスラム帝国の皇帝を主人公に、民間伝承で語り伝えられる姫ジョダーを語る歴史絵巻。

 冒頭に、ジョダー伝説は民間伝承の側面が強く実在の人物かどうかは怪しい(実在してたとしても、名前そのものにいくつもの説があって一定しないそうな)と語られ、完全な史劇ではなく歴史的人物を織り込んだファンタジーである事が明言されている。

 もちろん、劇中では歌に踊りが満載(でも主役二人の踊りはちょっとだけ)。絢爛豪華なムガルの風俗が惜しげもなく投入されて、南〜西アジアの華やかなりし頃の様々な文化風俗が楽しめるのがスンバラしい(日本人的には、その差異がわかりにくいんだけど…。言葉の上でもムスリムたちはアラビア語に近いウルドゥー語、インド人たちはサンスクリット語の語彙を連発してるんだそうな)。

 うちのおかんに見せたら「この皇帝の人、インド映画で初めてカッコいい人がやってるね」とようやくボリウッドを認めた。どんなもんだい。

挿入歌 Khwaja Mere Khwaja (我が最愛の神よ!)



受賞歴
2008 Filmfare Awards 作品賞・監督賞・主演男優賞・振付賞・作詞賞(Jashn-E-Bahara)・BGM賞
2008 IIFAインド国際映画協会賞 作品賞・監督賞・主演男優賞・美術監督賞・音楽監督賞・作詞賞(Jashn-E-Bahara)・男性プレイバックシンガー賞(Jashn-E-Bahara)・BGM賞・衣裳デザイン賞・編集賞・メイクアップ賞
2008 V Shantaram Awards 監督銅賞・主演女優賞・音楽賞
2008 Golden Minbar International Film Festival of Muslim Cinema 作品賞・主演男優賞
2008Sao Paulo International Film Festival 観客選出外国語映画賞
2009 Star Screen Awards 作品賞・主演男優賞・BGM賞・振付賞・監督賞・観客選出女優賞(アイシュワリヤー)・主演女優賞・アクション賞・美術監督賞
2009 Stardust Awards 年間男優スター賞(リティック)・監督賞・新人賞(ニキティン・デール)
2009 National Film Award 銀蓮衣裳デザイン賞・銀蓮振付賞(Azeem O Shaan Shahenshah)
2009 Apsara Film & Television Producers Guild Awards 主演男優賞

2009.6.12.

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