TV俳優兼歌手から07年のパキスタン映画「神に誓って(Khuda Kay Liye)」で映画デビューし、本作でボリウッドデビューとなったファワード・カーンはもはや貫禄。ラジャスターンの伝統的王族のイケメン王子を嫌味なく演じ、主人公に思う存分振り回されながら恋に落ちて行く様を自然に演じきってて、男の自分から見ても「いい奴じゃねえか」とか同情しちゃうから、粋な奴ですわ(*3)。
それに対しての、自由奔放を絵に描いたようなニューヨーカーっぽいノリの主人公を演じる、映画一族出身のソーナム・カプール(*4)も、多少無理してやってる感もないことはないけど、ソーナム推しの企画と思われる本作において存分にその魅力をアピール。まさに屋台骨として120%の存在感を放っておりました。
監督を務めたシャシャーンカー・ゴーシュは、03年のヒンディー語映画「Waisa Bhi Hota Hai Part II (同じように起きたこと2)」で監督&脚本デビューした人。
08年の「Aamir(アーミルの1日)」で端役出演後、09年の「Quick Gun Murugun(クイックガン・ムルガン)」の監督と同年に短編映画「The Journey」でプロデューサーデビューし、本作は4本目の監督作。その後は、映画・TV双方で活躍中。
意外な音の組み合わせによる印象的な挿入歌を作り上げた音楽担当は、1983年マディヤ・プラデーシュ州インドール生まれのスネーハー・カーンワルカル。
幼少期から母方家族を通じて古典音楽に触れて育ち、彼女の工学部進学を意図してムンバイに移住した家族の意向に反して、アニメーションはじめ映像方面を学びながら作曲業を始めて行く。04年のヒンディー語映画「The Hope」で音楽担当して映画デビュー。05年の「Kal: Yesterday and Tomorrow(カル : 明日/昨日)」でタイトルソングを担当し、07年の「Go」では歌手&女優デビューもしている。10年の「Love Sex Aur Dhokha(LSD : 愛とセックスと裏切り)」でフィルムフェアのR・D・ブルマン(音楽監督)賞を獲得。以降も、ヒンディー語映画界やTV界で音楽監督兼作詞兼歌手として活躍中。