Kuruvi 2008年 169分(172分とも)
主演 ヴィジャイ & トリシャー
監督/脚本/原案 ダーラニ
"俺が、飛んで逃げるとでも思ったか!?"
アーンドラ・プラデーシュ州カダッパの鉱山では、マレーシアに拠点を置くギャングボス コチャから仕事を請け負うコンダ・レッディ兄弟の支配によって、鉱夫たちが搾取され続けていた。それに抵抗して怪我を負わされながら「いつか、息子がお前たちを打ちのめすぞ!」と脅す男が1人…。
同じ頃。チェンナイにて賞金レーサー(?)として活躍するヴェルー(本名ヴェトリヴェル)は、その日もボロ車での出場ながら優勝してご機嫌で帰宅してみれば、見知らぬ男たちが契約を盾に家財道具一式を取り立てにやって来ていた。聞けば、鉱山に行ったまま帰ってこないヴェルーの父親シンガムトゥが、50ラーク(=500万ルピー)の借金をして、それをマレーシアの実業者コチャに預けていると言う。その返済期限が来たために家を売って返してもらうと言う男たちを前に、ヴェルーは宣言する…「なら、1週間のうちにその借金を取り戻してみせるさ!」
母親たちに留守を頼みつつ友人オプスと一緒にクアラルンプールにあるコチャの会社を目指すヴェルーだったが、現地ガイドは「コチャ」の名前を聞いただけで逃げ出してしまうのだった…!!
挿入歌 Dandaana Darna
*メインで踊ってるのは、主演のヴィジャイと、ダンサー出演の女優マラーヴィカー(本編でも、前回レース優勝者の恋人役で出演)!
タイトルは、タミル語(*1)で「鳥(特にスズメ)」の意で、密輸品運送業者用語での「運び屋」の意味や、東南アジア在住のタミル人たちが使う「不法移民」の意味にもなる名称だそう。
のちにテルグ語(*2)吹替版「Dopidi」、ヒンディー語(*3)吹替版「Jo Jeeta Wohi Baazigar」、同名マラヤーラム語(*4)吹替版も公開された。
2004年のヴィジャイ&トリシャー主演の大ヒット作「百発百中(Ghilli)」を監督したダーラニによる、再度ヴィジャイ&トリシャーを迎えたマサーラーアクション登場!
マンホールから噴水のごとく登場するヴィジャイ(*5)の軽やかさを象徴するが如く、前半は割とノリの軽い主人公ヴェルーの、様々な困難や恋愛模様を気楽な調子でポンポン解決していく爽快な展開。「百発百中」の経験があるせいなのかどうなのか、わりとそれぞれのキャラクターに見せ場が用意され、主演2人も息のあった掛け合いを見せてくれる軽やかで楽しい画面が連続して行く感じ。
後半から、ダイヤモンド鉱山を舞台に、マフィアボスや鉱山地主兄弟の専制に対抗しようと奴隷同然の労働者たちが一致団結して行く「庶民の力」を家族ドラマで盛り上げて行く重厚な物語へと展開して行く。ヒロイン デヴィ演じるトリシャーは恋愛パートに限定した活躍って感じにはなっているものの、ヒロインの義姉役のサランヤー・ポンヴァンナンと共に主人公の味方となって敵側をおちょくる一連の芝居のまー楽しいこと。ラスボス コチャの家族でありながら、コチャ一味を内側からおちょくり混乱させていくヒロインの2人の可愛さも見もの。
劇中に多出するワイヤーアクションは、香港映画のカンフーアクションほどの浮遊感はないとは言え、ヴィジャイの長ーい手足を縦横無尽に振り回す足技の数々を見せつけ、インドのマサーラーヒーローの「鳥」のような身の軽さを強調するインド的飛び回るアクションヒーローの美学を魅せていく。
まあ、いろいろぶち込んでるわりに「百発百中」に比べてやや大人しくまとまってる感も拭えずなのは、それぞれの登場人物たちの掛け合い芝居が多く、コメディアン枠の親友オプス演じるヴィヴェークのボケ演技以上に、いろいろなボケとツッコミをみんなでやってる感じが長々と続くからでしょか。とか言いつつ、それをノリノリで演じてる主演2人がまー楽しそうで、それを眺めてるだけでもワタスなんぞ満足度うなぎ上りでございますよ。
冒頭のカーレースシーンもインド映画としては珍しい(ないことはないけど)ノリで、都会の象徴としての前半の舞台クアラルンプールの雑踏、中盤のチェンナイの下町で展開する追いかけっこ、「マッドマックス」もかくやな後半のダイヤモンド鉱山での西部劇的勧善懲悪な世界と言う、主人公を取り巻く世界の転調具合も小気味好い。3つの世界を飛び回る、主演ヴィジャイの空を飛ぶかのようなアクションを刮目して見よぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
挿入歌 Palaanadhu Palaanadhu
*イスラーム教のモスク集会に乗り込んでいった主人公が、イスラーム教徒たちと踊り舞うミュージカルの群舞!
「Kuruvi」を一言で斬る!
・走る列車に敵をぶん投げて吹っ飛ばすって、ワイヤーアクション的な動きだったけど、どうやって撮影したのやら…。
2022.11.4.
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