Mirapakay 2011年 152分(160分とも)
主演 ラヴィ・テージャー & リチャー・ガンゴーパドゥヤーイ & ディークシャー・セート
監督/台詞/原案 ハリシュ・シャンカル・S
"オレは、激辛だぜ"
バンコクからアジアの裏社会を支配するマフィアのドン キットゥ ・バーイーが、ついに故国インドにも進出。彼の差し金によって、中央政府大臣(?)が早くも犠牲になってしまった…。
インド警察が特別班を編成してキットゥ捕獲作戦に乗り出す中、その陣頭指揮をとるナラヤーナムルティに育てられた破天荒ながら女子供には大人気の刑事リシ(本名リシケーシャ。通称"激辛"のリシ)は、義父の要請でハイデラバードの大学へ潜入捜査に赴くことになる。
女っ気のない職場や警察学校を離れられると有頂天のリシは、ヒンディー文学講師に扮して大学に赴任後、すぐにそこの学生ヴィナムラ(本名パンディタラディユラー・ヴィナムラ。通称ヴィニィ)に一目惚れして任務そっちのけでアタック開始し両思いになっていく。一方で、学校や街を支配するギャングを粉砕して人々から賞賛されるリシを、街の有力者シャンカル・アンナ父子はなんとしてでも排除しようと動き出す…。
そんな中、キットゥの居場所を知るという彼の娘ヴァイシャーリーが、シャンカル邸に引越して来て潜入する大学に編入してきたと言う情報を受けたリシは…!!
挿入歌 Silakaa (オウムよオウム [こっちにおいで僕のオウム])
タイトルは、テルグ語(*1)で「唐辛子」の意だとか(*2)。
06年のラヴィ・テージャー主演作「Shock」で監督デビューしたハリシュ・シャンカルの、5年ぶりとなる2作目の監督作(*3)。
のちに、ヒンディー語(*4)吹替版「Khallas」、タミル語(*5)吹替版「Murattu Singam」も公開。
当初は、よくあるギャング抗争もののような話で始まるものの、物語本編はほとんどが男1女2の三角関係による、クリシュナ神話型のノリの軽いラブコメで占められていて、大量に打ち込まれる映画ネタも合わせて観客を楽しませることに特化したマサーラー映画な一本。流血アクションもなくはないけれど、テルグ映画にしては(比較的)痛いシーンは少ない上に話の主軸になっていない。
監督の前作「Shock」の興行不振からの反省を込めて、役者にも楽しんで作ってもらいたいと用意した脚本ってことで、「みんなでハッピーになろうね!」って意気込みが聞こえて来そうな密度のお話は最初から最後までつくづく楽しい。
「真面目な警察官として育てられたせいで、DDLJとかの人気映画も見せてくれなかった!」と義父にグチる主人公が、電車に乗り遅れそうになった美女を見つけるやいなやDDLJのコスプレで助けようとしたり、そのDDLJネタを踏襲した似たようなオマージュシーンのある「あなたがいてこそ(Maryada Ramanna)」で主役を務めたスニールが、本作のオマージュシーンを邪魔しに出てきたりと、過去のテルグ語映画・ヒンディー語映画を知ってると笑える濃いいネタシーンの多いこと多いこと…w なんとなく本作以後公開の、リチャー主演作「Mirchi(唐辛子)」とかディークシャー主演作「Rebel(反逆者)」とかを先取りしてる気にもなってくるのがスゴいぞ、この映画。
さらに印象的なのは、軽快なラブコメ劇以上にノリノリの音楽の数々。
テルグ語・タミル語映画界で活躍するヒットメーカー作曲家S・タマンによる挿入歌は、1度聞くと延々と頭に残ってリピートされ続ける麻薬ソング。ただでさえ楽しい主演3人のダンスを、300%増し増しにアピールしてくれるそのパワーったらトンデモね。ああ、その色彩、その音楽とダンスの共鳴具合、その幸福感を増強してくれる画面の強さたるや!
笑いや恋愛劇の展開に強引さは拭えない物語とはいえ、2人のヒロインの愛嬌もこの映画の武器。
リチャー演じる古典的な家育ちの真面目系ヒロイン ヴィナムラと、後半登場のディークシャー演じるツンデレNRI(在外インド人)ヒロイン ヴァイシャーリーどちらもしっかり見せ場が用意され、ヒロイン2人体制映画が陥りがちなヒロインの使い捨て感は全くない。最後まで、恋愛劇はもつれにもつれてギャング抗争に優先されて描かれていく語り口も愉快で良し。その分、三角関係の解決がより強引にならざるを得ないのはまあ…「クリシュナ神話のオマージュだからね」で逃げられるからまあ良い…のかなあどうかなあ?w
挿入歌 Dhinaku Dhin (愛する君よ [僕のハートは君のもの])
「Mirapakay」を一言で斬る!
・デリーの警察が、秘密の打ち合わせをする場所というと、クトゥブ・ミナールで決まりなのね…(まあ、絵になるところよね…w
2020.3.27.
戻る
|