監督自身が、過去の監督作である「Singh Is Kinng(シンは王様)」の新たな続編を作りたいと言う野望の現れ、と言ったという本作は、確かに「Singh Is Kinng」に習ったかのようなパンジャーブ魂爆発な感じの、全編ターバン男がくんずほぐれつワイワイ盛り上がる画面で出来上がっている。ボリウッドにおける、パンジャーブ推し率を跳ね上げるような映画ですわ。
しょーもないネタの数々の中にあって、定番ゆえにきっちりと作られた感の強いアルジュンの1人2役がしっくりと自然すぎてスゴい。「お見合い破談にさせたいなら、ヤク中のふりして向こうから断らせればいい」と言う「フライング・パンジャーブ(Udta Punjab)」作戦の唐突さと無茶さは爆笑もの。元ネタ映画知ってるから笑えるけど(*4)、どシリアス映画が台無しだよ!(イイゾモットヤレーw)
監督を務めるのは、コメディ映画の名匠アニーズ・バーズミー。
助監督として映画界入りしたのち、85年の「Lava」で助監督兼台本脚色、88年の「Hum Farishte Nahin」では台本担当になり、90年の「Swarg(天国)」で脚本家デビュー。90年代を通して脚本家として活躍する傍ら、95年の「Hulchul」で監督デビューする。98年の監督作「Pyaar To Hona Hi Tha(恋に落ちた)」の大ヒット、05年の監督作「No Entry」の年間最大ヒット記録によってヒットメーカー監督の仲間入りを果たす。本作は、11本目の監督作となる。
2012年のガーンタ・アワードでは、前年公開の監督作「Thank You(サンキュー)」と「Ready(レディ)」の2本で最悪監督賞を受賞している。
インドとイギリスの空気感・若者たちの雰囲気・家族観の違いを強調するようなシーンも定番として入ってくるものの、そこに現れる英国の"ミニ・パンジャーブ"でパンジャーブ人然として働くイギリス人たちの様子がまあ、なんちゅーか…w
似たような、印英両国を舞台にしたラブコメ「君と僕の物語(Teri Meri Kahaani)」で同じように怒りっぽい元カノ役を演じてたネーハー・シャルマーが、やっぱり恋の鞘当て的な役所で出演しているのがなんとも。途中まで、話をさらに混乱させる存在として存在感を発揮してたわりには、急にどーでもいい扱いにされてる感が半端なかったですわ。まあ、こんがらがった結婚相手の組み合わせに怒り心頭で婚約式に乗り込んでくる姿はカッコよかったけどさ。