NAYAK ~真実のヒーロー~ (Nayak: The Real Hero) 2001年 125分(元は181分) 民放局勤めのカメラマン シヴァージー・ラーオ(通称シヴァ)は、マハラーシュトラ州プルガオ村に視察に来た州首相バルラージ・チャヴァンを取材中、彼の取巻きに公約違反の文句を言ってきた少女マンジュリに一目惚れしてしまった! そんなある日。街中でバスの運転手と学生の乱闘から暴動が発生!! 交通機関は麻痺し、警官と与党支持派のバス運転手との衝突、その背後の州首相の無責任な対応をシヴァは余す事なくカメラに収め、被害者の学生を病院まで運んでトップニュースを飾る事に。 このスクープ映像が認められキャスターに昇進したシヴァは、はれてマンジュリにプロポーズしようとするが、父親から「娘は公務員と結婚させる」と断られてしまう…。 昇進したシヴァの初仕事は、なんと州首相との生放送での対談。 先日の暴動の責任が州首相にあることを現場で見ていたシヴァは、対談の中で徐々に州首相を追いつめ、暴動を黙認した真実を暴露。 追いつめられた州首相はついに言い放つ!「首相の仕事も大変なんだ! 実際に1日でもやってみろ。その苦しみが分かる!!」 …悩み抜いた末にシヴァは、ついにカメラの前で1日州首相就任を了承する! なりゆきとは言え本当に1日州首相となったシヴァは、さっそく市民を苦しめる腐敗役人・大臣・商人・医者…などを次々と停職に追い込み、周りを瞠目させる。その追求の手は、ついにチャヴァン州首相ヘの逮捕状をも発行させるのだった! しかし、現職政治家とその後援団体は彼の行動を恨み、その日の夜に彼を襲撃する。 さらに、キャスターに戻ったシヴァの職場や実家にも、州首相派の襲撃がおこりシヴァを追いつめて行くが、徐々に人々がシヴァの元に集まりだし「彼を本当の州首相に!」と期待し始める…。 挿入歌 Saiyyan(愛しい人よ) タイトルの「Nayak」は「リーダー」の意味……でいいのかな? オリジナルは、同じシャンカル監督作の1999年のタミル語映画「Mudhalvan(州首相)」。本作は、これのシャンカル監督自身によるヒンディー語版リメイク映画。お話はほぼ同じらしいけど、キャストはボリウッド仕様に総入れ替えされている(主役をシャールクにする案もあったらしい…)。 社会派色が強く、毎回かなり直球な政治批判を取り入れるシャンカル映画の定例通り、大衆をコケにしてる政治家連中を、アニル扮するシヴァがバッタバッタと制裁して行くさまは清々しい。 主役は、「スラムドッグ・ミリオネア」でインドのみのもんたとして有名になった(…なっちゃった)名優アニル・カプール。なんでも、本作の演技に惚れ込んだダニー・ボイルが「スラムドッグ」への出演をオファーしたとか言う噂も…。 ヒロインは、大女優ラーニー・ムケルジー。勝気で素朴な村娘が異様に似合っておりました。シヴァじゃなくても惚れてまうやろー。…ま、私が見た日本公開版はラーニーの出番を大幅カットしていたので、いつのまにかシヴァとくっついていたりと印象に薄い出来になっちゃってたけど…しくしく。 悪徳州首相には、これまた名優のアムリーシュ・プリが出演。板についた悪役ぶりを遺憾なく発揮。さらに州首相秘書役に名傍役のパレーシュ・ラーワルが参加し、狂言回しとして話をテンポよく転がして行く。今回はパレーシュさん、けっこうシブくてカッコいいぞ! ま、汚職政治家への制裁の様子とかは、そんなすぐにポンポン決めちゃっていいの? …的な危うさがなきにしもあらずだけど。 政治批判だけでなく、マスメディア批判のような事も含んでいて結構言いたい事が直球で表現されてるわけだけど、それだけでなくてド派手なアクションシーンが入っていたり(マーベラスヒーローが入り込んだ「地獄の黙示録」って感じ…?)、不思議なCG群のミュージカルが入ってきたりと、娯楽作としても直球。それがこうもうまくまとめられてるんだから不思議。 最後のオチも、単純に正義が勝つ…と言う風にはなってない所がニクい。 音楽を「スラムドッグ」のA・R・ラフマーンが担当しているのもチェック! 挿入歌 Chalo Chalien Mitwa *私の見たバージョンではカットされていたシーン。 色々と、ありえない画面効果がスゴい…。
2011.3.26. |