ラギニ MMS 2 (Ragini MMS 2) 2014年 119分 *エログロ注意。急にデカくなる心臓に悪い音量にも注意デスネ。 ホラー苦手な人は、再生しない方が吉。 一夏のバカンスの間、マハラーシュトラ州ダハヌーにある呪われた屋敷"パトワールダン・ヴィラ"で恐怖の一夜を過ごしたラーギニーは今、精神病院に収監され、現在も彼女にしか見えない魔女の幽霊に襲われ苦しめられていた…。 一躍話題のニュースとなったラーギニーの話を元に、映画を撮ろうと言いだした映画監督ロックスは、件の幽霊屋敷そのものを舞台に撮影に入ると発表。主演のラーギニー役に、話題性抜群の元ポルノ女優サニー・レーオーンを起用し「これで大ヒット間違いなし!」と意気揚々。そのサニーは、演技の参考にラーギニーを見舞うのだが、突如ラーギニーは豹変してベッドの柵を引き千切り「私は魔女じゃない! 私は子供たちを殺してない!!」と叫びつつ自分の首に柵の先端を突き刺して…!! 病院での騒ぎが治まった後、ロックス監督や脚本担当のサッティヤ・クマールと共に撮影準備の進む幽霊屋敷に合流するサニーだったが、徐々に奇怪な現象が撮影班を襲い始める。 一方、一命を取り留めたラーギニーの治療を担当する精神科医ミーラー・ダッタは、独自に幽霊屋敷"パトワールダン・ヴィラ"の由来調査を始めていたが…。 挿入歌 Baby Doll (ベイビー・ドール) *YouTubeでリリースされるや否や大ヒットした、サニー・レーオーン初登場シーンを飾る激推しプロモソング。その映像構成は、12年のジャニファー・ロペスのアルバム「Dance Again... The Hits」の1曲"Dance Again"のMVのインスパイアもの。 2011年の、パワン・クリパラーニー監督によるファウンド・フッテージ(*1)・ホラー映画「Ragini MMS」の直接の続編となる、ヒンディー語(+英語+マラーティー語?)映画。 一部シーンにセクシャルな部分(*2)があると言うことで、パンジャーブ州では上映禁止になり、パキスタン他では一部カットバージョンでの公開になったと言う。 日本では、2014年のIFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて「ラギニ MMS 2」として上映。 前作未見ながら、おおざっぱな流れはオープニングで説明してくれるので直接の続編とは言え、これ一本でも問題ない直球ホラー映画。 前作はファウンド・フッテージだったそうだけど、本作は「ラーギニーの証言を元に映画作ったら売れるゼ!」と集まった映画クルーを襲う恐怖と言う、メタフィクション要素を含んだ続編と言うことで、その構成はわりと正統派ホラーな作り。魔女の幽霊が本格的に暴れだしてから、精神科医ミーラー・ダッタ(*3)による魔女の真実と対決へと流れて行く所なんかは、ただのホラーと言うよりモンスターパニックものにサイコホラー要素が入った感じ。 元ポルノ女優主演で、若手俳優によるスマッシュヒットしたホラー映画の続編、と聞いて「ううーん?」とか思ってたイメージを覆すボリュームでございました。まあとにかく、いい所を全部持ってく本人役で出演しているサニー・レーオーンのふてぶてしいまでに堂の入った演技と、大々的にプロモで使われたノリノリの音楽の勝利ですな。襲い来る魔女の背景をしっかり設定して解説してくれてるので、幽霊屋敷と言う舞台に深みが出て、各登場人物たちが生き生きと映画の中で活躍してるのがスンバらし。 本人役で主演する(ただし声は吹替)サニー・レーオーン(*4)は、1981年カナダはオンタリオ州サーニアのパンジャーブ系家庭に生まれた女優兼モデル。 カトリック系の学校に通った後、アメリカに家族で移住。そこで職を転々としながら看護系の勉強をしている時にクラスメイトの紹介でポルノモデルの仕事を受けて"サニー・レーオーン"の名前でモデルデビュー。モデルの他バックダンサーやリポーターなどをこなしつつ、ポルノ映画デビューし、04年の「ガール・ネクスト・ドア」等でハリウッド映画やMVなどにも端役出演。マーケティング業や独立プロダクション"サンラスト・ピクチャーズ"の設立に関わりながら活躍する他、ステージ・パフォーマー、ネットビジネス事業、アプリケーション開発事業、ランジェリー・ビジネスなどの企画運営にたずさわり、様々な業界を騒がせる事業家となっていく。 その頃には、アプリケーション事業や動物愛護事業などでインドに出向ことが多くなったサニーに対して、インド映画界からも出演オファーが来ていたものの当初は役柄が合わず拒否していたと言う。その後、11年にインドのTVショー「Bigg Boss」に招かれて人気を博し、そこで知り合った映画監督兼プロデューサーのマヘーシュ・バットの誘いを受けて、12年のプージャー・バット監督作「Jism 2」にてボリウッドデビュー(*5)。 本作は、13年の「ワダラの抗争(Shootout at Wadala)」の特別出演、「Jackpot(ジャックポット)」の主演を挟んで、ボリウッド出演4本目にあたる(*6)。 本作と同じ14年には、「Vadacurry」に特別出演してタミル語映画に、「Current Theega(電気ケーブル)」でカメオ出演してテルグ語映画に、翌15年には「DK」でカンナダ語映画にもデビューしている。 ホラー映画の王道展開と演出で進む映画ながら、「ただのイロモノ映画にはしねえよ!」って本気度は感じられる映画で、劇中、元ポルノ女優と言うことで無意味にそう言う扱いを期待されるサニーが「だれでもポルノ女優が出来るなんて思うな」と主張するシーンで、彼女の映画女優への転身の気迫具合も表現されているよう(*7)。心臓に悪い効果音演出はともかく、ラスト近くの大暴れアクションシーンや、湖の中でのサニーの異様な美貌と畏怖の重なり合うセクシー画面作りが、これ以降のサニー・レーオーンと言う女優の武器をハッキリさせて行ったよう。そういう意味では、まずサニーありきで生まれたサニーのスター映画ですな。 ED Chaar Botal Vodka
受賞歴
「ラギニ MMS 2」を一言で斬る! ・……デカい!(なにが? いやほら、音が。うん、音だよ音w 心臓に悪いじゃん!)
2016.8.12. |
*1 行方不明の撮影者が残した映像、と言う設定で演出される一連の映画技法。 *2 女性同士のキスシーン等。 *3 演じるは演技派女優デヴィヤー・ダッタ! *4 生誕名カレンジート・カウル・ヴォーラ。 *5 これ以前に、国籍をインドに移していたそう。 *6 そして、この年で正式にポルノ・スターを引退した。 *7 企画段階では、サニー自身濡れ場シーンでもなんでも引き受けると覚悟していたそうですが。 |