Rラージクマール (R... Rajkumar) 2013年 140分 夜の森に、ギャングたちに引きずられていく瀕死の男がいた。彼の名はロミオ。ロミオ・ラージクマール… ************** 事の始まりは2ヶ月前。 風来坊のロミオが、ロシアンマフィアとの麻薬密売を生業にする田舎町ダルティプールにやって来た事から。街の2大勢力シヴラージ・グルジャル一党とマニーク・パルマール一党との抗争に巻きこまれたロミオは、同じように銃撃戦に巻きこまれた美女チャンダーを夜陰にまぎれて救出する! 彼女に見えたのは、ロミオの手首に彫られた虎の刺青のみ…。 その後、改めて昼日中の街中でチンピラをしばくチャンダーを見つけたロミオは、シヴラージの元で働きながら事あるごとに彼女を追い回すように。 一方、ロミオの破天荒な豪腕と格闘術、その生意気な言動を気に入ったシヴラージは、彼を自分の右腕に使い始め、宿敵マニーク一党の暗殺を命じる。しかし襲撃時にマニーク邸内でチャンダーを見つけてしまったロミオは、いつものように任務そっちのけで彼女に猛烈アタック! だが運命は皮肉。その直後にロミオのボス シヴラージもチャンダーに一目惚れし、彼女がマニークの養女(姪)と知るや長年の対立を和解し、チャンダーとの婚約を本人不在のまま確定してしまう! 記念すべきグルジャルとパルマールとの和解成立の日。 その祝福を受けてチャンダーと結婚しようとしたシヴラージだったが、チャンダーは彼から逃げ回り、事もあろうにロミオの後ろに隠れてしまう!! 挿入歌 Mat Maari (僕は夢中) *ヒロインからの罵声が、そのまま歌になるインドの歌世界・言語世界のなんと魅力的な事か! ワタスもソーナクシーから罵られターイw タミル語(*1)・テルグ語(*2)映画界出身の人気振付師にして役者兼映画監督のプラーブ・デーヴァ(*3)の、サウステイスト満載の壮絶アクション・ヒンディー語(*4)映画。本作は、テルグを中心に活躍していたアクション俳優シュリーハリの遺作となった。 実は、当初タイトルは「Rambo Rajkumar(ランボー・ラージクマール)」として宣伝されていたものの、「ランボー」と言う単語に著作権が発生するために途中から主人公の名前が変更され、すでに多くの人々に浸透してしまったタイトルを折衷案的に変更する事で、現在のものに決定されたと言う。なんとも意味ありげで、実は大した意味がないようなそうでもないような意味深なタイトルですな。うん。 日本では、2014年IFFJ(インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン)にて「"ロミオ"・ラージクマール」のタイトルで、2023年のIMW(インディアン・ムービー・ウィーク)では「Rラージクマール」のタイトルで上映され、翌24年のシネ・リーブル池袋の「週末インド映画セレクション」、群馬県の高崎電気館の「インド映画特集2024」でも上映。 レトロ調な田舎町でのマフィアたちの肉弾戦アクション映画と言う事で、「ダバング(Dabangg)」をより過激にしたような映画ながら、超絶振付師プラーブ・デーヴァによる超過激&ド派手なアクション&振付&物語で、怒濤如く展開するそのお話のパワーに全てのツッコミがねじ伏せられてしまう大活劇が見事。この力技とそれを成立させている「本気でバカをやれるセンス」に一度は身をゆだねてみやがれ! 映画ってこう言う所が超たのすぃー!!!!! 主役ロミオ役のシャーヒド・カプールは、1981年デリー生まれ。両親共に映画俳優(*5)ながら、両親の離婚によって母方一族(*6)の元で育った人。CMやミュージックビデオ出演、映画のバックダンサーを経て2003年に「Ishq Vishk(ラブ・ロマンス)」で映画&主演デビューしフィルムフェア新人賞を獲得。その後もコンスタントに主演作をヒットさせるトップスターの一人となるも、大ヒット作に恵まれずやや伸び悩んで来ての本作出演となる。2013年は、本作の他に主演作「うそつきは警官の始まり(Phata Poster Nikla Hero)」とゲスト出演で「Bombay Talkies(ボンベイ・トーキーズ)」に出演している。 ヒロイン チャンダー役のソーナクシー・シンハーは、1987年ビハール州パトナ生まれ。やはり両親共に映画俳優(*7)で、ムンバイの大学でファッションデザインを修了後、ファッションデザイナー兼モデルとして働き始めて、2006年のヒンディー語映画「Mera Dil Leke Dekho」ではファッションデザインを担当。親の仕事仲間でもある旧知の中のサルマン・カーンに勧められて2010年の「ダバング(Dabangg)」で主演デビューして数々の新人賞を獲得した。その後、2012年には主演作4本+ゲスト出演作1本、翌2013年には本作を含め主演作4本+ゲスト出演2本と言う大活躍ぶり。2014年には、ラジニカーント主演作のタミル語映画「Lingaa」でタミル語映画デビューもしている。 お話の核は、風来坊ロミオが周りを次々にしばいていく展開とアホなノリのラブコメを連続してつなげていく感じで、エピソードごとのつながりはそこまで強くないのが若干ダレる所ではあるけれど、茶目っ気たっぷりのロミオを始めとする登場人物たちの表情の変化や、ざーとらしいコメディ劇なんかも相まって、小気味良い映像テンポがゲーム的なお気楽さを醸し出す。 インドの物語文法では珍しい、過去が語られない(親や幼少期のことが見えてこない)ヒーローと、若干は語られながらあまり過去に縛られてない登場人物群が、より西部劇的に見えて来るわけですが、その分物語がさらに無責任に破天荒になっていくわ、映像効果的にもロジックなんぞぶっ飛ばした感覚で彩られるわ、ノリが全てな演出がドカンドカン出てくきながらもしっっかり娯楽映画として十二分に成立してるんだから、ホントその力技は頭のネジ数十本分外れた歌舞いた狂宴映画よねぇ(褒め言葉)。 挿入歌 Gandi Baat ([あまりに長い間礼儀正しく振る舞い、上品に会話し、今、僕は君と一緒にいる…] さあ下品に行こう) *ゲスト出演は、テルグを中心に南インドで活躍する女優(ヒンディー語映画出演は本作で3本目)チャルミー・カウルと、プラーブ・デーヴァ監督その人! ホンット、出たがりなんだから監督ぅ…もっとやれ!w
受賞歴
「RR」を一言で斬る! ・破天荒な風来坊は、やっぱりボサボサ頭が似合うネ!!
2014.11.21. |
*1 南インド タミル・ナードゥ州の公用語。 *2 南インド アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナー州の公用語。 *3 この人は、同じ年に「ラームが村にやって来る (Ramaiya Vastavaiya)」も監督してたりする! 本人はカルナータカ州マイソール出身。 *4 インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語で、このヒンディー語による娯楽映画界を俗にボリウッドと言う。 *5 父親がパンカジ・カプール、母親がネーリマー・アゼーム。 *6 報道界や映画界などで有名人を排出している家系。 *7 父親がシャトルガン・シンハー、母親がポーナム・シンハー(旧姓チャンディラマニ)。 |